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第34話 帝

~~~ 損料屋 ~~~~~~~~

ここは損料屋(そんりょうや)

損料屋とは物や人の貸し出しをすることろ。

衣装や日用品に至るまであらゆる物の

貸し出しをしている。

人に至っては荷物運びや掃除などの

依頼に応じて、人を手配するという形で

貸し出しをしていた。


だが、これらの話は表向きであって、

ここの損料屋は裏稼業をメインに活動してる。

実は国から認められてない用心棒の

貸し出しをしていたのだ。

そう多くのいかつい連中を抱えているのである。


ある客間にて(あるじ)と客人が密談する姿がった。


井口「経頼(つねより)殿のおかげで、吉原の連中に

   タダ飯を食わさずにすんだ。

   感謝いたす。」

経頼「拙者(せっしゃ)が仲介人になっただけのこと。

   仕事が取れたのはお主の手腕だ。

   かくまって頂いてる身。

   感謝するのは拙者の方だ。」


損料屋の主は、毒殺事件で桐生(きりゅう)の屋敷から

逃亡した井口であった。

全国で指名手配中の身であり、他国へ逃亡したと

噂されているが、この店に身を隠していたのだ。


同席する客人はというと武田家の長男、

経頼である。

彼もまた忍びの追ってから逃げてる身。

井口の手の者によって、ここで身を隠して

いるのであった。

追われてる理由については薄々感づいている。

この井口と関わっているのが原因だ。


井口「ここが退屈なのは理解するが、

   毎晩そう出歩いては隠れる意味なかろうに。」

経頼「外に出ねば生きてる意味ない。

   それに用心棒が付いおる。

   心配などしておらん。

   寝床の襲撃に備え、ここに滞在してる

   までのこと。」


隣の部屋がなにやら騒がしい。


井口は立ち上がり(ふすま)を開ける。


井口「何事だ!」


側近が駆け寄る。


側近「(みかど)、失礼する。

   文種(ふみたね)殿が切られた。」

井口「バカな!

   まさか一人で挑んだのではあるまいな?」


側近「見張りによると、医者が1人でいる

   ところを4名で襲いかかったとのこと。

   その4名とも一瞬で倒されたようです。」

井口「あの医者が?

   剣術の達人だったのか?」


側近「いえ、それが丸腰だそうです。

   素手にて立ち回ったとのこと。」

井口「4人が刀を振り回して、

   素手で倒したとでもいうのか?」


側近「誠に信じがたいですが、

   左様であります。」

井口「バカな。

   毒針でも使ったでのはないか?」


側近「かも知れません。

   何分、遠くからの監視だったと。」

井口「遺体は確認してないのか?」


側近「それが、役人が現れ、早々に

   退散するしかなかったと伺っている。」


経頼「割り込んで済まぬが、

   毒針を使ったにせよ。

   そ奴は手練れであることに違いない。」

井口「確かにな。くっそ!

   あの医者何者だ?」


経頼「そのような(やから)ならば

   是非とも仲間に加えたいところだ。」

井口「それはできん相談だ。」


経頼「左様か。

   ならば寝床を襲うしかあるまい。」

井口「だな。」


井口は側近に命令を下す。


井口「ということだ。

   次は油断するでないぞ。」

側近「は!」


側近は一礼して立ち去る。

井口は襖を閉め、元の位置へ腰かける。


井口「お騒がせした。」

経頼「なになに、楽しませてもらった。

   その医者、どのような人物か

   興味が湧いたぞ。」

井口「そいつは残念。

   もう会うことはなかろう。」


経頼「下部(しもべ)どもには帝と名乗らせてる

   が如何なものかと。」

井口「何か問題でも?

   将来そうなるのだから良いではないか。」


経頼「帝とは殿より上位。

   藩の連中が聞いたらタダでは済まぬぞ。」

井口「藩を恐れては反乱など出来ぬ。」


井口は剣術に覚えがあるものを集めている。

それは藩に対して反旗を起こそうとしてるからだ。


現在、井口はお尋ね者である。

見つかれば、領主殺害の罪で死罪は免れない。

他国へ逃げることも考えた。

だが、井口に幸運が舞い込んだ。

それは風雷が起こした相馬での襲撃である。

井口は目をつむり当時のことを思い返す。


あの日、井口は助けを求め、手下2人を

引き連れて屋敷に来ていた。

通用門でノックをしても返答がない。

中庭から漏れる音は乱闘の様子。


♪ガタガタ


通用門の鍵か解除される音がし、

敵かも知れないと警戒して急いで茂みへと

身を潜めると、出て来たのは

風雷と沙樹であった。


井口はなぜこんなところに医者いる?

と思いつつも中へ入ると、死人の山を

目のあたりにする。

想像だにしてなかった光景である。


これが医者の仕業なのか、それとも医者も

被害者で逃げ出しかのかは判断つなかい。


犯人はだれだと見渡すと領主と側近連中が

殺害されたのを目撃する。

領主の死を見て、井口に悪意が芽生えた。

それは領主の金を略奪するということ。

屋敷には何度も来ており、番頭の動きから

資産の保管部屋は特定してる。


井口は、その部屋へと移動し、半信半疑で

探すと大量の小判を発見できた。

その数なんと3千両。


だが、最悪にもその現場を女中に

見られてしまった。

屋敷内は全員死んでいると勝手に

思い込んでおったが、生き残りがいると知り、

井口は手下2名に全員殺すよう指示を出す。


こうして、風雷が屋敷を去ったあと

井口の手によって、生き残りが全員皆殺し

にされた上、藩へ納めるはずの小判も

全てかすめ取っていったのであった。


井口は相馬から奪い取った金を資金源に

ごろつきどもを集め、損料屋を始めることに。

今は表だっての行動は避け、タイミングを

見計らってる。

そう、藩に対して政権を奪い取ろうと

しているのであった。


経頼「兵は何名集まっておる。」

井口「2千人ほどだ。」


経頼「相手は3万。まだまだではないか。」

井口「城にはせいぜい1千人ほどしかいない。

   頭を使えば勝てるはず。」


経頼「だと良いのだが。」

井口「周辺の武家を仲間に引き入れようと

   するから、藩に見つかり真っ向勝負

   となるのだ。

   我々だけで城に奇襲を掛ければ

   勝算はある。」


~~~~ 診療所 ~~~~~~~

そのころ風雷は診療所に戻っていた。

窓を少し上げ、尾行がないことを確認する。


風雷はなぜ自分が襲撃されたのか見当も

つなかい。

見境なく襲われたのではない。

待ち伏せされていた。

どう考えてもターゲットは自分である。


刺された下っ腹を確認するも既に完治してる。

だが服は血で赤く染まったままだ。


風雷「参ったな。服を買い替えないと。

   あんな連中が来る度に服を

   買わないといかんのか。」


依頼主の名を思い返す。


風雷「帝という奴は何者なんだ?

   どこに居る?

   見つけ出す必要がありそうだな。」

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