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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第154話 婚約

「ふふっ空とクリスマスイヴにデートなんて嬉しいわ」


「俺もだよ。すごく嬉しいし楽しみだった。今から全力で楽しもう!」


「ええ!」


 今日は12月24日。世にいうクリスマスイブだ。

 永遠と二人で遊びに来ていた。行く場所はカフェとか落ち着いて話せる場所を転々とする感じだけどそれが俺と永遠にとっては心地が良かった。


「こうやって二人でまったりするのは久しぶりじゃない?」


「そうだね。二人っきりって言うのはあんまりなかったと思うし。だから結構楽しかったりする」


「そうね。私もこういう時間は好きよ。みんなと一緒にワイワイするのも楽しいのだけどたまには二人でまったりしたくはあるわね」


「なるべくそういう時間を作る努力はするよ」


 とりあえずは受験が終わったらもっと永遠との時間を作りたいと思う。


「そうして頂戴。そういえばこれから行く場所って決まってるかしら?」


「ん? ある程度はこうしようかな~ってのはあるけど行きたい場所があるならそっちに行こう。どこかあるのか?」


「ええ。前に二人でみたイルミネーションをもう一度見に行きたいわ」


「了解。じゃあ向かおうか」


「ええ」


 カフェを出て前に行ったイルミネーションの場所に向かう。自然と手を繋いで歩く時間がまた心地いい。外はかなり寒いけど永遠と繋いでいる手が温かい。


「空と知り合ってもう一年になるのよね」


「だな」


 永遠は少し遠くを見つめながら感慨深そうにつぶやいた。その横顔がまた綺麗で見惚れてしまう。


「私本当にあなたと知り合えてよかったと思う。あなたのおかげで空音のことに折り合いをつけれた気がするしあなたに会ってから世界が色づいて見えるようになったから」


「それは俺もだよ。永遠のおかげで俺は絶望の底から這いあがることができた。這い上がるどころか今はこうやって最愛の恋人とクリスマスイブにデートしてる。幸せの絶頂だよ」


 一年前に浮気されてそれから虐められて人生のどん底を味わった。

 一時は死にたくなるほど絶望もした。それでもこうして俺がここに立っているのは永遠がいたおかげだ。

 永遠が居なかったらと思うと寒気が走る。


「良かったわ。本当に」


 本当に感慨深そうに永遠はそうつぶやいていた。


 ◇


 少し前に来たはずだけどここのイルミネーションはとっても綺麗だった。午前は買い物をしてそれからカフェでずっと話していたら気が付けば辺りは暗くなっていてイルミネーションを見るにはちょうどいい暗さになっていた。


「本当に綺麗ね」


「だね。でもよかったの? 少し前に見に来たばかりだけど?」


「いや、ここが良かったのよ。初めて見に来た空と来たイルミネーションの場所だしね。ここが好きで大切ななのよ」


「それは俺もだな。イルミネーションなんて初めて見に来たし。何よりも永遠と一緒だったからな」


 本当に大切な思い出だ。かけがえのない大切で仕方がない思い出だ。宝物といっても過言じゃない。


「もう夜ね。そろそろ帰らないと」


「だね。でもさ、少しだけ寄り道してもいいかな?」


「もちろんよ。一体どこに連れて行ってくるのか楽しみだわ」


「そんなに楽しみにされてもがっかりされない不安だ」


 連れて行く場所は決まっている。今の俺がここにいる原点となった場所だ。


「空と一緒ならどこに連れて行ってもらってもがっかりなんかしないわよ」


「じゃあこっちだ」


 ◇


「ここって」


「そう。俺たちが初めて会った場所だよ」


 俺はプロポーズをする場所にロマンチックな夜景が見える場所やレストランなどではなく俺たちが初めて会った公園に連れてきた。

 どんなにロマンチックな場所よりも俺たちにはここのほうがいいと思ったから。


「懐かしいわね。あれから約一年たったのね」


「そうだね。結構懐かしい」


 一年前から風景などは特に変わっておらず違うのは雪が降っていないという所だろうか?

 それ以外の変化は俺と永遠の関係性とかかもな。


「あの時の空は本当に死んじゃいそうで怖かったわ」


「死ぬことを考えてたからね。でも、永遠のおかげでこうして俺はここに再び戻ってくることができてる。だからありがとう永遠」


「それで、なんでここまで連れてきたの?」


「天音永遠さん俺と婚約してください」


 永遠の前に膝まづいて指輪の入った箱を開ける。

 少し前の補習終わりに買ってきた婚約指輪だ。


「……私でいいの? 自分で言うけど重いしめんどくさいわよ?」


「それでも永遠がいいんだ。いや、永遠以外と婚約なんてしたくない」


 今更永遠以外の女性なんて考えられない。俺は永遠じゃないとだめなんだ。


「うん! 嬉しい! 私を空の婚約者にしてください!」


 永遠は満面の笑みでそう言ってくれた。瞳の端からは涙が少し流れていた。

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