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【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


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第40話(1)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 あの子供が、俺の息子なのか?


 宗介は信じがたい気持ちで一杯だった。

 毎月、自分としては大金を亜矢に手渡している。つもりだった。給料からではなく、以前から貯金していた金を切り崩していた。亜矢は「足りない」と毎回言ったが、最後には「まあ、神様からのお金もあるし」と、言って笑った。


 父親には連絡を取っていない。

 取る気にもなれなかった。


 信じていた人物に、裏切られたときとよく似た感情が、父に向けられた。

 今は何も話したくなかった。だから、父親がいくら支払っているのか見当もつかなかったが、亜矢の格好を見る限り、相当の金額だと思った。

 自分は着飾り、子供はあんなにボロボロ。

 やり場のない怒りと、やっと見つけ出した祐介への思いに、涙が溢れそうになった。

 いつの間に、隣りに綺麗な顔立ちをした色白の女が立っていた。女が「カナちゃん」と大声を出したことで、宗介は我に返った。

 宗介は涙を堪え、軽く会釈すると、女も小さく微笑み会釈を返した。


「暑いですね」


「ええ……」


 会話は続かなかった。しばらくして、女は再び公園に向かって大声を出した。


「カナちゃん、いい加減に早くしなさい。ご飯が冷めちゃう」


「わかったよ、いまいく」と子供が大声を出した。二、三言、祐介と何やら話しをすると、母親の元へ走り寄ってきた。

 子供は何か言いたげに宗介を見上げ、結局何も言わずに母親と公園を後にした。


 その日、始めて会った息子は、自分によく似た瞳を持っていた。何とかして、この子と暮らし、守らなくてはいけないと思った。

 宗介はすぐに祐介と打ち解けることが出来た。

 どういう訳か、祐介は宗介を何一つ疑わなかった。こんなに警戒心のないのは危険だと思い、祐介に「おじさんのこと、怖くないのか?」と訊ねた。すると、祐介は真顔で答えた。


「なんでか、おじさんのこと、こわくないんだ。それに、ともだちが、おじさんのこと、わるいひとじゃないって、しんようできるっていったんだ。ぼくもそうおもった」


「おじさんが、ごはんくれるから?」と訊ねると、祐介は表情一つ変えず、むしろ感情がないかのような顔で「そうじゃないよ」と答えた。


「ほかのおじさんだったら、ついていかないよ。ぼくだって、そこまでばかじゃない」


 顔は無表情の割に、どこか感情的でもあるその台詞に宗介は笑い、同時に嬉しくも思った。照れくさい気分になり、無性に祐介を抱きしめたくなったが、それは止めた。祐介は、触れられることを極端に怖がった。時々忘れて頭を撫でたり、祐介の手を取ると、その度、身体を硬直させた。








最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

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