第39話(1)
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「あなたの前から消えてすぐよ。妊娠していることが分かった。堕ろそう何て考えもしなかった。少なくとも、あの時はまだ、あなたを愛していたから。子供を産んだことで、お金がすぐに無くなっちゃってね。何だか、急に腹立たしくなった。それでお父様に連絡をしたのよ。世間体を散々気にしていたし、外に子供がいるなんて知れ渡ったら大変だろうと思って、きっとお金をくれるって。当然、最初は信じなかった。でもこっちがDNA鑑定して発表したっていいんだと言ったら、信じたわ」
「……子供の名前は」
宗介は青ざめ、どこか憔悴しきったような表情をし、擦れた声を出した。
「あなたの漢字を一文字もらったわ。ユウスケ。しめすへんに右って書く、祐よ。辞書で調べていたら、神が助けることって書いてあった。だから、『神様』に助けられますようにって、願いを込めたわ。お陰で願いは叶っている。祐介のお陰で、二戸神様という『神様』からお金をいただけている」
不気味な笑い声が、微かに聞こえてくる。笑うと言うより、地の底から湧き出るような不気味な声だ。
亜矢は宗介にも金を要求した。宗介は子供に会わせて欲しいと頼んだが、それは断られた。本当は子供がいないのでは、と頭を過ぎった宗介に、亜子は宗介の心を読んだかのように言った。
「子供がいるのは本当。それがあなたの子供だと言うことも。祐介は今年で七歳になる。十月生まれよ。私が居なくなった日から逆算すれば、馬鹿でも分かるわよね?あの頃の私は、あなた以外に付き合っていた人はいない」
「写真くらい、ないのか」
「無いわ。知ってるでしょ。私が写真嫌いだって。それだけは今でも変わらないわ」
それから亜矢とは毎月、指定された場所で会うことになった。亜矢から非通知で一方的に電話がかかってくる。指定される場所はいつも違う。どうにか居場所を突き止めようと着けたこともあったが、亜矢の方も慎重で、毎度、撒かれた。しかし、収穫がなかったわけではない。それは、三度目に着けたときに気がついた。亜矢は毎回違う道を通っていたが、車が最終的に向かう方角は同じだった。どんなに回り道をしても、必ずある地区の付近へ向かっていた。
宗介は道路地図と周辺地図を購入し、亜矢が車を走らせた通りと、撒かれた場所をペンでチェックを入れた。来月もう一度、亜矢を尾行すれば、場所が確定できるかも知れないと思った。
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