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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第21話 悟と瑠奈の破滅の始まり

 なんでこうなった??

 一体なんで俺が職員室に呼ばれてる?

 空の奴は何をしたんだ?

 疑問が頭を駆け巡るが何一つとして答えは出てこない。

 今空が別室で何を話しているのかわからない。

 いや、それ以前になんで空が話す前に俺は職員室に呼ばれたんだ?


「クソっ。わかんねえ。だが、虐めの件は露見しないはずだろ。どうせあの担任は自分のクラスで起きた不祥事をもみ消そうとするはずだ」


 だから落ち着け。

 いや、もし虐めの件がバレていないとしたら俺は何で呼ばれたんだ?

 心当たりがありすぎてわからない。

 変にぼろを出さないためにも教員連中に何を聞かれても知らぬ存ぜぬを突き通すしかない。


「藤田悟。こっちに来なさい」


「……うす」


 校長室から出てきた生徒指導主事と空は何か話していたがあまり会話は聞こえなかった。

 なんだか、自分が死刑を待つ死刑囚のように思えて仕方がない。

 俺は先に生徒指導室に入れられて一人で数分待っていた。

 戻ってきた生徒指導主事の佐々木に生徒指導室に呼び出された。


「なんでお前がここに呼ばれたかわかるか?」


 狭い生徒指導室の中にある椅子に座ってから質問が飛んでくる。

 対面には佐々木が座っており、かなり真剣な表情をしていた。

 一体何がバレた?

 今までいろんな悪いことをやってきたがバレたことなんて一回もなかったしこれからもばれないと思っていたのに……

 もしかして、これも空の奴が仕込んだことなのか?

 ありえる。

 わざわざあんな動画を教室で流すようなイカレ野郎だ。


「いや、わかんないっす」


「お前はこの写真に覚えはあるか?」


 そういって佐々木が取り出してきたのは俺が煙草を吸っている写真だった。


「なっ!?」


 確かに最近は隠れて煙草をよく吸っているが写真を撮られた?

 一体いつだ?


「他にもこんな写真もあるな」


 次に出てきたのは繁華街でビール缶を片手に歩いている俺の姿だった。

 しっかり私服も着ているし一目見ただけじゃあわからないように変装だってしてたのに一体誰がこんな写真を??

 いや、そんなことを考える前に今はいったんこの場面をどうやって乗り越えるかを考えないといけない。

 じゃなきゃ俺はこのまま破滅だ。


「こんなこと俺はしてないっすよ。誰かが捏造した写真とかじゃないですか?」


「そうだったら俺たちも良かったんだけどな。そんなことはもうすでに解析している。これが偽造写真や加工写真でないことは既に証明されている」


「そんな! じゃあ、俺が本当にこんなことをしてると思ってるんですか?」


「俺たちがどう思っていてもここまでの物的証拠があるんだから仕方がない。何か申し開きはあるか?」


 不味い、このままじゃあ本当に俺の人生は詰みだ。

 何とかしてこの状況を切り抜けないと。


「俺はそんなことやってないっすよ! それに来年の甲子園、野球部は俺がいないとまずいんじゃないですか?」


「そうかもしれないな」


 ここだ。

 うちの高校は少し前まで甲子園なんて行けなかったが俺が入ってから甲子園に出れるようになった。

 学校側としても俺がいなくなるのは困るはず。

 ここを攻めれば俺は助かるかもしれない。

 それに空の虐めの件に関しても俺は直接手を下してない。

 やったのは他のクラスの連中だ。

 浮気の件だって何とか瑠奈に罪を着せれれば何とか乗り越えることができるはず!


「じゃあ……」


「だが、ここまで問題を起こした生徒を野放しにもできない。お前はこの二件の他にも柳に暴行を行った事実も判明している」


 暴行?

 この前のあれか。

 でもそれに関しても客観的な証拠はないはず。


「それこそ空の嘘でしょう? 俺はそんなことやってないですよ」


「それありえないな。動画としての証拠もあるし医師の診断書も柳から受け取っている。これでもまだ言い訳を続けるのか?」


 動画?

 一体何のことだ。

 空の奴教室にカメラでも仕掛けたっていうのか?

 だとしたら……


「動画としての証拠って何ですか? まさか教室にカメラでも仕掛けてたんですか?だとしたらプライバシーの侵害じゃないですか!」


 ここで攻めて証拠の正当性を失わせる以外に俺の活路は残ってない。


「そうかもな。でもお前たちはプライバシーよりも大切なものを侵害していなかったか?少なくとも加害者のお前が言えることじゃないな」


 クソっ!

 どうする。

 どうすればいい。

 俺みたいな優秀な人間がこんなところで終わっていいはずがない。

 俺はこのままプロになって世界に名をとどろかせるんだ!

 いや、そうしないといけないんだ。


「それでも……」


「もういい。お前はもう帰れ。処罰は追って通達する」


 佐々木は冷え切った声でそう告げた。

 不味い不味い不味い。

 このままじゃあ本当にヤバイ。

 どうすればいい。

 どうすれば俺はこの状況を切り抜けられるんだ。


「どうした? 早く帰れ」


「わかりました」


 まだ俺の処罰が決まったわけじゃない。

 処罰が決まるまでに何とかしないと本当に終わる。

 俺のバラ色の人生が終わってしまう。

 空なんかに壊されてたまるか。

 俺はあんなやつとは違う!

 俺がこんな目に遭っていいわけがないんだ。

 とりあえず、数日以内に何とかしないと。


 ◇


 どうしようどうしよう。

 私達の嘘が全部バレた。


「ねえ、瑠奈これどういうこと?」


「無理やり迫られたって言うの嘘じゃん! 私たちのことを騙してたの?」


 ついさっきまで私のことを守るって言ってた友達に詰め寄られる。

 このままじゃ私と悟君の人生が終わっちゃう!

 なんとか空を説得しないと!

 この話がお母さんたちにまで伝わったら……

 考えたくもない。


「えっと、それは」


「はっきり言ってよ! 藤田君と浮気してたんでしょ? 最低じゃん!」


「そうだよ。柳君に迫られたとか嘘まで言って。瑠奈には人の心が無いんだね!」


 なんで、こんなに責められるの。

 ついさっきまではみんな私のことを被害者として扱って優しくしてくれたのに。

 なんで空もこんなことするの?

 私達幼馴染なのに。

 こんなのってひどすぎるよ。


「待ってよ! 私本当に空に迫られたの!!」


「この動画見て瑠奈のことを信じる人がいるわけないでしょ? それにこれを見せられてまだそんなこと言えるなんて瑠奈ってなんかすごいね」


「ほんとそれ。柳君可哀そう」


 皆少し前までは空のことを散々言ってたのに。

 今はみんな空の味方してる。

 私は悪くない。

 私は、悪くなんかない。


「ていうか、藤田君って自分で浮気提案して柳君の嘘のうわさ流すとか最低過ぎない?」


「それで、自分は英雄気取りとか痛すぎ」


「悟君のことを悪く言わないで!」


「うわっ、藤田君のこと庇ってる、こわっ」


「ね、この状況でまだ庇えるとか。まあ、瑠奈も共犯だから当たり前か~」


 なんで私がこんな目に遭わないといけないの?

 全部空に魅力が無かったのがいけないんじゃん。

 意味わかんない。


「お前ら今日は全員帰れ!」


 佐々木先生が教室の扉を勢いよくあけてそういった。

 クラスのみんなは一瞬ざわついてたけどすぐにみんなおとなしくなって荷物を持って家に帰って行った。


「堀江。お前は残れ」


「え……」


 佐々木先生は私にだけ手招きをしてそう告げた。

 なんで私がこんな目に。


 ◇


「堀江、お前が藤田とラブホテルに入っていったと聞いたが本当か?」


 生徒指導室に連れて行かれた私は佐々木先生と向かい合っていた。

 正直生きた心地が全くしない。


「えっと……」


「本当なんだな?」


「はい」


 きっと先生たちもあの動画のことは知ってる。

 ならここで嘘ついたらもっと面倒なことになる。


「一応聞くがそれはだめなことっていう自覚はあるか?」


「……はい」


「そうだな。高校生のそういった施設の使用は風営法で禁止されている。それを破ったお前たちには学校として処罰を与えないといけないって言うのも理解してるな?」


「はい」


 詰将棋みたいに追い詰められていくのを感じる。

 何とかして切り抜けたい。

 でも、ここまで証拠が出そろってたら何を言ってもうそだってバレる。


「他にもお前たちは柳の悪評を広めたとも聞いている。それが原因でいじめが起きたのも知っている。なんでそんなことをした?」


「私は嘘なんか……」


 とっさに否定してしまった。

 動画は見られてるからこんなことを言っても意味がないとわかっていたのに。


「そうか。わかった。お前も今日は帰っていいぞ。親御さんには学校から連絡するからな」


「待ってください!! それだけは!?」


「待つわけないだろ。学校としても生徒が起こした問題を保護者の方に報告する義務がある。お前がここで何を言っても曲がらない。あきらめてくれ」


 そんな、お母さんたちに私の嘘がバレたら……

 考えたくもない。

 もしそうなったら私は家を追い出されるかもしれない。

 こんな冬にそんなことされたら死んじゃう。


「わかりました、失礼します」


 どうしようどうしよう。

 このままじゃ……


「……どうしよう」


 生徒指導室を出た私はうなだれることしかできなかった。


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