表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/113

第32話

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 要は祐介のベッドの上に腰を下ろすと、「さて、どうしたのもか」と、腕を組み、唸った。

 祐介は、麦茶の入ったグラスを勉強机の上に置き、椅子に座る。


「おじさんに触れさえすれば、なんでお前の記憶が飛んだか、絶対分かるんだよ」


「でも、過去まで遡るとしたら、この間みたいに利き手に触れて、その間は黙ってなきゃいけないんだろう?」


 祐介は足を組み、椅子を左右に回転させながら言った。椅子がきいきいと、高い音を鳴らす。


「そういう訳じゃない」そう言うと、要は軽く首を回し息を吐き出すと、麦茶に手を伸ばした。


「どこを触っても、見えるは見えるんだ。ただ、利き手の方が、映像が濃く見えるっていうか。でも、問題はそこじゃなくて」と言うと、麦茶を一口飲む。


「触れてる時間」祐介は呟くように言った。


「そう言うこと」


 要は頷くと、グラスを机の上に置き、再び腕を組んだ。部屋の壁に貼られている数枚の写真に何気なく目を向ける。

 壁には直接、青空の写真が貼り付けてられている。要は立ち上がり、写真を見た。どれも綺麗によく晴れた青空で、白く眩しい雲が浮かんでいる。


「これ、祐介が撮ったの?」 


「うん」


「なあ、なんで空ばっかりなんだ?」


 祐介は椅子から立ち上がり、要の隣りに立つと、ポツリと話し始める。


「空をぼんやり眺めるの、結構、好きでね。雲見てると、色んな形に変えるだろ?それで、面白いなあって思った雲を、撮ったんだ」


 要は、ふうん、と相槌を打つと、写真をじっくりと見た。そして、若干、眉間に皺を寄せ、首を捻りながら祐介に顔を向けた。


「……どの辺が、おもしろいの?」


 祐介は声を出さずに苦笑いをすると、一枚の写真を指さした。


「例えばこれ。この雲、何となくダックスフンドに見えるだろ?耳が垂れて、長い胴体。で、これはアヒル。こっちは、龍っぽいなあって。あ、これは、食パン」


「……食パン」要は噴き出し、「確かに」と言うと、小刻みに頷いた。

 その様子を見て、祐介も笑った。


「そうとう、腹減ってたんだな」


「そうかも」 


 要は、再びベッドに座ると、ふとあることを思い出した。


「なんか、あれに似てないか」 


「なに?」


「ほら、心理学でよくある。なんて言ったっけ?だまし絵みたいなヤツ。インクのシミの形から、何に見えるかって」


「ああ、ロールシャッハテスト?」


「そう、それ。人によって、見え方が違う」 


「確かにね。前に父さんがこれを見て、何だか色々分析されたけど、真面目に聞いて無くて忘れちゃった」


 祐介は困ったような表情で笑った。


「なに、祐介のおじさん、心理学好きなの?」 


「いや。好きというより、職業。精神科医なんだ」


 要は、はっと顔を上げ、「精神科医……」と口の中で呟くように復唱し、黙り込んだ。何かを考え込むように、片手の指先で自分の唇に触れる。 


「催眠術……」


「え?」


 要は口元から手を放し、祐介に顔を向けた。


「おじさん、催眠術、得意?」


 その質問に、祐介は不思議そうに首を傾け、考えるように視線を下に落とした。数秒考えてから「いや」と首を横に振った。


「父さんは、銀行の健康相談室で働いてるんだ。カウンセラーとして。だから、催眠術とか関係ないと思う。それに、父さんが催眠術の話しをしているの、聞いたことないな」


「そうか……。でも、出来ないとは限らない」


 祐介は首を傾げながら、煮え切らない返事をした。 


「まあ、その辺は調べれば分かるか」


「で、どうするの?」


「どうしようかねえ……」


 要はベッドに腰を下ろすと、そのまま寝転び、天井を見上げて溜め息をついた。 





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/



「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ