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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第127話 七海の父親

「はぁ。全くしょうもない問題に巻き込んでくれたな。修二」


「そう言うなよ礼二。俺とお前の仲じゃないか」


「そうは言ってもあれは流石にやりすぎだと思うがな。実の娘をあそこまで追い込んで。俺はお前が何を考えてるのか全く分からんよ」


 行きつけのバーで俺こと後藤礼二は古い付き合いの友人である杉浦修二と酒を飲んでいた。

 こいつは昔から変なところでとても冷酷になる類の人間だ。

 正直に言ってしまえば何をしでかすかわからな過ぎて怖い。


「あれはあの子にとって大切なことだったんだよ。あの子は優しいし情に溢れすぎている。俺とは違ってな」


「ははっ。それは確かにそうかもな。お前より全然人間らしい。だが、それと今回の虐めの件に関しての関連性が見えてこないのだが?」


「関連性ならあるさ。俺は知りたかったんだよ。あの子が《《自分の感情》》を優先するのかそれとも《《仕事》》を優先するのかってことをな」


「結果は前者だったと?」


「ああ。その通りだな。もしあの子が後者を選んで自身が身を置いていた心地の良い日常を捨てれたのなら俺はあの子を本格的に俺の後継者にしようとしていた。だが、あの子は前者を選んだ。それなら俺がするべきことは決まっている。あの子を俺の後継者にはしない。その素質が無いからだ」


「まあ、だろうな。俺やお前みたいな職業の人間はあまり私情を挟むべきではない。優しい人間は擦り切れていつか消えてしまうからな」


 俺はそういった同僚を少なからず見てきた。

 見てきたからこそ俺も何となくは思っていたのだ。

 あの子には探偵という仕事は向いていない。

 それも《《杉浦修二》》の後継者だけはならないほうがいいと。


「その通りだ。適性があり意欲があるのなら俺は喜んであの子を後継者にするつもりだった。だが、あの子には意欲はあっても適正は無かった。だから後継者にはしない。あとは虐めを行ったあいつらをお前が始末すれば終わりだな」


「まあ、始末するのは簡単だがな。お前が集めた大量の証拠があるからな」


 そもそも今回の事件はほとんどこいつが仕込んだものだ。

 勿論加害者生徒が杉浦さんに嫉妬に抱いていたのは仕込みではない。

 ただ、その感情を増幅して杉浦さんの弱みを匿名で提供したのはこいつだ。

 流石のこいつもカッターまで出てくるのは想定外だったらしいが。


「ああ。せいぜいあいつらをとことん苦しめてから地獄に落としてやってくれよ。損害賠償でも慰謝料でも何でもいいからさ」


「任せておけ。今回の件はお前が仕組んだことだがさすがに俺もあの子には同情しているからな。言われなくても奴らを底の底に叩き落としてくるさ」


「頼んだぜ。それと柳? だっけか永遠様の恋人の」


「空君か? 彼が一体どうしたんだ?」


「彼の両親はどうなった?」


 柳夫妻か…

 懐かしいな。

 あの出来事ももう半年ほど前のことになるのか。


「死んだよ。俺もその場に立ち会ったわけじゃないからわからないけどきっとまともな死に方はしていないと思う。あのお方を怒らせたんだから当然と言えば当然かな」


「そうか。なら安心だ。調べた感じあの夫妻はやばい感じだったからな。そのことを彼らは知っているのか?」


「知らないな。今度俺の方からそれとなく言っておくよ。死んだとは言えないから脅威が去ったくらいに伝えておくさ」


「そうするといい。そのほうが彼らも安心するだろうさ。あと、柳君には礼を伝えておいてくれ」


「わかったよ」


 こいつの心情は読めないけど気遣いはできるんだよな。

 全くその気遣いをもっと真っ当な方向で実の娘に向ければいいものを。


「じゃあ、俺はそろそろ行く。次の仕事があるんでな」


「お前は相変わらず世界中を転々としてるのか?」


「ああ。それが俺の仕事だからな。七海には申し訳ないと思っているが仕方のないことだ」


「仕方なくはないだろう。まあ、あまり危険な目に遭わせたくないというのはわかるが」


 杉浦さんには悪いが正直高校生の虐めなんて生易しいものだ。

 この事件がもし、修二の後継者になった後に起きていたら虐め程度で済まされるわけがない。

 こちら側の世界では命に直結するのだ。

 その点で言えばまあ、高校生のうちに適性の有無がわかったのは良いことなのかもしれないな。


「俺がいない間はあの子のことを頼んだぞ友よ」


「ははっ。お前は大体日本にいないじゃないか。まあ、任せておけよ」


 なんやかんや言ってもこいつは親バカだからな。

 そうそう変なことは起きないと思うが面倒は俺が見よう。

 最近は空君と永遠さんも仲良くしているからそのついでと思えばなんら苦でもない。


「ありがとな。んじゃまたこっちに戻ったら飲みに行こう」


「もちろんだ。その時はお前のおごりで」


「ははっ任せておけよ」


 修二は気さくに笑ってここの会計を済ませるとすぐに行ってしまった。


「全く。次はどこに国で仕事をしているのか」


 杉浦修二。

 俺の中学時代からの友であり今となっては世界を股にかける有名な探偵。

 そして杉浦七海の実の父親。

 まあ、あいつはあんまり父親っぽいことはしてないけどな。

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