81. 貴女の背中にいれば世界の半分はあんしんなの。私の後ろもでしょ?くっつけていようね。Our Backs
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語彙力が終わってますが、ありがとうしか言葉がありません!!
ありがとうございます!!!
かげろうとはるひが負傷した部下を引き連れて、皆が1つ所に集まる場所へ逃げ延びてきた。
それと同時に怪我がある程度治まったアルタークが先刻の雨でできた炎の抜け穴を通って丘から戻ってきた。
……そうして、ある光景をみた。
――この世界で今まではるひしか見たことがなかったアイの姿を――。
◇◆◇
「わたくしは“この国を統治する任務”をファンタジア国王から拝領した、ミルヒシュトラーセ家が1人!」
「私は“この国に君臨する権利”をファンタジア国王から賜った、ツエールカフィー公王が娘!」
「――“アイ・サクラサクラ―ノヴナ・フォン・ミルヒシュトラーセ”だ!!
……覚えておけ!!」
「――“ラアル・ツエールカフィーナ・フォン・ファンタジア”である!!
……覚えておきなさい!!」
そうしてラアルとアイは少しの後ずさって、背中をピッタリとくっつけた。
◇◆◇
アイと相対している女は考えていた。
――まずいな。心を配っているということは、どこからでもいつでも、僕を攻撃できるということだ。
問題はその範囲だ、正直この糞餓鬼はこころをもつものだから、今から僕が一瞬で動ける範囲は全て囲まれている可能性が高い。そうなると、とりあえず心の残量や部分部分の防御が薄くなることは無視して、全身に心を纏うしかない。
――そうして、僕の一番得意な“妬みの矢”でアイツの脳天をぶち抜くしかない。問題は氷と炎だ。
……わざわざ僕を苛つかせる為に、あのクソ不知火不知火どもみてぇな心を使いやがって……。
しかし見たところ、わざわざ危険を冒してまで僕に触れるために、接近したということはアイツの炎は自分の身体か、もしくは自分が触れている場所にしか顕現させられない可能性が高い。
正直戦闘経験で言えば、マンソンジュ軍士官学校で2年を過ごし、風紀委員にまでなった僕のほうが圧倒的に多い。それを活かした立ち回りをする必要がある。あの今だにマンソンジュ軍士官学校の風紀委員だったことを自慢している馬鹿はどうせ負けるだろうしな。
そうなると、経験の浅い弱者が冷静さを欠く、近接戦にあえて持ち込むか。丁度此奴は僕を遠距離特化型の心者だと思っているようだしな……。
◇◆◇
ラアルに憎しみの目を向ける女は考えていた。とにかく憎きシュベスターの弟であるアイを殺したいと、そうしてアイの頸をあの糞コネ風紀委員長に投げつけてやると。
――この糞王女の心は毒だ。そして射程距離それほどない。
つまり、俺とは条件がほぼ同じ。
だが、俺の“嫉妬の拳”は相手に直接ブチ込むのが一番効果がある。だから、この王女の短い射程距離でも完封できると踏んでわざわざ相手を入れ替えたんだろう。あの糞餓鬼も姉を襲った俺をぶち殺したいだろうに……。
チッ……一年坊主のクセに一端の心者みたいな戦い方をしやがる、生意気な塵が。
どうする?あの生徒会長にすらなれなかった出来損ない女には期待できない。どうにかしてこの王女をぶっ飛ばしてから、糞餓鬼を殺すかいや、それとも――
◇◆◇
アイの眼前にいた女が突然一直線に走り出す、広範囲に心を配られているなら、その利点を潰すために即座に接近戦に持ち込むためだ。
アイは目の前に氷壁を出してそれを止めようとするが、相手の拳によって砕かれてしまう。
そうして、女はアイを直接矢で刺すために、掌のなかにそれを顕現させながら、一步確かに軸足を地面に叩きつけた――!
◇◆◇
奇しくもラアルの前に立ちはだかり、アイの後ろ姿を睨めつけていた女も同じ行動に出る。
つまり、全速力でラアルに向かって走ったのだ。先刻までやり取りでわざわざ爆風で飛ばさないといけないぐらい毒にはスピードがないことを見抜いていた、だからラアルが心を練る前に、練ったとしても自身の心を纏った脚でならばかわせると踏んだのだ。
ラアルは急いで、全身に毒を纏い待ちの姿勢にはいる。たとい一撃もらったとしても、自分に触れた相手は戦闘不能になるからだ。
女がラアルを殴りかかる。
しかしそれはブラフで本当は、触れられると毒に侵されなおかつ待ちの姿勢に入ってくれたラアルを無視して、最初から狙っていたアイの後ろ姿に殴りかかる――!
◇◆◇
アイの眼前に迫っていた女は、踏み込んだ軸足が地面にのまれるのを感じた。
「――!?」
思いっきり地面を足で叩きつけようとしていたので、体勢を大きく崩してしまう。何よりも、足が何かに犯され、激しい痛みが脚を登ってくる。
「ぐあぁああぁあ!!?」
◇◆◇
アイに殴りかかった女はラアルの毒によってアイが突如視界から消えて驚く。そして対処する暇もなく、足が地面に吸い込まれていくのを感じた。
「!?!?」
その瞬間アイとラアルはお互いのサファイアとルビーの瞳を映して、一瞬のアイコンタクトをとる。お互いの瞳の青と赤が写り、2人の目が同じアメジストの紫色に染まる――。
そして、お互いの右腕の肘と肘をコツンとぶつけ、その瞬間に同時に心を爆発させる――!
その勢いでクルリとお互いの位置が入れ替わり、足を取られている2人の脚に、遠心力を利用して氷と毒の拳を直撃させ、膝の皿を割る。
「「があぁあぁあ!!」」
2人が倒れ込む。
「私の前でアイを狙うなんていい度胸ねぇ?アイを一生かけて護ると誓った私の前でねぇ……!」
「クソッ……毒液出自分たちの周りの地面を腐敗させていたのか……!!」
「この使えねぇ滓の方だけじゃなく俺の方にも心を配っていたとは……!!」
「あぁ!?使えねぇのはお前のほうだろうが!」
「……さて、ラアルさま。
……この不届きな輩共をどうしましょうか?」
「まぁ、戦闘不能にしとけばいいでしょ」
アイとラアルが2人に近づく。
……アイは握った拳を氷で固め、肘で炎を燃やしながら、ラアルは開いた掌に毒液を纏いながら。
「ヒッ……まってくれ僕は此奴に騙されただけなんだ!!」
「ハァ!?だまれ!俺は、俺は……“ロイヤル”に唆されただけだ!!アイツらが全部仕組んだんだ!!」
ラアルが呆れたように言う。
「土壇場で仲間割れして、組織まで売る……高貴さの欠片もないわねぇ……。」
アイも続けて言う。
「それにもう一つの忠実さも。」
「「ひっ!たすけ――」」
アイは全力の拳を相手の顔面にめり込ませる。足を壊して、顔を殴りつける、いつもエレクトラにやられてきたことだ。
ラアルは毒液の掌で相手の顔を掴む。すると、相手の顔から煙が上がり、どんどんと腐り落ちていく。
◇◆◇
「……ふぅうう、なんとか、終わりましたね。」
「アイっ!大丈夫!?
ケガしてない?擦り傷もない!?」
わたくしを目一杯に抱きしめるラアルさま。
――心配して抱きしめてくれるなんて、おかあさまとは正反対で、おかあさんみたいだなぁ。
「大丈夫ですよ……。ラアルさま。ラアルさまこそ、わたくしは心配です。元々は軍学校じゃなくて、神学校の出身ですし……。」
「ふふーんこの高貴なる私を傷つけられる者はいないわ!私のうつしさもね!!誰にも傷つけられないわ。私に弱点はないんだから!」
「ほっ……よかったです。ほんとうに、ほんとうに。」
「……!」
ラアルさまがほんとうに愛おしいものをみるような瞳で、掌で伝えてくれる。
「……私に弱点があるとしたら、貴女だけよ……アイ。
それに、私が多分一生勝てないのもね……だってよく言うじゃない?
『惚れたほうが――』……じゃない!何でもないわ!気にしな――」
ラアルさまが驚いている。どーしたんだろう?なんだか、ラアルさまがゆらゆらとしている。にじんでいく。
◇◆◇
丁度その時合流したかげろうとはるひ、そしてアルタークは……ある光景をみた。
――この世界で今まではるひしか見たことがなかった、アイの姿を。
つまり雨のそぼ降るような、アイの泣き顔を――。
※一応Xではキャラの日常やIFのイラストを1日複数回投稿しています。
https://x.com/QlinouMWMHX4eBW?t=w-JYkw0YPyld7k1b8gSo9g&s=09
仕事が忙しすぎて、障害が悪化したので1週間ほどお休みします。
すみません!
1週間以内には次の投稿する予定です。




