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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第130話 嫉妬渦巻く文化祭スタート!!

「やっとこの日がやってきたね~」


「だね。なんだか結構準備に手間取った気がするよ」


 文化祭当日の土曜日。

 朝から永遠のテンションは異様に高かった。

 勿論俺も少し興奮気味ではあるのだけど永遠ほどではない。


「面白うそうだね! 私も後から絶対に行くからね!!」


「ああ。気を付けてくるんだぞ? そろそろ本格的に寒くなってきてるから防寒もしてくるように」


「わかってるよ~」


 もうじき11月になる。

 気温はそろそろ平均で一桁を記録しつつある。

 ということは俺達の受験が近づいているというわけで文化祭が終わったらラストスパートをかけないといけない。


「空って過保護よね」


「そうかな? あんまりそう思ったことは無いけど」


「それは重症ね」


 そうだろうか。

 確かに大切だし特別だけどさ。


「そろそろお兄たちはいかないとじゃない?」


「ああ、そうだな。行ってくるよ」


「行ってくるわね美空ちゃん」


「うん! 行ってらっしゃい」


 美空に見送られながら俺たちは家を出る。

 本格的に冷え込んできた冬の風が全身を襲う。


「今日寒いわね」


「だな~結構寒い」


 顔が痛いってくらいの寒さだ。

 どうかしてるよ。


「手、つなぐ?」


「うん! 空もわかってきたじゃない!」


「合ってたようでよかったよ」


 永遠と恋人繋ぎをしながら最寄り駅に向かう。

 永遠と繋いでいる右手がじんわりと暖かい。

 落ち着く。


「もうそろそろ私たちが出会って一年が経つのよね」


「確かにそうかも。新年初めに知り合ったからあと二か月ちょい?」


「そうね。新年始まって一発目に公園で何かを呟きながら死んだ目をしている空を見つけたのよね」


「懐かしいな。俺、そんなに死んだ目をしてたか?」


「かなり。見ていて声をかけてしまいそうなほど心配だったもの」


 一年前の出来事だけどあの時のことを俺はそこまで詳しく覚えていない。

 ただただ絶望していた。

 だからあの時に俺に声をかけてくれて居場所をくれた永遠に救われたし好きになったんだと思う。


「そこまでか」


「ええ。でも、おかげで私はあなたと出会えたのよね」


「ははっ、それは確かに。あの時はもう何事にも希望が持てないくらいには絶望してたけど今となってはあの出来事のおかげで永遠と出会えたと思うといい思い出だな」


 人間やはり結果が重要だと思う。

 当時どれだけ苦しくても最終的に幸せなら辛かった記憶も笑い話になるのだ。


「そうね、といっていいのかしら?」


「もちろん。好きだよ永遠」


「私も好きよ。浮気とかしたら絶対に許さないからね?」


「するわけない。永遠以上の女の子は絶対にいないよ。少なくとも俺にとっては」


「空の中で一番でいられるのなら私はそれで構わないわ」


 我ながら会話がバカップルだと思うけど仕方あるまい。

 今から文化祭で仕事だし少しくらいイチャついててもいいだろう。


 ◇


「「「きゃあ~~~~~~。柳君かっこいい!!!」」」


「…………」


 教室にて持参した執事服に着替えると黄色い悲鳴が聞こえて来た。

 それと同時に背中を流れる冷たい汗。

 永遠がかなり不機嫌だった。


「柳君! 私と一緒に文化祭回らない?」


「何言ってんのよ! 私が柳君と回るの!」


「みんな! ここはクラス委員である私に譲りなさい!!」


 カオスだった。

 俺の目の前でクラスの女子たちがそんな会話を繰り広げていた。


「えっと、俺先約があるんだけど?」


「「「えっ!?」」」


 当たり前だろとも思わなくもないけど一応丁寧に説明することにする。


「俺は永遠と回るから他の娘と回ることは出来ない。ごめんね」


 そういうと目の前の女子生徒たちは阿鼻叫喚といった様子で項垂れていた。

 正直めっちゃ怖かった。


「よかったわね? たくさんの女の子からお誘いを受けて」


「なんか棘がないか? しっかり断ったのを見ただろ?」


「それはそうだけどモヤモヤはするの!」


「そんな理不尽な……」


 俺がどう対処しても永遠に怒られるなんて。

 今すぐ脱ぎ捨てようかな執事服。


「クソっなんで柳ばっかり」


「俺たちも執事服着てるのに!」


「元々の顔が違うのよ男ども。妬む暇があったら働け」


 血涙を流す男子たちは女子生徒に馬車馬のように使われていた。

 可哀想に。


「んじゃ柳くんと天音さんは接客をお願いね! シフト通りお昼になったら交代でいいから」


「了解だ」


「わかったわ」


 こうして俺たちの文化祭1日目が幕を上げようとしていた。

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