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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第142話 未来

「空先輩ちょっといいっすか?」


「なんだ?」


 今日はみんなに呼ばれるな。まあ、頼られるのは嫌じゃないからいいんだけどさ。


「ちょっと手伝ってほしくて。今いいですか?」


「もちろん。そういえば七海の荷物は結構多かったな」


「そうなんですよ。父が片っ端から後藤さんに荷物を送ったので」


 そうだったな。後藤さんの家から七海の荷物を引き取ったときめちゃくちゃ感謝されたな。まさかあんなに多くの荷物を無断で送っていたとは想像もしてなかった。


「あはは、頑張るか」


「ちょっと相談良いっすか?」


「全然良いぞ。珍しいな七海が俺に相談事なんて」


 今まで俺が相談したことは多々あった気がするけどされたことは少ない気がする。一体どんな相談なんだろうか。


「父に家を引き払われた後に言われたんすけど私は探偵に向いてないからやめるように言われました。今までは父のアシスタント的な立ち位置だったんすけどね。それで目標を見失ったというかこの先どうすればいいのかわからなくなったというか。そんな感じです」


「なるほどな。でもいいんじゃないか? 探偵って危険な仕事だし七海は優しいから向いては無かったと思う。お父さんもそう思って七海にそういったんじゃないかな?」


「そうっすかね。でも私はこれからどうすれば……」


「探せばいいさ。時間はいっぱいある。まだ高校二年なんだからな。なんにでもなれるさ。今からやりたいことを見つければいいし見つからなかったらとりあえず大学に行けばいい。どうせこれからしばらくは俺たちと過ごすんだから都度やりたいことをやればいい。みんなに言えばきっと付き合ってくれるさ。もちろん俺もな」


 まだ高校生。今からだって何にだってなれる。もちろん努力は必要だし、しっかりいろんなことに気を配らないといけないけどそれさえすれば何をするにも自由だ。

 諦めるには早すぎる。どころかまだ始まってすらいないのだから。


「そうっすよね。ありがとうございます!」


「これくらいでいいなら何時でも相談してくれ」


「はい!」


 七海は花が咲き誇ったかのような笑みで俺を見た。ほんの少しだけ見惚れそうになったけどなんとかこらえて部屋を後にする。


「っ、あの顔は反則だろ」


 自分の顔を手で押さえて少しだけ悶えていた。

 でも、すぐに自分の新しい部屋に向かう。


「やっぱなんもないよな~」


 ベッドとかそういう基本的なものはもちろんすべてそろってるけど他に俺の私物と言えるようなものはない。冬に家を追い出されてから俺の私物はほとんど増えていない。

 永遠と買い物に行った時くらいしか俺は自分のものを買わないから増えないってのもあるんだろうけどやっぱりこうしてみると俺の部屋は質素というか味気ない。


「思い出は増えてるけど物は増えないもんな」


 昔のアルバムとかは実家にあるのかな?

 そもそもあの人たちがアルバムを残しているのか怪しいか。


「《《アレ》》をそろそろ買いに行ってもいいのかもな」


 金だけはたくさんあるんだよな。永遠と会って以降毎月ずっとお金は振り込まれてるしなんなら久遠さんから家と一緒に意味わかんないくらいの金額を振り込まれた。

 このお金を使って買っておきたいものがあるのだ。


「あと二週間くらいしたら期末テストか。受験はもう少し先だけど気を抜いてられない。勉強の方もしっかりしないとな」


 期末テストの勉強も受験の勉強もどっちも頑張らないといけない。クリスマスも近いし意外と年末は忙しくなりそうだ。

 永遠と過ごせるんだから全然良いんだけどさ。


 ◇


「そろそろ私も永遠姉さんのことを永遠姉って呼ぼうかな?」


 もう完全に信頼しきってるし何があってもお兄は永遠姉さんと結婚しそうだ。本当に私のお義姉さんになる日も近い気がする。

 だから呼び方も変えるべきかな?


「あの二人高校卒業したら何となくだけど籍入れそうだし」


 そうなったら柳永遠になるのか。意外といい響き。

 でも、お兄って結構奥手だからプロポーズできるのかな~

 そこさえ何とかなれば後は順風満帆に進みそうなんだけど。


「って二週間後にテストじゃん!?」


 片付けをしてて気が付いた。全く勉強してないしなんなら範囲もわかんない。

 このままじゃ私だけ冬休みが無しになりかねない。


「七海ちゃん~助けて~」


 私は急いで新たに同居人になった親友に助けを求めに行くのだった。


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