第39話(2)
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それは、五ヶ月目で分かった。
宗介は地図を片手に、街を歩き始めた。推測の域ではあるが、この辺りを虱潰しに探せば見つかるかも知れない。範囲は広かった。だが、そんなことは気にもならなかった。どこからともなく湧き出る執念が、宗介を歩かせたのだ。
宗介が探し始めて一ヶ月が経とうとしたときだった。もう時期、亜矢から金の催促が来る。その前に、何とかして家を見つけ出し、自分の子供を見てみたかった。何がそこまで自分を動かしているのか分からなかったが、宗介はどうしても捜し出さなければいけないと思っていた。
亜矢を見る度に、えも言われぬ不安感に襲われた。子供のことを聞いても、亜矢は何も答えない変わりに、妖艶な笑みを浮かべ、愛のない口吻をして立ち去った。
昔はあのような笑い方はしなかった。
宗介は亜矢の笑みを思い出し、頭を左右に振るう。服の中を得体の知れない生き物が這い回るように、背中を撫で回す。夏だというのに、寒気がした。出ている汗は、暑さのせいなのか、冷や汗なのか、分からない。どちらにしても、油分を含んだ汗だ。
夏の終わりを惜しむように蝉が鳴き、公園に設置されたスピーカーから、昼を知らせる音楽が流れ出した。
暑い日差しを仰ぎ見る。
そんな時だった。
通り過ぎようとした公園から、子供の声が耳に飛び込んできた。
公園へ顔を向けると、二人の男児が遊んでいた。七歳ならば、あの子供くらいだろうかと思いながら通り過ぎようとすると、数人の子供が宗介の脇を通り過ぎ、公園で遊んでいる子供を指さした。
「あ、ビンボーユースケだ!」
その言葉に宗介は振り向いた。
「祐介……」
宗介は公園にいる子供に目を向けた。どちらかが、自分の子供かも知れないと思った。
「ちょっと君たち。ひとつ、訊きたいことがあるんだ」
宗介は立ち去ろうとした子供達を呼び止めた。子供達はあからさまに怪しげな目を向けてきたが、宗介は気にすることなく訊ねた。
「いま、祐介って言ったね?それは、佐々木祐介くんのことかい?」
「おじさん、だれ?」
「祐介くんのお父さんの知り合いだ」
子供達は顔を見合わせたが、一人が「そうだよ」と答えた。
「あの、ちっちゃいきたないほうが、ユースケ。ちょう、ビンボー」
子供の指さす方へ目を向けた。指の先には、痩せ細った、背の小さな子供を指さしていた。
「もういいよね。ひとつ、こたえたんだから」
一番、怪しげな目を宗介に向けていた子供が言った。宗介が子供達に目も向けずに「ああ、ありがとう」と囁くように言うと、子供達は駆け足で立ち去った。
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