第111話 メイド服回避! 避けられない着せ替え人形!
翌日の帰りのHRで昨日永遠が言っていたことをクラスのみんなに言ってみたら何とかこの案が通って女子はメイド服。
男子は執事服を着ての喫茶店を開くことになった。
名義上はメイド喫茶ということで行くらしい。
なにはともあれ丸く収まってよかった。
「じゃあ、出し物のテーマとかは決まったからメニューとかはまた後日考えよっか。あんまり手の込み過ぎたものは作れないからみんなその点を考慮して考えてきてね! それじゃあ解散!」
学級委員長のその一声でクラスメイトたとは教室から出て行った。
これから部活に行く人もいれば帰る人もいるのだろう。
俺も帰ろう。
「行こう空」
「だな。早く帰ろう。今日も疲れた」
本当に最近は毎日外出をしていて家で一日中ゴロゴロするということができていない。
疲れはたまる一方だ。
「最近空はずっと頑張っているものね」
「卒業しないといけないしね。ごめんね。せっかく付き合ってるのに休日にどこも行けないで」
ほぼ同棲をしている俺たちだけど俺が退院してからデートとかは全くしていない。
恋人同士なのに全くデートしていないって言うのは非常に申し訳なく思っている。
愛想をつかされないかも不安だし。
「そんなの全然気にしないでいいのよ? 空は私を庇って入院してたんだから。むしろ私が申し訳ないと思ってるくらいなのに」
「それこそ永遠は気にしなくていいよ。前も話し合ったけど永遠は悪くないんだからさ」
「じゃあ、空も私に申し訳ないと思う必要は無いわ。デートができないのは仕方ないことだと割り切ってるし。その分大学に入ってからたくさんいろんなところに行きましょう!」
「そうだね。そのためにも頑張らないと」
なおさら勉強を頑張らないといけなくなった。
合格すれば永遠といろんなところにデートに行けるのだ。
絶対に合格してやるぞ!
「そうね。勉強もだけど文化祭も全力で楽しみたいわね」
「だね! 当日は絶対に一緒に回ろう!」
「もちろんよ。喫茶のシフトも一緒にしましょうね。空の執事服見てみたいから」
「それを言ったら俺だって永遠のメイド服見たいな」
絶対に可愛い!
てか、文化祭は一般客も来るからナンパとかされないだろうか?
……ちょっと不安になってきた。
勿論永遠が他の男に靡くとは思ってないけど不快ではあるのだ。
「どうしたの? なんだか複雑そうな顔をしているけど?」
「いや、永遠がナンパとかされたらどうしようって考えてた」
「そんなこと? もしそうなっても空が助けてくれるでしょう?」
「もちろん。何かあったらすぐに俺に言ってくれ。どんな奴だろうと追い払って見せる」
多少手荒になっても永遠は絶対に守る。
まあ、文化祭でそんな問題を起こすような奴はいないと思うけど。
「頼りにしてるわね」
そう言ってにっこり笑う永遠の笑顔がまぶしすぎて眼球が蒸発しそうになったのはここだけの話。
◇
「へぇお兄のクラスはメイド喫茶することになったんだ~」
「そうだよ。あやうく俺がメイド服を着る羽目になる所だったぜ」
「それはそれで見て見たかったかも」
「いや、勘弁してくれよな」
メイド服を着るなんて俺はごめんだ。
というか、そもそも女装というのが俺はあまり好きじゃない。
勿論他の人がやっているのを見て気持ち悪いとかは全く思わないけど俺は自分がそういった装いが似合わない自信がある。
「でも、お兄の執事服とか見たことないからそれはそれで楽しみかも!」
「まだ、衣装をどうするかは決めてないけどな。レンタルするにしても予算は絶対に超えるだろうしその点をどうにかしないといけない」
学校側からある程度予算が下りるとは言ってもそんなに大量に下りるわけじゃない。
喫茶をするとなると材料費で大体が持っていかれると考えたら自腹を切らないといけないのだろう。
もっとも俺の場合は永遠から毎月いただいているお金があるので余裕があるのだけど。
入院中は一ミリも使ってなかったからかなりの金額が口座に入ってる。
「そこらへんは多分後日話し合うのでしょう? まあ空の執事服代金は私が出そうかしら。もちろんオーダーメイドで」
「そこまでしなくても……」
「私が見たいのよ。それに執事服くらいならあまり変わりがないしクラスで浮いたりもしないでしょう」
「それはそうだけど」
「いいじゃん! 永遠姉さんもこういってるし私もお兄の執事服見たいし!」
「でもな~時間が」
土日祝日はずっと補修がみっちり詰まっている。
その関係もあって服を見に行く時間が確保できなかったりするのだ。
「大丈夫。空の補修が終わった後に行けばいいから。疲れてるでしょうけど付き合ってくれるかしら?」
手を握られてそんなことを言われたら断るっていう選択肢はない。
こんなに可愛い永遠にお願いされるならどんなことでも聞き入れたくなってしまうのが惚れた男の弱みってやつかな。
「もちろん付き合うけど、お手柔らかにね」
「永遠姉さんそれ私も一緒に行ってもいいですか?」
「もちろんよ。空に似合う最高の服を選びましょうね!」
「はい!」
次の休日(補修はある)は着せ替え人形になりそうだと思った。
ま、2人が楽しそうだからいいか。
◇
「やっと日本に戻れそうなのか?」
「はい。今まで詰まっていた予定は無事に消化できておりますので三日ほど日本に滞在することが可能です。社長」
「そうか。それはよかった。久しぶりに娘の顔を見たいし娘の命の恩人にも礼を言わなければならんしな」
「そうですね。彼は無事に退院して今は学業を頑張っていると報告が上がってきております」
「それは聞いたさ。何ともいい男を捕まえたみたいだな。ぜひ私も顔を見てみたい。そう思わんか? セツナ」
「そうですね。あの子は今までろくに男の子に興味を示さなかったのに付き合ってまさか半同棲っみたいなことをしているのですから気になりもしますわ。久遠さんもそうなのでしょう?」
「当たり前だ。では行くとしようか日本に」
「ですね」
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