第147話 空の本音
「おかえりお兄、永遠姉」
「ただいま美空ちゃん」
「ただいま~あれ? 七海は?」
「七海ちゃんなら部屋じゃない?」
「そうか」
最近七海の様子が少しだけおかしい気がしてたからちょっと心配してるんだけど部屋にいるなら休んでるんだろうか?まあ、いきなり年上の異性と同居って言うのは考え物なのかもしれないな。
「じゃあ、私は夕飯を作るから美空ちゃんは七海さんを見てきてあげて」
「わかりました! 行ってきます」
美空はビシッと敬礼して七海の部屋に向かった。
「永遠ってエスパーか何か?」
「言ったじゃない。空の考えてることは多少はわかるって。七海さんが心配なんでしょう? 最近少し様子がおかしかったものね」
「永遠も気づいてたのか」
「まあ。少し様子がおかしいなって思ってたくらいだけどね。空が気にしてるかも気がついてたし」
流石永遠と言うべきか彼女はいろんなことに気がついているようだ。
俺もそんな永遠を見習いたいものだ。最低でも永遠の変化には気がつけるようにしたい。
「まあね。いつもと比べて上の空だったしなんだか元気が無いように見えてたからさ」
「空もそういう所はよく気がつくわね。じゃあ、空には夕飯の準備でも手伝ってもらおうかしらね」
「お安い御用だ。できることは少ないと思うけどできる限りやるから気軽に言ってくれ」
初めて永遠に夕飯などの手伝いをお願いされたかもしれない。ちょっとうれしい。
◇
「そういえば教えてもらおうかしら? この前手を出してこなかった理由」
「……覚えてたのか」
キッチンに二人で並んで永遠にお願いされたことを淡々とこなしていたらそんなことを言われた。完全に忘れてると思ったのに忘れてはいなかったようだ。
「当たり前じゃない。逃がさないわよ」
「わかったよ。言っても引いたりしないでくれよ?」
「空に何を言われても私が空を嫌ったり引いたりすることは無いから安心して頂戴」
永遠はにっこりと微笑みかけてきた。本当に可愛いな。
この顔で何かお願いとかされたら断れそうにない。
「シンプルに責任が取れないと思ったから。永遠を傷つけたくないし何かがあったら責任が取れるようにしたかったんだよ。先に言っとくけど永遠に魅力が無いとかそんなことは無いからな!」
「ふふっ、本当に正直に言ってくれるのね。そんなことだろうと思ってたのはわかってたけど言葉にしてくれて嬉しいわ」
嬉しそうに永遠は笑っていた。それでもしっかり手元では包丁が動いていて手慣れてるんだあ~と思った。
「正直に話すって約束したしな。しょうもないことで永遠とすれ違うのは俺も嫌だから」
「ありがとう。そういう素直なところ大好きよ。それと試すつもりはなかったのだけど試すようなことをしてごめんなさい。今後は一緒に寝るのは控えたほうがいいかしら?」
「いや、そんなことは全然ないな。俺が多少我慢すればいいだけだしそれよりも永遠と一緒にいると心地よくて眠りの質が上がっているような気がするから全然大丈夫だ」
確かに多少そういう気持ちにはなるけどそれよりも安心のほうが大きくて結果的にすやすやと眠れている気がする。
「ありがとう。私も空と一緒にいるとすっごく安心するからまた機会があれば一緒に寝ましょうね」
「ああ。楽しみにしておくよ」
また寝られるのなら嬉しいけど俺はその前にクリスマスのプロポーズのことで頭がいっぱいだった。大学受験の方も何とかしないといけない。プロポーズが成功したとしても大学受験に失敗したら目も当てられない。
いろんなことを頑張らないといけないけどこれからの未来のためだと考えて頑張ろう。
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