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第15話 犯人捜し

==== 登場人物 ====

風雷⇒主人公。バンパイアであり医者

沙樹⇒ヒロイン。領主の娘

尚隆⇒桐生領の領主

利玄⇒用心棒

時谷⇒番頭

生口⇒番頭の片腕

美津⇒4人の女中の1人。死亡

~~~ 桐生家厨房 ~~~~~

♪ゴソゴソゴソゴソ

猫「ギャー―!」


黒猫は殺気立って籠に中で暴れている。


利玄「なんだ。この猫は?」

風雷「毒を口にして錯乱しておる。

   近寄らん方が身のためだ。」


尚隆「毒?」

風雷「ああ。猫とここの美津(みつ)殿が

   ザザの毒を口にしたようだ。」


風雷は猫が騒がしいので、少し離して鳥籠を置く。


尚隆「それで美津の容体は?」

風雷「残念ながら、お亡くなりだ。」


利玄「どこに毒を。」

風雷「朝食に盛ったのだろう。」


利玄「毒を盛ったものは、だれだ?」


利玄が周囲を見渡すも長年共にした

仲間しかいない。

この中に犯人が居るとすれば!


利玄「風雷!貴様か?」

沙樹「風雷様は違います。

   犯人ではありません。

   騒ぎを聞きつけて来て頂いたのです。」

利玄「左様か。」


利玄は風雷に頭を下げる。


利玄「済まぬ。」

風雷「よい。この中で一番怪しいのは私だ。」


尚隆「咲愛(さくら)、店を閉めよ。

   客を被害にあわせてはならん。」

咲愛「かしこまりました。」

女中の咲愛が店へと走る。


尚隆「全員この場に留めよ。動くことは許さん。」

利玄「朝から屋敷を出入りした者はおらん。

   犯人はこの中だ。

   怪しいのは、厨房の者だ。」


厨房には板前の2人と、女中の4人がいた。

女中の1人が死亡。

残る5名が怪しいと利玄は考えている。

まぁ、当然であろう。


板前1「ちょっと待ってくれ。

    この中にそんな恐ろしいこと

    考える者など居りません。」

板前2「そうです。

    我々は旦那様に良くして頂いている

    こんなことをする理由がない。」


生口「この御膳に毒があるというか?」

風雷「口にしてみないと分からんがな。」


大きなテーブルに領主たちが食する予定の

御膳が並べられ、料理が盛りつけてあった。


利玄「犯人は女中を狙ったのか?」

奈衣「いえ。そこの猫が、沙樹様が食する

   お魚を(くわ)えて逃げたので、

   旦那様の物も猫が口にしたのでは?

   と思い。急遽その魚を女中の

   まかないにしたのです。

   女中は交代で急いで食べる必要が

   あるため、美津様が先に食事を

   済ませようと、このような事態に。」


女中の一人である奈衣(なえ)が答える。


利玄「ということは。

   領主と沙樹殿にお出しするはずの

   御膳に毒が盛られてたいということだな?」

奈衣「左様でございます。」


生口「領主を殺害しようとは不届き者である。

   御膳の盛り付けをした者は誰だ!」

涼 「わたくしです。」


女中の1人。(すず)が名乗りでる。


生口「貴様が毒を盛ったのか?」

涼 「いいえ。わたくしはそんなことしません。

   信じてください。」


涼は周囲の目を見て、無実を訴える。


生口「毒を隠し持って、おるまいな?」

涼 「そんな恐ろしい物。持っていません。」

生口「どれ、確かめさせよ。」


生口は、涼の袖口に手を入れる。

そして何かを発見し、全員に見えるように取り出す。

それは小さく折られた白い紙であった。


生口「なんだね。これは?」

涼 「存じません。」


その場の全員がその紙に注目する。


風雷「毒かも知れん。私に確認させよ。」

生口「これが何なのか先生に

   調べて頂いた方がいい。」


風雷はゆっくりと、折りたたんである紙を

広げると。

なかに砂糖のような白い粉が入っていた。

風雷は、粉を小指に付けて口にする。

そして、急いで白い紙を折り返し元へ戻す。


風雷「ザザの毒だ。」

尚隆「真か?」


風雷「ああ。猫が口にしたのと同じ物だ。」

尚隆「風雷殿。それを口にして大丈夫なのか?」

風雷「私は毒に効かぬ体質だ。心配ご無用。」


涼 「ああ。」(T_T)


涼は大泣きし、その場に崩れる。

沙樹は、涼の元へと駆け寄り、

うずくまる涼を覆う。


沙樹「何かの間違いです。

   涼がそんな事、するはずがありません。」


沙樹は心の底から涼が犯人ではないと信じている。


利玄「沙樹殿、証拠が出ては言い逃れできんぞ。」

生口「今直ぐ、役人を呼へ!」


食事処へ行っていた咲愛が戻って来た。


咲愛「旦那様。

   風雷様のご友人と名乗る方いらしてます。」

風雷「私が薬箱を運ぶよう頼んだ者だ。」

尚隆「通してやれ!」


一重「これでいいか?」

風雷「ああ。」


一重は薬箱を風雷に手渡し、耳元で小声でささやく。


一重「もしかして手遅れだったか?」

風雷「いや。持って来てくれて助かった。」


尚隆「涼。申し開きはあるか?」

涼 「旦那様。わたくしは犯人ではありません。」(T_T)


涼は、尚隆の足首を掴み、悲痛な声で訴える。

尚隆は、仁王立ちで涼に問う。


尚隆「ではこの薬はなんだ?」

涼 「わたしくも知りません。

   なぜ袖に入っていたかも知らないのです。

   信じてください。」(T_T)

沙樹「父上。私は信じます。

   涼は犯人ではありません。」(T_T)


沙樹もいっしょに涙を流し、父上を説得する。


一重「その娘は店で見掛けるが良い子だ。

   ワシも犯人とは思えん。」

利玄「部外者は口を出すな。」


一重は奥へと隠れる。


尚隆「奈衣!済まぬが役人を呼んで来てくれ。」


役人が来たら涼は終わりだ。

捉えられ、どう無実を主張しようが、

自分が犯人であると自白するまで、

拷問を受け続けることになるだろう。

そして、その末、命を落とすこととなる

のは見えている。


それを悟ってか、一人の板前が

尚隆に向かって土下座をする。


板前1「役人だけは、呼ぶのを勘弁してください。」

板前2「俺からもお願いする。

    涼がやったとは思えない。」


続けて板前2も土下座をする。

すると奈衣、咲愛の女中も無言で

尚隆に向かって土下座をする。


利玄「貴様ら分かっておるのか!

   仮にも領主を殺害しようとしたのだぞ。

   共犯とみなすが良いか!」


風雷「一旦、落ち着かれよ。

   既に、殿方らはいろいろなところを触とる。

   指に毒が付着してるやもしれん。」


風雷は説明しながら、薬箱から手ぬぐいと薬を取り出す。

竹筒の水筒から水を手ぬぐいに染み込ませ、

更に取り出した薬を濡れた手ぬぐいへと溶かす。


風雷「少量でも毒が口に入れば危険だ。

   あの猫のようになろう。

   この手ぬぐいに毒を中和させる薬を染み込ませた。

   全員の手を拭く。

   役人を呼ぶのもいいが、これをしてからにしろ。」

尚隆「その通りだ!皆の衆、風雷殿に協力せよ。」


風雷が、一人一人の手を綺麗に拭いてあげた。


涼は、立ち上がり、近くにあった小型ナイフを手にする。

そして、自身の手首を切ろうとした。


沙樹「自害はいけません。」

風雷「止めとけ。」


風雷が、ナイフを持つ手を握り阻止する。


涼 「あーー。」(T_T)


涼は足元から崩れ、沙樹が受け止める。

風雷はしゃがみ込み、最後の1人である涼の手を優しく拭く。


涼 「わたくしが犯人です。

   わたくしが1人でやりました。

   厨房の皆さんは関係ありません。」 (T_T)

沙樹「涼、嘘おっしゃらないで。

   わたくしは信じません。」 (T_T)


風雷「犯人は涼殿ではない。落ち着け!」

沙樹「風雷様。」


生口「何を言う。

   今、自分で犯人と名乗ったではないか。」

利玄「確かに。証拠もあるしな。」


尚隆「風雷殿。説明してくれぬか?」

風雷「この手ぬぐいは、毒を中和させると同時に

   毒を浮き上がらせる働きがある。

   涼殿の指を見てみよ。

   心と同様にこんなにも美しいではないか。」


その場の全員が自身の指を確認するも特に変化は見られない。


風雷「もし、ザザの毒をつまんだ者がおるのであれば、

   その者の指は紫色に変色してるはずだ。

   なあ、生口殿。」


風雷は、生口の顔を見る。

それに引きずられて、全員が生口に注目する。

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