第27話 くノ一
~~~ とある賭博場 ~~~~~~~
♪チンチロー
男1「三六」
男2「一六」
男3「二二」
男4「四五」
男3「またあんたの勝かよ。」
男4「・・・」
男1「ちっきしょーめ。」
ここはサイコロを使った闇賭博場。
役人に見つかれば即お縄だ。
にもかかわらず多くの人が集まっている。
賭博は4、5人で行い。
現在、10グループによる白熱したやり取りが繰り
広げられている。
見物人もおり、たまに参加したりする者もいる。
会場には庶民から金持ちまで幅広い層が集まっては
いるが、グループによって掛ける額が異なり、
金持ちは特別の間にて高額でのやり取りが行われて
いるため、地位の異なる者同士が顔を合わせること
などない。
博打のルールはいたって簡単。
参加者は決められた金額を場に出す。
そして2つのサイコロを順番に1人1回振るだけ。
出た目の小さい方で勝敗を決める。
グループ内で一番大きい数を出した者が
お金を総取りできるというものだ。
すなわち六六の目が一番強いということになる。
2つのサイコロの出目が同じ数のことをぞろ目という。
そのぞろ目で勝った際は、倍支払わなければ
ならない。
男1「一四」
男2「五五来た!今度こそもらった。」
男3「三四」
男4「六六」
男2「なんでだよ。貴様、いかさましてるな。」
男3「そうだ。さっきからおかしい。
お前さんが負けてるところ見てない。
だいたい顔隠しやがって怪しすぎる。」
男1「顔、覚えられたらまずいのだろう。
頭巾取って素顔見せやがれ!」
男4「素直に負けを認めれば!
ぞろ目だよ。ほら、出しなさいよ。」
先ほどまでと違って、男4の声のトーンが上がった。
男3「貴様、女か?」
男2「女は賭博禁止のはずだぞ!
奪った分、全て返せ。」
男1「そうだ!そうだ!」
ついに声でばれてしまった。男4は少女だったのだ。
頭巾で目元しか確認できないが、10代の少女で
あることは間違いない。
少女「はぁ、あんたらも禁止でしょ。」
男2は懐から刃物を取り出し少女の前に出す。
男2「有金全部出しな!そしたら許してやる。」
少女「出すのはあんたの方でしょ!」
男2は、少女の腹へ刃物で刺そうとしたとき、
男2は横に倒れた。
・・・
いったい何が起こったというのだ。
男1「うわー。」
男3「うわー。」
その場の男2人は恐怖で後ずさりする。
男2の額に短剣が刺さっていたのだ。そう死んでいる。
それは少女の仕業である。
周囲も気付き、会場は混乱となる。
便乗して金を奪って逃げだした者も出てきた。
体格のいい男が立ち上がり、少女の前へと立つ。
大男「おい。あんたのせいで場がめちゃくちゃだ。
この騒ぎ、どう落とし前付ける気だ?」
少女「静かにさせればいいんでしょ。」
大男「お前!女か?」
次の瞬間、体格のいい男は足元から崩れ倒れた。
見ると首に短剣が刺さっている。
周囲「わー-。」
周囲「逃げろ!」
会場にいた人たちは外へと逃げ出す。
襖が開き。3人の男が登場した。
親分「この騒ぎはなんだ!」
少女が、真ん中の男の前へと行き話掛ける。
両脇の男は護衛役のようで、その少女を警戒し刀を抜く。
少女「あんた。赤井だね?」
親分「ん?女子か?顔を見せよ!」
少女「まぁ、どちらでもいいわ。全員殺すから。」
少女は、瞬時に短剣を投げると、3人は同時に倒れる。
反撃する隙さえ与えず、3人とも何が起こったのか
わからないまま死んでしまった。
少女は周囲を見渡し、この場に誰もいないことを
確認する。
そして、奥へと単独で進んでいった。
~~~ 畠山城 ~~~~~~~
謁見の間。すだれ越しに人影が見える。
忠輔「殿!よろしいか。」
内光「何事。」
忠輔「凛が参られた。」
内光「通せ。」
内光は畠山藩の藩主である。
そして、忠輔はその側近にあたる。
すだれが上へとまくり上げられると、正座する2人の
人物が現れた。
1人は侍で、もう1人は女性だ。
侍は、側近の忠輔である。
対する女性の方は、黒一色で軽装な身なりをしている。
お城に来るには失礼な格好だ。
正規のルートで来たならば門で止められていた
ことであろう。
だが、彼女は城の瓦を渡ってここへ
来たのである。
そう彼女はくノ一の忍者なのだ。
内光「もう終わったのか。仕事が早いのう。」
忠輔「はい、赤井だけでなく。
ついでに一味も一掃されたそうです。」
その報告で、殿は笑みを浮かべ満足そうだ。
内光「やはり凛は役に立つ。」
凛 「めっそうもございません。
それが私の使命であります。」
凛 「殿にお土産を持ってきました。」
凛は持参した箱を正面に置き、ふたを取って
中を見せる。
すると大量の小判が入っているではないか。
内光「は、は、は、は。」
殿が大声で笑う。
内光「ついでにかすめ取って来たか!」
凛 「はい、あの場に残しても汚れるだけ。
ならば、殿に使って頂いた方が
銭も喜ぶかと。」
忠輔「左様ですな。
そのような大金があるから犯罪があるのじゃ。
よい。判断であった。」
凛 「ありがとうございます。」
内光「お主は大活躍をした。
しばらく休ませてやりたいが、
もう1つ頼んでもよいか?」
凛 「大変ありがたいお言葉。
何なりと命じてくださいまし。」
忠輔「相馬のところの武田経頼を存じておるか?」
凛 「武田家の長男ですね。」
忠輔「そうだ。その男だ。
我が藩に対し反旗をひるがえそうと企てているようだ。
既に200近い強者を揃えていると聞く。
状況を確認し、真とこであれば経頼を消せ!」
凛 「御意。」
凛は、1礼して立ち去る。
帰りも同じ。
正門を通らず、天井に上がて屋根の上へと出る。
天気が良く見晴らしがいい。
誰も見ることのできない自分だけの景色に酔いしれる。
仁「凛も来てたのか?」
凛は驚き、その声の主へ振り向く。
凛「兄上、ご無沙汰です。半年ぶりでしょうか。」
兄上と呼ぶその男は、凛と似たような格好をしていた。
城の屋根をのこのこと歩ける人物など限られている。
そう彼も忍者なのだ。
仁「元気そうでなにより。
凛の活躍はつねづね聞いておるぞ。
我が一族として鼻が高い。」
凛「ご謙遜を。兄上には遠く及びませぬ。」
凛は兄上と呼んではいるが、2人は実の兄弟ではない。
忍者の中で、兄弟子と弟弟子の関係から
そう呼んでいるだけだ。
和やかに会話してると思いきや、突然。
仁が懐から短剣を出し、凛の心臓めがけて投げる。
凛の表情が変貌し、瞬時にかわして短剣が通り抜けて行く。
凛はかわしつつも太ももから短剣を取り、仁の首へと投げる。
だが、その短剣は仁によって素手で握られ軌道を止められた。
仁「成長したな。もう凛には勝てない。」
凛「嬉しゅうございます。でもその言葉には騙されません。
全力でないことはわかってますから。」
仁「落ち着いたら飯でも食いに行こう!」
凛「はい。楽しみにしております。」
2人はその場を立ち去った。




