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『なろう用語の基礎知識』第七稿  作者: ただのぎょー


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『ほ』

ポイント乞食【ぽいんとこじき】

 クレクレに同じ。より悪意的な言い方。

 →クレクレ【くれくれ】参照。


法衣貴族【ほういきぞく】

 フランスの17世紀ごろの法服貴族を元に作られたと推定される単語であり、なろうでは『八男なんて、それはないでしょう!』で2013年に使用されたのが後続の作品に大きく影響したかと思われる。

 意味は領地を有さないが爵位を有する貴族の意であり、宮廷内において官僚のような仕事をしている。

 歴史的には国家が貧窮すると爵位を金銭で売るようになり、土地を持つ古来からの貴族には下に見られたり反発を受けた。

 宮爵など同義の単語を自作する作者も存在する。


冒険者【ぼうけんしゃ】

 夢のある謎の職業または呼称。英語で言うとアドベンチャラー。

 なんらかの目的、それは名誉や利益であったり、本人またはだれかの知的好奇心を満たすため、あるいは冒険そのものを目的として未踏の地を旅する、危険な行為・試みを敢えて行う人のこと。

 大航海時代や極地探検の人々が分かりやすいところか。大人から見て大したことないことであっても、子供たちが冒険者であるというタイプの話もある。『トムソーヤの冒険』『スタンドバイミー』など。

 フィクションにおける冒険小説の源流を辿ると神話やら『オデュッセウス』などにたどり着くであろうが、騎士道における遍歴の騎士の物語やピカレスク小説、アメリカなら西部開拓の物語など、どの時代においても物語の類型として好まれている。

 現代のファンタジーやなろうにおける冒険者像はロールプレイングゲームの影響が強い。冒険を通じて富や名声を得ようとする職業であるが、実際のところ冒険者ギルドなる組織に所属する派遣とフリーランスの間のような職業に近く、ギルドの依頼により近隣に現れたモンスターの討伐や近場に存在するダンジョンの探索、危険地域を通る隊商の護衛などという仕事を受ける職業である。

 駆け出しの冒険者という存在が薬草を拾ってきたり街中の清掃をしたり、町内の荷運びをしていてもはや冒険とは何なのかと思う次第である。


冒険者ギルド【ぼうけんしゃぎるど】

 実際には存在しない組織。組織名として同業者組合であるギルドの名を関するが現実のギルドとは異なる。

 初出は日本のTRPG黎明期であり、原型は『ソードワールド』や『ロードス島戦記RPG』。それまでのTRPGが単純にダンジョンに潜って敵と戦ったり罠を回避して宝物を得る。レベルを上げてダンジョンのさらに奥に潜る。というものだったのが、ファンタジー世界のフィールドや街などを舞台としていこうとなったときに冒険者という存在が発生し、その取りまとめをする組織として設定されたもの。

 ここで問題となるのが流れ者の武装勢力を誰が信用して仕事を依頼するのかと言うことである。それを補うために冒険者という設定ができ、その依頼を持ってくるものとして冒険者ギルドの原型ができてきたのである。

 で、例えばTRPG黎明期に酒場の主人からの依頼で悪徳奴隷商人の馬車を襲撃して奴隷を解放してくれという依頼を受けて実行し、奴隷商人を殺して奴隷を連れてきたら領主の軍に捕まるみたいな話がある。実は領主が悪であり、善良な商人を流れの冒険者に殺させ、冒険者に罪をなすりつけてその財産を差し押さえようとしたのだった。酒場の主人は領主の手先だったのだ。

 こんなシナリオが良くあり、プレイヤーがGMにキレると、「依頼の裏を取らないのが間違いでしたね」とか「依頼を受けたのが間違いでしたね」などと言われるのである。

 この話の問題として、そういう話がリアルであるかどうかということではなく、そのGMに当たったプレイヤーが以降ひたすらGMを信用せず裏付けを取り続けて話が進まなくなるのである。これを嫌い、信用でき依頼の裏も取ってくれる組織としての冒険者ギルドが設定されるようになった。

 この後も各種便宜が図られるようになり、銀行機能やギルドカードのシステム、国際的な信用、素材の買取と組織が肥大化していき、MMORPGのギルドシステムも含まれるようになって現在に至る。

 故に冒険者ギルド的な組織の存在は現実的には不可能であるのだが、これをリアリティ重視で無くそうとするとマジで冒険が面倒臭くなることは注意が必要だ。


暴力ヒロイン【ぼうりょくひろいん】

 理不尽暴力系ヒロインとも。ヒロインの属性の1つであり、嫌われやすい要素でもあるもの。

 古くは『シティハンター』の『槇村香』のようにオープンスケベであったり普段はぐうたらな主人公に対するツッコミ役としての暴力であった。

 しかし時代の変化もあり、普通に善良な人物であったり無個性な主人公が増える中でも、主人公に暴力を振るうヒロインというキャラクター要素が残る。

 無論これは好意の裏返しであったり照れ隠しの表現なのだが、主人公の立場からしてみれば理不尽なものも多く、読者から見ると「なんでこんなに日々暴力を振るわれているのに主人公はこのヒロインを好きでいられるのか?」と疑問を抱かせてしまうこともある。

 なろうにおいては暴力ヒロインへのカウンターカルチャーとして、暴力ヒロイン(特に幼なじみ)と決別するタイプの作品が流行したことが何度かある。2020年の前半は特に大きく流行となった。


ポエム【ぽえむ】

 ジャンルの詩に関しては別途記載。

 →詩[その他]【しそのた】参照。

 長編小説の1話にプロローグとして置かれてある、妙に詩的で意味の分からない文章のこと。話の先が分かっている作者にとってはエモいのだが初見の読者には何の意味もない。というか良くて読み飛ばされ、最悪その段階でブラバされる案件である。

 すでに固定ファンがついている作者がやるならまだ良いが、普通はやめておいた方が良い。なろうはオープニングで読者引きつけられるかが勝負ですよ!


ポーション【ぽーしょん】

 1回分に小分けされた液体状の服用薬のことを示す英単語。現代の薬をこう表現することはほとんど無く、伝承や魔法的な薬をそのように言う。例:魔女の惚れ薬。

 ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズにおいて使用すると即座にHPへのダメージを回復するアイテムとして登場して有名となる。

 なろうにおいてもなんの説明もなくポーションと表現された場合、HP回復の薬のことを意味していると考えて良い。『ファイナルファンタジー』において、ポーションは飲んでもかけても良いという説明があり、本来飲み薬を意味するポーションを傷口にかけるという使い方がなされるようになった。まあ、魔法の薬だしね……。


ホーム【ほーむ】

 なろうにおいてはユーザページのこと。

 → ユーザページ【ゆーざぺーじ】参照。


☆【ほし】

 なろうにおける評価システムが、かつては文章評価とストーリー評価の5段階評価で合計2〜10ptの評価点であったものが、今は「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」という名前に変更され、⭐︎マークをクリックするようになったもの。⭐︎1つは2ptなので、合計値は変わらない。ただし奇数点の評価ができなくなった。

 かつては2か所評価し、評価の送信を確認するページに移動していたものが、ワンクリックで気軽にできるようになったのは素晴らしい。

 以前より評価される頻度は確実に増えていると言え、昔の作品よりも現在の作品の方がptは高くなりがち。特に短編で顕著。

 素晴らしいのだが、⭐︎が読み上げられないため視覚障害者ユーザに対応していないなど、問題点がないわけでは無い。改善が待たれる。

 さて、この作品の下部にある☆だけど、ちゃんと☆が★になってる?ここまで読んでるんだし評価してもいいかなって気にはなるでしょ?さあ!(評価クレクレというやつである)


ポストアポカリプス【ぽすとあぽかりぷす】

 黙示録の後を意味する。現代の世界の文明が破滅した後の世界を描く。『終末もの』という言い方もあるが、その場合は世界が破滅していく最中を描くものも含まれる。

 ポストアポカリプスでは大規模な災害や戦争により人類の既存文明が崩壊し、その後に生き残った人々が文明崩壊後の世界でどのように生きているかが焦点となるが、その崩壊がどういった原因でどの程度の規模であったのか、崩壊直後なのか崩壊から長い年月が経っているのかという要因によりその雰囲気は大きく変わる。『北斗の拳』も『風の谷のナウシカ』もポストアポカリプスものだが、その雰囲気は異なるであろう。拙作『なまこ×どりる』もそうである。


ホットスタート【ほっとすたーと】

 冒頭に読者の興味を引くイベント、インパクトの強いイベントを置いて読者を引き込む手法。小説、映画、TRPGなどで良く使われる。

 エンターテイメントでなくとも、太宰治「走れメロス」の一行目、「メロスは激怒した」などもホットスタートと言えよう。

 オープニングでバトルシーンを置くのが一般的。ミステリーなら「冒頭に死体を転がせ」もホットスタートを表す言葉。

 なろうにおいて最も多いのは断罪シーンを冒頭に置くことがそれである。


POP【ぽっぷ】

 泡がはじけるの意。

 コンピュータゲームにおいて敵が出現するの意。スポーンに同じ。

 →スポーン【すぽーん】参照。


ホラー[文芸]【ほらーぶんげい】

 なろうにおけるジャンルの1つ。読者に恐怖感を与えることを主題とした小説。全体的に短編の比率が高い。

 なろうの公式企画の1つ夏のホラーが行われるジャンル。


ポリコレ【ぽりこれ】

 ポリティカル・コレクトネスの略称。意味は政治的正しさ。用語における差別や偏見を無くすために政治的に正しい言葉を使おうという意味であり、英語のミスやミセスがミズとなったり、看護婦が看護師になったりしたものはポリコレの思想である。

 ポリコレ思想そのものは悪では無い。

 ただしそれを理由に個々の作品などあらゆるものを正しくしようとする、ポリコレ思想家はそうでないものにとって嫌われる存在であり、創作者にとって敵であると言える。

 あらゆる思想のものに対して開かれる社会は理想的だが、1つの作品の中で全ての人種や思想に対して平等には書くことは不可能だからである。

 例:『政治的に正しい七人の侍』という作品を作るとしたら、7人のうち3人は女で、白人と黒人が2人ずつ入ってきて、日本人じゃない黄色人種も入ってきて、ゲイとレズが1人ずついて、1人は身体的障害者で1人は精神障害者、クリスチャンとムスリムとヒンドゥーが入ってきて、多分野武士と戦う前に内紛で自滅する。


本垢【ほんあか】

 複垢を持つユーザにとって、投稿などを行うメインのアカウントのこと。

 →複垢【ふくあか】参照。

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i521206
― 新着の感想 ―
[一言] >駆け出しの冒険者という存在が薬草を拾ってきたり街中の清掃をしたり、町内の荷運びをしていてもはや冒険とは何なのかと思う次第である。 そういえば、日本ファルコムの軌跡シリーズでは冒険者じゃな…
[一言] >なろうにおいては暴力ヒロインへのカウンターカルチャーとして、暴力ヒロイン(特に幼なじみ)と決別するタイプの作品が流行したことが何度かある。2020年の前半は特に大きく流行となった。 一時期…
[気になる点] ポストアポカリプスの説明中で、 『こちら』が指すものがポストアポカリプスの方なのか終末ものの方を指すのかが分かりにくい文章だと思うので修正した方が良いかも。
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