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俺なんかとは違って皆はラブコメしてるなぁ……と思っていました  作者: 向井 夢士
第2章

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47話 まとめ

 俺が音野先輩を更生させたいという気持ちを一通り話すと、皆の反応は様々だった。


 進藤さんや琉生なんかは俺を見て少し笑っていたし、玉島先輩や後輩の晴菜なんかは俺の事を興味深そうな様子で見ていた。


 そして……納得がいかないといった様子だった松家さんは、俺の気持ちを聞くと黙り込んで何かを考え込む様子に変わる。

 自分の気持ち、そして俺の気持ちを踏まえて色々と考えてくれているのだろう。


「拓海君は私が想像していたよりも遥か遠くの所まで……もう行っていたんですね」

「と、遠くの所って?」

「私個人の考えなので、拓海君は忘れてください。それと、拓海君の気持ちはよく分かりました。私もできる限り協力します」

「ほ、ほんと?」

「……改めて、拓海君は凄い人だと実感させられました。私もまだまだです」

「そんな事ないよ。面倒くさい人間なだけだから」


 松家さんが少し笑いながらそう話す。俺の考えにも納得してくれたみたいだ。


 はぁ……本当によかったあぁぁ……。


 ある程度は揉めるんじゃないかと思ってはいたけど、このピりついた重苦しい空気もあって本当に怖かった。


 松家さんの雰囲気、本当に凄かったな……。


 やっぱり、松家さんは怖い雰囲気よりも今みたいな優しい雰囲気が似合う。



「たっくんの気持ちは分かった! 一緒に気持ちぶつけちゃおっ!」

「玉島先輩、一周回って楽しんでません?」

「もー楽しむしかなくない? 音野先輩に対しての好意的な感情は消えちゃったし、今はこのグループの方が大事だと思うからさ。協力してくれる皆の為にも頑張りたいと思うし、やる気も満ち溢れているよ」

「絶対に成功させましょう。玉島先輩の為、そして音野先輩の為にも」


 辛い思いをしている玉島先輩、そして闇に落ちてしまった音野先輩の為にも、この作戦は絶対に成功させたい。失敗は許されないしね。



「あと話しておく事は……音野先輩とのメッセージのやり取りぐらいかな。進藤さんとかには話したけど」

「あー水城君が私のフリするみたいなやつね。どうだった?」

「端的に言うと、音野先輩は進藤さんの事をめちゃくちゃ狙ってる感じかな。誤魔化したりしてのらりくらりとかわしてはいるけどね」

「りょーかい。音野先輩もなかなか手が出せない状況だとは思うから、ここはあえて冷たく接してみようかな」

「いいと思う。音野先輩も動揺すると思うし」


 岩田先輩や松家さん、それに孝蔵さんも親睦会に参加するとなると、音野先輩も迂闊に手は出せない。


 そしてそんな状況になれば、音野先輩は俺を使ってどうにかしようとするはず。そこまでいけば音野先輩に従う理由もないし、攻撃するチャンスも増えるだろう。


 敵を倒す事において、裏切りやスパイ行動は有効……ってな。裏切りなんかはいつの時代にも語られる事だし、裏切り者も成功すれば英雄になれるからね。敵をどうやって上回るかが、本当に重要なのよ。



「じゃあ話もまとまってきたから、まとめに入ろうか。まず明後日の親睦会に最初から参加するのは、俺、進藤さん、松家さん、岩田先輩、孝蔵さんの五人。相手は音野先輩を含めて四人なので、合計九人って事になりますね」


 話も進んで方向性が固まってきた事から、俺は作戦のまとめに入る。


 泣いても笑っても……この親睦会次第。良くも悪くも、明後日で全てが決まる。


「松家さん、そして孝蔵さんは音野先輩の友達を引き付けておいてください。音野先輩の矢印が進藤さんに向いている以上、俺と岩田先輩は音野先輩の動向を見ながら進藤さんをカバーしないといけませんから」


「拓海君のお願いとなれば、私も頑張らないといけませんね。気合が入ります」


「無理する必要はないからね? 危険だと思ったら、すぐに俺たちに知らせてくれ」


「……水城君、私はどうしたらいいかね?」


「孝蔵さんについても、先ほど話したような感じで大丈夫です。空気を読めないような感じで、松家さんと共に音野先輩の友達を引き付けてください」


 音野先輩と対峙する上で邪魔な友達の存在は、孝蔵さんと松家さんに引き付けてもらう。


 音野先輩たちにとって孝蔵さんは邪魔な存在だろうし、抑止力にもなる。ありがたく力をお借りしよう。


「岩田先輩は全体を見つつ、俺は音野先輩を指示を受けながらもできる限りで動きます。進藤さんは音野先輩をかわすだけで大丈夫かな。手は出しづらい状況だと思うし、最悪の場合は脅したりしても大丈夫だから」


「りょーかい。まっ、水城君や岩田先輩もいるから心配はしてないよ」


 ボイスレコーダーやカメラなども最悪の場合に備えて準備しているし、孝蔵さんの存在もある。リスク管理は十分だ。


「次に玉島先輩ですね。俺としてはある程度時間が経った後、音野先輩が友達と離れて一人になったタイミングで決行したいと思っています。タイミングについては……俺か岩田先輩が連絡するという事で」


「そうだな。水城は音野先輩に色々と指示される可能性もあるし、基本的には俺が涼香に連絡する流れになると思う」


「岩田先輩の言う通りですね。とりあえず、玉島先輩は心を落ち着かせながら待ってたら大丈夫です。絶対に……気持ちを伝えるチャンスを作りますから」


「大丈夫だよ。皆の事は信頼しているし、私も頑張るから」


 どうにかして音野先輩が逃げられない状況を作り、音野先輩を一人にする事ができればベスト。

 

 玉島先輩の為にも気持ちを伝える機会は作らないといけないし、俺も音野先輩には言いたい事がある。

 俺らの気持ちを聞いて、音野先輩がどうするかだな。



「琉生と誠一は、進藤さんの家のどこかに隠れて待機。これも……岩田先輩が場の状況を見ながら連絡する感じで」


「わかった。緊急事態や音野先輩を追い詰めるタイミングになったら、俺がすぐに連絡する」


 琉生や誠一がいるのも心強い。二人とも信頼は出来るし、緊急事態が起きても対応しやすくなるからな。


 あとは隠れる場所が問題だが……。


「んーそうだなぁ。何なら、二人とも私の部屋に隠れておく?」


「い、いや! それは流石に……俺も少しきついというか……」

「ぼ、僕も琉生と同じ意見かな」


「そう? ならどこがいいかなぁ」


「それなら、二階にある物置き部屋を使うといい。物置き部屋ならそんなに警戒もしないだろう」



 進藤さんが迷っていたところに父である孝蔵さんが物置き部屋を提案してくれたので、二人は物置き部屋に身を潜める事となった。


 確かに、物置き部屋なら入るケースもなさそうで警戒もしないか。孝蔵さん、ナイスアイディアです。


 それに、進藤さんの部屋に潜むのは男としてかなりキツイものがある。誠一はともかくとして、琉生までそんな事を言ったのは少し意外だったけどな。

 琉生あいつ、女子の部屋とか全然気にしないようなタイプだと思ってたわ。



「そして最後は晴菜と彩夏ちゃんか。この二人は主に裏方だね。できる限りで当日の状況を伝えていくから、何か気づいたことがあったらいつでも連絡してくれ。あとは玉島先輩や孝蔵さんからの繋がりで協力してくれた大人たちと一緒に、何かあった時に備えて待機かな」


「わかりました! でも拓海先輩……私と彩夏ちゃんだけ影が薄すぎますせんかっ!?」


「これが最善策だと思うし、晴菜は良いとしても彩夏ちゃんにはちょっと難しい状況だからな。今回はサポート役で頼むよ」


「おぉ……!? 拓海先輩、ちゃんと私たちの事も考えてくれてたんですね!」


「もちろん」


「拓海先輩、やっぱり凄い人だ! じゃあ今回はサポートに徹するので……いつか私と彩夏の分も埋め合わせしてくださいね! ほらっ、彩夏も何でも言っちゃいなよ!」


「え、えっ!? え、え、えと……そ、その」


「晴菜も彩夏ちゃんを困らせるんじゃないよ。心配しなくても、二人にも今回のお礼はいつかするつもりだから」



 相変わらず、この後輩二人の関係は微笑ましいな。見てて何かほっこりする。


 それに晴菜の奴、後輩力が少し高すぎやしませんかね?



「これで終わり、だな。明後日に音野先輩を懲らしめるよう……皆で頑張ろう!」


「あ、あのーお、俺は?」



 最後の会議も終わってあとは頑張るだけ……! という雰囲気になっていたところに、まだ一人だけ触れていない男がいる事を俺は思い出した。


「尾行でもう終わった気になってた。そ、そうだな。倉島も戦力にはなるから、何かあった時のために裏で控えといてくれ」


「おぉぉぉい! 俺だけ扱いが雑過ぎるってぇえ!」




 ごめんな倉島。お前はオチに使わせてもらうわ。

 

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