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3-23.収穫と進展

「ハル…好きだよ…」

 一面に薔薇が咲き誇る美しい庭園の中、優しく微笑んだ賢治が甘い言葉を囁きそっと顔を寄せて来る。遥はそれにぽっと頬を赤らめながらも流れに身を任すべく顔を上げてゆっくりと瞳を閉じた。

「ハル…愛している…」

 一層甘やかになった言葉と共に、腰と首筋に賢治の大きな手が優しく触れる。そのまま遥の身体は賢治の元へと引き寄せられ、遂には互いの唇と唇が重なり合う、筈だった。

「ハル、そろそろ起きろ」

 その言葉によって遥の目の前に広がっていた甘い光景が跡形もなく消え去ってゆく。 

「もう朝だぞ」

 そう呼びかける賢治の声は優しげではあるものの、先ほどまで聞こえていた熱っぽい囁きとはまるで違う、実に落ち着いた普段となんら変わりない物だ。

「夕方には帰るんだから、見て回る時間無くなるぞ?」

 三度目の呼びかけに、遥が閉じていた瞼をそっと開けると、そこではベッドの脇に立つ賢治が少し腰をかがめて、いつも通りの様子で覗き込んできていた。

「あー…」

 ベッドから身体を起こした遥はまだ若干ぼんやりとしている頭で、現在の状況を確認しようと周囲を見渡してゆく。当然そこは薔薇が咲く庭園等では無く、昨夜から宿泊しているホテルの部屋だった。

「眼、覚めたか?」

 問い掛けて来る賢治に遥は小さく頷きを返しベッドから立ち上がる。それから大きく伸びをした遥は、鮮明になってきた思考でつい今しがた見ていた夢の事を思い出して、再びベッドに倒れ込み思わず悶絶してしまった。

「むー!」

 冷静になって思い返してみれば色々と有り得ない。賢治があんなキザな訳が無いし、薔薇の庭園というメルヘンなロケーションも非現実的に過ぎる。そもそも、二人の関係性は一つのベッドで一夜を過ごした今にあっても、具体的な進展は何一つしていないのだから、今の段階で賢治の方から愛を囁く訳が無いのだ。

「腹減ったから朝飯食いに行かないか?」

 賢治が若干困った様子で実に即物的な事を言ってくると、遥はじたばたするのを止めてベッドから起き上がり小さく溜息を付く。せめて賢治が先程見た夢の一欠けらでもロマンティストな面があればと思わずには居られない。

「賢治、廊下で待ってて」

 ベッドから立ち上がった遥がバッグに手を掛けながら申告すると、賢治は不思議そうな顔をして首を傾げさせる。

「何でだ…?」

 察しの悪い賢治に遥はまた小さく溜息を付きながらも、それならばと、おもむろにパジャマの上着を脱ぎ始めた。

「なっ! ま、待て待て!」

 これに賢治は大慌てで制止を掛けて来たが、遥は構わず脱ぎ終えたパジャマの上着をベッドに投げ捨て、今度はズボンへと手を掛ける。上はまだパジャマの内にキャミソールを着ているが、下を脱げばそれは紛れもなく下着姿だ。

「わ、分かった! 廊下で待ってる!」

 着替えの手を止めない遥にいよいよ不味い状況だと察した賢治は、遥がパジャマのズボンを僅かに下ろしかけた辺りで逃げる様にして部屋を飛び出していった。

 賢治が部屋から出て行ったことを認めた遥は、小さく笑みをこぼして一人したり顔である。女の子である以上、本来なら男に着替えを見せる事は躊躇すべきではあるものの、これで賢治が自分の事をより一層女の子として意識してくれるのならば、遥としては願ったり叶ったりだった。


「賢治、お待たせ」

 着替えを終えた遥が廊下に出ると、壁にもたれ掛かって待機していた賢治は態勢を直してすぐ傍まで歩み寄って来る。

「随分掛かったな…」

 賢治が待ちくたびれた顔でそんな事を言うのも無理はない。遥が着替えを開始させてから既に三十分が経過しているのだ。実のところ遥は着替えついでに、昨晩逃してしまった入浴を済ませて来た所だった。

「女の子は支度に時間が掛かるんだよ?」

 尤もらしい言い訳をする遥だったが、賢治はその少し湿った髪を見逃さず僅かに苦笑する。

「風呂入るなら俺は外に出なくても良かったんじゃないか?」

 賢治の言う事は確かにその通りで、遥がバスルームで着替えればそれで済んだのだ。しかし遥が入浴の事を思い出したのは賢治が部屋を出て行った後なので仕方がない。

「ごめんね…?」

 遥も少々悪い事をした気がして謝りを入れると、賢治は小さく息を吐いてそれについてはそれ以上深く言及してこなかった。

「なぁ、ハル…」

 賢治は入浴についてはもう何も言わなかった代わりに、遥の姿を一瞥して無性に心配そうな顔を見せる。

「まさか学校でも男子の前で堂々と着替えたりして無いよな…?」

 先程の明け透けな行動が普段からなのではないかと、そんな危惧を抱いたらしい賢治だったが、流石に遥もそこまで分別が無い訳ではない。

「まさかぁ、それにボク学校で着替える事無いし」

 遥は相変わらず体育は見学なので、そもそも普段学校では服を脱ぐ状況が今のところは存在していないのだ。

「それならいいが、気を付けてくれよ…?」

 ほっとしながら尚も心配性の顔を見せる賢治に、遥は若干の悪戯心を働かせて小悪魔じみた笑みを覗かせる。

「どうして?」

 愛らしい上目遣いで問い掛ける遥に、賢治はその表情を引きつらせて深々と溜息を付いた。

「昨日も言ったと思うが…ハルは女の子だろ…」

 言わせたかった言葉を賢治から引き出した遥は満足感を覚えて小さく笑みをこぼす。そして遥は更にそれを推し進めるべく賢治に向って手を差し出した。

「な、何だ…?」

 差し出された手を賢治が怪訝そうにすると、遥は少し頬を膨らませて見せる。

「女の子をエスコートするのは男の役目でしょ?」

 その言葉でようやく遥の意図を察した賢治は、これについては別段不平不満を漏らすことなく素直にその小さな手を取った。

「それじゃ賢治、いこっか」

 昨日は賢治の方から唐突に手を握られ慌てた遥ではあるが、今ではむしろそうしてもらえる事が嬉しくすらある。にこにことする遥に促された賢治は、若干戸惑いをみせながらも僅かに微笑みと頷きを返し、二人は朝食をとるべく仲良く手を繋いでホテルのレストランへと向かって行った。


 遥と賢治はレストランでビュッフェ形式の朝食を済ませると、早々にホテルをチェックアウトして、今はパーク内の散策を開始させていた。

 ネーデルラントパークには、オランダのみならずヨーロッパ全般に纏わる多数のミュージアムがあり、その側面で言えば博物館や資料館の集合体だ。遥のお目当てはそんな中の一つ、オランダを代表する有名な絵本作家を扱っているミュージアムである。

「賢治! あそこだよ!」

 早速訪れたお目当てのミュージアムを目前にして気の逸った遥は、それまで握っていた賢治の手を放し、今にも駆け出さんばかりの勢いを見せた。

「あんまり慌てると転ぶぞ」

 賢治がたしなめるも、遥は聖地の本丸とでもいうべき場所を前にして、もう矢も楯も堪らない。

「だいじょうぶだよー」

 賢治の方へ振り返りながらお気楽な調子で手を振って見せる遥だったがしかし、次には石畳に足を取られてつんのめってしまった。

「はわっ!」

 賢治はこうなる事を半ば予感していた為に、すぐさま遥の元へ駆け寄り、伸ばした腕でバランスを失ったその身体を抱き留める。

「だから言っただろう…」

 若干あきれ顔の賢治だったが、遥は腰に回された腕の感触から今朝方見た夢がオーバーラップして思わず顔が真っ赤になってしまった。

「あっ…ぅ…」

 賢治の腕を振りほどくのも忘れてその態勢で硬直してしまった遥の顔は、そうこうしている間にも益々赤みを増してゆく。

「ハル、どうした…?」

 賢治が覗き込む様にして顔を近付けて来ると、それがより一層夢の光景とダブって、遥はこれには堪らず、弾かれるような勢いで飛びのき慌てて距離を取った。

「お、おい、危ないぞ!」

 賢治がそう言ったその直後、遥を軽い衝撃が襲いその身体が今し方距離を取ったばかりの賢治の方へと弾き戻される。遥は飛びのいた際に、運悪くそこを通りかかった来場客の一人と接触してしまったのだ。

「あら、ごめんなさい」

 ぶつかった相手は恰幅の良い中年の女性で、軽く社交辞令の謝りを入れてそのまま立ち去ってゆく。

「ご、ごめんなさい!…って…あわわっ!」

 遥もそれに謝罪を返しながらも、その身体はコントロールを失って今は慣性に身を任せるばかりだ。バランスを失った遥の眼前には腕を伸ばして、受け入れ態勢でいる賢治の姿が迫りくる。

「け、賢治…!」

 このままでは再び先程と同じ態勢になってしまう事に焦った遥は、なんとかそれを寸前で阻止しようと、地面を踏みしめるべく些か無理な姿勢で前方に右足を投げ出した。

「わっ…とっ…!」

 結果、遥は何とか態勢を立て直す事に成功したが、それと同時にフォローしようと前に踏み出してきていた賢治の腕がその身体を包み込む。

「大丈夫か?」

 賢治はほっとした顔で少し心配そうにするも、遥の努力は完全に水の泡だ。

「だ、大丈夫だから!」

 遥は慌てながらもたった今得た教訓を生かし、やんわりと賢治の腕を振りほどいて、ゆっくり身体を離そうと一歩二歩と後退る。しかし、後ろに左足を踏み出そうと右足に体重を掛けたその瞬間、足首付近に鈍い痛みが走った。

「つッ!」

 遥が苦悶の表情と共にその場にしゃがみ込むと、賢治がすかさず身を屈め覗き込んでくる。

「どうした?」

 賢治の問い掛けに遥が自分の状態を確かめるべく、先程痛みが走った足首辺りに触れてみれば、そこは少し赤くなって腫れていた。

「えっと…捻ったのかも…」

 恐らく先程無理な態勢で踏みとどまろうとした際の代償なのだろう。結局賢治の抱擁を回避できなかった事を考えると踏んだり蹴ったりだ。

「立てるか?」

 心配そうな顔で賢治が手を差し伸べて来たが、遥はそれを掴まず独力でその場から立ち上がろうと試みる。

「…つッ!」

 しかし右足を地面に付いた瞬間また鈍い痛みが走り、遥は再びその場にしゃがみ込んでしまった。

「駄目そうだな…」

 立ち上がれなかった遥の様子を認めた賢治は、眉間に皺を寄せ難しい顔をする。完全に自分の空回りと不注意が招いた結果だった遥は情けない気持ちでいっぱいだ。

「うぅ…」

 遥が自己嫌悪に陥って落ち込んでいると、賢治は何やら意を決した表情になって次には思わぬ行動に出た。

「ちょっと我慢しろよ」

 そう言いながら賢治は遥の上半身と下半身にそれぞれ腕を回し、その身体を横抱きにして持ち上げる。その態勢は俗に言うお姫様抱っこというやつだった。

「ちょっ! け、賢治!」

 以前何度か経験してはいる事ではあるが、今は多くの観光客で賑わうリゾート施設の真っ只中である。公衆の面前でお姫様抱っこ等という恥ずかしい態勢を強いられた遥としては堪った物ではない。事実突然の美男美女によるその実演は、俄かに周囲の注目を集めてしまっていた。

「お、下ろして!」

 遥は恥ずかしさから腕の中でじたばたとするが、賢治はしっかりとその身体を保持して放さない。

「危ないから暴れるなって!」

 賢治は遥を嗜めながら、衆人環視の中その態勢を維持して近場に有ったベンチまで歩みを進めてゆく。

「よっと」

 ベンチに座らされようやく恥ずかしい態勢から解放された遥だが、ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、次には賢治が跪くような姿勢を取ってその細い足にそっと触れて来た。構図だけ見ればさながらシンデレラとガラスの靴を履かせる王子様だ。ただし賢治はプリンセスストーリーとは逆に遥の足から靴を脱がすと、腫れている付近をやんわりとした手つきで撫でつける。

「ちょっと触るぞ」

 既にそれを言う以前に触られている事に突っ込みを入れたかった遥であったが、賢治が足首の腫れていた個所をダイレクトに触れた瞬間また鈍い痛みが走ってそれどころでは無くなった。

「ッた…!」

 遥が苦悶の声を上げると、賢治はすぐさま手を放し、次には腰に吊るしてあったヒップバッグからテーピングを取り出しそれを痛めている足首に施し始める。

「なんか…準備いいね…?」

 バッグからテーピングが出て来た事もそうだが、その手際も実に慣れた物で、遥は呆気に取られると共に思わず感心頻りだ。

「普段使ってるバッグだからな、大学で使う道具が入れっぱなしだったんだ」

 賢治が大学でスポーツ科学を専攻している事を知っていた遥は、その返答には大いに納得である。遥が感心している間にも処置は済まされ、賢治は脱がした靴を再び履かせると、立ち上がって手を差し伸べて来た。

「立ってみてくれ」

 今度は素直に賢治の手を取った遥は、それを支えにしながらまずは痛めていない方の足で立ち上がり、それから痛めている右足を恐る恐る地面に下ろす。

「どうだ?」

 賢治の問い掛けに遥は笑顔で頷き返し、大丈夫そうだと感じ軽くその場で足踏みをしてみた。流石に動かすとやはり少々痛みはしたが賢治がしてくれた処置のお陰で、何とか歩けそうではある。

「へーきそう」

 遥の返答に、賢治はほっとした顔を見せたが、それから小さく息を吐いて少々困り顔になった。

「つっても、あくまで応急処置だからなぁ…流石に切り上げて帰ろう」

 確かに状態的には何とか歩ける程度なので、このまま無理をしてパーク内の散策を続行すればいい結果にならない事は遥にも理解できる。しかし遥はまだ肝心な絵本作家のミュージアムを見れていないのだ。

「…あそこだけでも見てっちゃ駄目?」

 遥が上目遣いで伺いを立てると、賢治は嘆息交じりに渋々とそれを了承した。

「まぁ、直ぐそこだしな。だが、あれ見たら帰るぞ?」

 賢治の返答に遥はパッと表情を明るくして頷きを返す。遥としてはそこさえ見られれば心残りは無い。

「ありがとう賢治!」

 了承が得られた遥は賢治の手を引き、ゆっくりとミュージアムへと向かって進みだす。歩くとやはり少々痛みはしたが、目的地は目と鼻の先だ。幸いにもそこは入場ゲートにも程近い。ミュージアム内を見て回りそれから駐車場に行く間くらいは足も持つだろう。

「ハル、いざとなったらおぶってやるからな」

 足を引きずっているその様子を心配そうにする賢治はそんな提案をしてきたが、流石にそれは恥ずかしい為に何としても持ち堪えようと固く心に誓う遥だった。


 その後、賢治におぶわれる事無く無事憧れのミュージアムを心行くまで堪能した遥は、約束通りパークを後にして賢治の運転する車で帰路へと着く。当初は夕方ごろまで散策する予定であったが、思わぬアクシデントに見舞われた為に、パーク内は大して回れず時間もまだ昼前だ。とはいえ、遥の目的はあくまで賢治と連休を一緒に過ごす事と、例のミュージアムを見る事だったので特に不満はない。

「楽しかったね」

 満足顔の遥の発言に、運転する賢治は一瞬チラリと助手席に目をやり少し意外そうな顔をした。

「足、大丈夫か?」

 痛めた足を気遣う賢治の問い掛けを受けて、遥は助手席で少し足をプラプラとさせて痛みがそれ程では無い事を確かめる。

「うん、ちょっと痛いけど大丈夫」

 無事を伝える遥の返答にも賢治はどこか不安げな表情をみせ小さく息を吐いた。

「後でちゃんと医者に行くんだぞ…」

 自分の事を何よりも気遣ってくれる賢治の言葉を嬉しく思った遥は、その気持ちのままに明るく華やいだ笑顔を見せる。

「賢治、ありがとね」

 感謝の言葉を口にする遥をまた一瞬横目でチラリと見やった賢治は、珍しく照れくさそうな顔をして僅かに口元を緩ませた。

「あー…、まぁ、大学での勉強が役立ってよかったよ」

 感謝が処置に対する物だとする賢治に遥は小さく声をたてて笑いながら、短い時間ながらも色々とあったこの旅行の事を振り返る。当初は二人っきりでのお泊りと言うシチュエーションに一杯一杯だったがそれも今となっては良い思い出だ。

 この旅で一番の収穫があったとするならば、それは賢治が自分をある一面では女の子として認識してくれていると分かった事だろう。それを知ってからは少しばかり積極的になれた気もする遥は、これは小さいながらも大きな一歩だと確信して、胸の内で恋心を咲き誇らせていった。

「賢治、また二人でどこか泊まりに行こうね!」

 気持ちにつられて声を弾ませる遥に、賢治は前を向いたまま穏やかな笑みで頷きを見せる。

「ああ、そうだ」

 賢治はぐっと女の子らしくなった様に思える遥をこの旅で目の当たりにして、自分の秘めている想いを打ち明けられる日も近づいているのではないかという密かな期待を抱いていた。

 賢治の運転する車は同じ想いをそれぞれの胸に抱いた二人を乗せ、六時間の道のりを自宅へと向かって進んでゆく。この旅の間では具体的な進展のなかった二人だが、それでもその恋は、ゆっくり着実に前へと進んでいた。

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