『め』
メアリー・スー【めありーすー】
理想化された筆者の分身であるオリジナルキャラクターを指す語。蔑称。
1970年代にスタートレックの二次創作を書いている女性たちの作品に登場するオリジナルキャラクターが、作者の願望を満載したようで、理想化され、荒唐無稽かつ今でいう厨二病的なキャラクターであったという状況がある。それを揶揄する目的で書かれた二次創作小説の登場人物の名前。
最年少士官で最優秀で、異能力者で外見に特徴があり、出生に秘密があり、原作キャラを差し置いて活躍し、彼らからの尊敬と敬愛を手にして、劇的な死をとげたときには彼らが悲嘆にくれる。
元は二次創作の用語であり女性キャラクターであるが、このキャラクターを書いた作者がスーパーマンやジェームス・ボンドという一次創作の男性キャラクターもそうであるという話をしており、どちらにも使用できる。
男性キャラに対してはマーティー・スチューやゲイリー・スーなどの呼び方があるが定まっておらず、日本では男女問わずメアリー・スー表記で問題ない。日本でこの言葉が使われるようになったのは2000年代以降である。
「俺TUEEE」や「自己投影」とも関連して言われるが、何をもってキャラクターをメアリー・スーと判断するかは主観によるものであり、安易に認定するのはよろしくない。悪意的に言ってしまえばエンターテイメントの大半の主人公だってメアリー・スー的だと言ってしまうことができる。
例:『ドラゴンボール』の孫悟空って外見に特徴があって、出生に秘密があって、世界に7つしかない秘石の継承者で、それを求めて若い女の子がやってきて、力強く、見ただけでかめはめ波を使えるようになるとかマジチート。鳥山明の自己投影満載のメアリー・スーじゃね?と言うだけならできてしまうので注意。
メイド【めいど】
個人宅に雇われ家事を行う女性使用人のこと。
歴史的な話をすると、中近世ヨーロッパにメイドという職業は存在しない。存在するのは侍女と使用人である。そして一般の使用人は男性率が高い。労働力であり、有事の戦力であるためである。女性使用人は侍女、乳母・子守り、家庭教師程度であった。
→侍女【じじょ】参照。
メイドという職業の成立は19世紀後半のイングランドから。アメリカ独立戦争の戦費調達のため男性使用人に対する課税が行われたため、女性使用人、メイドが使われるようになった。さらに女性使用人は男性使用人に対して賃金が半分以下、場合によっては1割にも満たないため、中産階級が上流階級の真似をしてメイドを雇う事が可能となり、ヴィクトリア朝イギリスにおいて最盛期を迎えた。
第一次世界大戦を契機として男性労働力が出征してしまうことなどから女性の雇用促進、社会進出が進み、メイドという職業は衰退していく。
日本においては女性の奉公人は古くから存在するが、いわゆるメイド的な文化の走りは大正時代の女給であろう。
ただし現代のメイド萌えの嗜好の起点に関しては90年代のアダルトゲームが契機となっているため、粗雑な歴史考証、または安易に性的な方向への改変が繰り返されたものである。例:ミニスカート、主人に対する(主に性的な)服従など。
一方で2000年代には森薫の『エマ』及び『シャーリー』がヴィクトリア朝ロンドンのメイドを中心とする風俗を精緻に描いてるので、読んでないなら読め。読むんだ。
なろうの異世界を舞台にした作品において、中近世ヨーロッパ風異世界にメイドがしばしば登場するが、これも史実ヨーロッパとは異なるナーロッパの一種であると言える。ノクターンにおけるメイドはアダルトゲームの系譜といって間違いあるまい。
またなろうに限らずサブカルチャー全般でメイドが高い戦闘能力を有するという作品がしばしば見られ、武装メイドなどと呼ばれたりする。
この起源となる具体的な作品名は不明だが、本来は非戦闘員であるキャラクターが実は強いというのは昔から見られる造形であり、その中で形成されたかと思われる。
恐らくここまで広まった契機は『東方紅魔郷』に登場する紅魔館のメイド長、十六夜咲夜であるかと思われる。
ちなみにすごいどうでもいい事を言うと、歴史的に言ってメイド長は上級使用人だから実は彼女はメイドじゃない。
目が滑る【めがすべる】
読んでいて頭に入らないこと。するすると文字だけ追って内容が頭に入らない状況。発生する原因は様々だが、個人的に一番目が滑るのはこれ。
小鉄貨=1円
中鉄貨=10円
大鉄貨=100円
小銅貨=1000円
(略)
大ミスリル貨=1000000000000円
あと冒険者ギルドのランクの説明も。テンプレで既に読者の頭に入ってるようなのをそのままなぞられたり、逆に複雑な設定が垂れ流されていて物語になっていないとか、文字が詰まりすぎていて読むのがしんどいとかが原因となる。
だいたいこれが続くと読者が離れる。
召される【めされる】
貴人が近くに呼び寄せるという意味の「召す」+受け身の「れる」から「天に召される」という表現が存在する。つまり「死ぬ」と同義。
転じてキャラクターや作品に、好き・萌え・尊いという気持ちが高まり、何か悪いものが浄化されていくような気持ち、天に召されそうな精神状態となっていること。
メッセージ機能【めっせーじきのう】
他ユーザへメッセージを送る機能。他のユーザには見られない、メールのようなものを送ることが可能。
ログイン状態でメッセージを送りたいユーザのマイページに行き、「メッセージを送る」ボタンを押すことでメッセージが作成できる。また自分のマイページからも作成できるが、そこからだと「お気に入りユーザ」にしか送ることができない。
現在はユーザ登録後7日間は送れないというルールが追加された。使い捨てのアカウントを作成して罵倒のメッセージを送るなどというやり方をやり辛くさせるための良い制限であろう。
メリーバッドエンド【めりーばっどえんど】
物語の解釈あるいは視点・立場によって、幸福なのか不幸なのか意味の異なる、解釈の分かれる結末のこと。
通称メリバ。2010年以降にネットにおいて作られた造語である。
色々な解釈のできる結末を表す用語はオープンエンディングだが、これは読者に解釈を委ねることに主題が置かれ、それに対してメリーバッドエンドは幸福なのか不幸なのか?という点により注目した表現であると言えるが、あくまでも造語であり正確な解釈は存在しない。
ヒーローとヒロインが無辜の民の無数の屍の上に結ばれたとしたらどうだろうか。本人たちは幸せだろうが、周囲の人間や読者から見たら悲劇であろう。
逆に世界を救って死ぬヒーローは?それが満足して死ぬならともかく、本人が納得いってなかったらどうだろう?
基本的にエンターテイメントにおいて読者はハッピーエンドを嗜好するので、好む人と好まない人に分かれるので、エンディングが事前にこうなると分かっている場合はキーワードに記載しておくことを推奨したい。
メリバ【めりば】
メリーバッドエンドの略。
→メリーバッドエンド【めりーばっどえんど】参照。




