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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第125話 添い寝

「まさか盗聴器仕掛けてるなんて思わないよな~早めに見つけれてよかったよ」


「良くないよ! 私のせいでお兄は死にかけたんだよ? その左目の傷も両脚だってそう。永遠姉さんには隠せてるかもしれないけど私は気づいてるから! お兄の足が完全に治ってないってこと」


「……バレてたのか」


 確かに美空の言うように俺の足は完全に治ったとはいいがたい状態だ。

 勿論日常生活を送る上での支障はほとんどない。

 支障があるとすれば全力で走ることや足を使ったスポーツなどができないくらいだ。

 もともと俺は全力で走ったりスポーツをしてなかったからほとんど問題は無いんだけど。


「わかるよ。兄妹だもん。お兄の歩き方がなんか変だなってずっと思ってた」


「良く俺の事見てくれてるんだな」


「うん。私にとってお兄は一番大切な人だから」


「そっか。それは俺も同じだよ。俺の場合は同率一位がもう一人いるんだけどな」


 美空は俺にとって大切で特別な人間だ。

 永遠と同じくらい大切に思ってる。

 だから、こんなくだらないことで悩まないで欲しい。

 結果的に俺は生きてる。

 だから美空が気にする必要なんてないしそもそも美空にこの怪我の責任なんて全くない。


「今回の件で美空に責任なんかこれっぽっちもないよ」


「そんなことない! 私が盗聴器なんかつけられてなかったらお兄が轢かれることは絶対になかった!」


「それはないよ。あいつの執着心的にあの情報が無くても絶対に俺に危害を加えようとしていた。それが少し早まっただけだよ。むしろあの状況だったから俺は生きてたわけだし永遠とか美空にも危害が及ばなかった。だから感謝してるくらいだ」


 これに関しては美空への気づかいとかではなくて本心から思ってる。

 タイミングが違えば永遠や美空がもっと危ない目に遭っていたかもしれないと思うとこれでよかったのだ。

 左目が潰れたり少しだけ足に後遺症が残った程度で済んだんだから。


「でも、」


「でもじゃないって。これが事実なんだよ。目のことも足のことも美空が気にすることじゃないさ。ここまで言っても気にするって言うのならこれで水に流してやろう」


「いたっ」


 今日七海にしたのと同じように額にデコピンをした。

 言葉だけで納得できないのなら罰のようなものを与えれば納得できるのかもしれない。

 その気持ちは俺にもわかる。


「これでこの話を掘り返すのは無しな?」


「……なんでお兄はそんなに私に優しいの?」


「美空が大切だからだな。たった一人の妹だし俺が一番つらい時に支えてくれたのがお前だからな。大切にもするさ」


 俺にとっては唯一の肉親って感じがする。

 両親は俺のことを簡単に切り捨てたし大切とは思えない。


「私もお兄が大切だよ」


「ならよかった。俺は大切なお前が俺のことで悩んだり苦しんでいるのを見たくない。だからさ、俺は本当に気にして無いから美空も今回のことは気にしないで欲しい。それでも、どうしても考えちゃうなら素直に俺に話してくれ」


「わかった。一つお願いしてもいい?」


「なんだ?」


「今日は一緒に寝てくれない? ちょっと不安になっちゃって」


「いいよ」


 これ、浮気のうちに入らないよな?

 妹だし。

 永遠もわかってくれるはず。

 ……だよな?


 ◇


「なんかこうやってお兄と一緒に寝るの久しぶりな気がする」


「そりゃあ。この年で一緒に寝るのはあんまりないからな」


 昔は結構一緒に寝てたんだけど小学校中学年くらいからは一人で寝ている。

 だから本当にこうして同じベッドで寝るのは久しぶりなのだ。

 まあ、普通の兄妹はそんなことしないだろうし俺もこの年になって一緒に寝ることになるとは思ってもみなかった。


「でも、お兄とこうしてるのすごく安心する」


「あんまりしがみつくなよ。これワンチャン永遠に浮気って怒られるんだからな?」


「その時は私も一緒に怒られてあげる」


 美空はそういうながら俺の胸にグリグリ顔をこすり付けてくる。

 全くどの年になっても甘えん坊なのは変わらないな。


「ありがとな」


 頭を撫でると気持ちよさそうな声を上げる。

 それから数分ほど頭を撫でているとすやすやと寝息が聞こえてくる。

 どうやら疲れていたようですぐに眠ってしまった。


「全くお前はいろんなことを深く考え過ぎなんだよ。もっと気楽に生きろって」


 何度か頭を撫でてると俺も眠くなってきた。


「俺もそろそろ寝るか」


 手を美空の頭の上に置きながら俺は眠りについた。

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