第150話 エスパー永遠
「それで? 本当ななんの用件で空を七海さんの部屋に呼んだのかしら? 七海さん体調が悪いってわけじゃないでしょう?」
「…………やっぱり永遠姉は気づくんですね」
「当たり前よ。これでも七海さんとの付き合いも長くなってきたから多少はわかるわ。でもね、それよりも私は美空ちゃんの態度でわかったのだけどね」
全く本当に勘のいい人だな永遠姉はさ。勘が良すぎてこういう時は少し厄介だけど。
七海ちゃんの背中を押したことがバレたら怒られるかな……
怒られる未来しか見えない。永遠姉は結構嫉妬深いからなぁ。
「言わないとだめですかね……」
「別に言わなくてもいいわよ。大体予想はついてるし。七海さん空に告白するんじゃないかしら? で、美空ちゃんはその背中を押したって感じかしら?」
「…………エスパーか何かですか?」
今度からアルミホイル頭に巻こうかな? 意味ないか。
「だってさっきから美空ちゃん私を窺うみたいな目で見てくるからわかっちゃうわよ。怒りはしないから安心して頂戴。最近の七海さんの様子を見てれば彼女の感情はわかるし」
「そういうもんなんですか?」
「そういうもんよ。具体的には私と目が同じな気がしたのだけどね。それでさっきはあなたが相談に乗っていたって感じでしょう?」
「そうですよ。後悔しないようにって。友達が苦しんでるのを見たくはないですから」
だからこそ私は七海ちゃんの背中を押した。後悔してほしくないから。苦しんでる姿を見たくなかったから。
世間一般で見れば七海ちゃんのことを空気読めないとか悪女とかいう人もいると思うけど私はそうは思わない。
だって好きになってしまったものは仕方ないじゃないか。好きになってしまった以上仕方ない。気持ちが止められないなら告白して玉砕するしかない。
じゃないと気持ちの整理がつかないだろうから。
「美空ちゃんらしいわね。心配しなくても私が美空ちゃんを怒ったりはしないし七海さんのことをどうにかしようとも思っていないわ。私、空の事信用してるし」
「ならよかったです」
なんていう自信。でも確かにその通りなのかもしれない。お兄は永遠姉しか見て無い。多分永遠姉もお兄の事しか見て無い。
お似合いと言われればその通りだ。
「それより空が振ったことを負い目に思わないか心配だわ。そう言うの気にしそうじゃない?」
「それは確かにそうっすね。でもお兄は多分大丈夫っすよ。七海ちゃんの意志を尊重してこれからも変わらない距離感でいてくれますよ」
「それもそうね。空はそういう人だったわ」
お兄はどうでもいい人なら気にしないけど七海ちゃんが多分別だろう。
七海ちゃんの願いを叶えてくれるはずだ。
「そうです。だから大丈夫ですよ」
お兄はそういう人間だから。きっと七海ちゃんの気持ちを汲んでくれる。
告白は流石に断ったみたいだけどね。
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