第31話(1)
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教室へ入ると、珍しく祐介がまだ来ていなかった。大抵、要の方が後に教室へ入るので、妙に感じた。自分の席に着き、机の上に俯せる。前の席に人の気配を感じ顔を上げると、祐介が鞄を机の脇にかけ、椅子に座るところだった。
「おはよ」要が短く言うと、祐介は素早く振り向き、いつもの笑顔を見せた。
「おはよう」
「大丈夫か?」
「え?何が?」
祐介はドングリのような瞳で、不思議そうに要を見た。要は数回瞬きをし、首を捻る。
「例の夢、見たんだろ?気分、大丈夫なのかよ」
要の言葉に、祐介は何を言っているのだと言わんばかりに顔を曇らせ、「夢?」と聞き返してきた。
「一体、何の話し?」
その反応に、要は驚くような表情をして見せた。言葉が出ず、口をぽかんと開けて祐介の顔をしみじみと見ている。
「なに?どうしたんだよ?大丈夫?」
祐介は要の反応に戸惑いながらも、苦笑しつつ要の目の前をひらひらと手を動かして見せた。
「寝不足?まだ何か寝ぼけてるの?」そう言って笑った。
要は探るような目で祐介を一瞥すると、制服の上着からスマホを取り出し、メールボックスを開いた。
今朝方、祐介から届いたメールを確認する。確かに届いている。自分からも返信をしている。
要は前を向いてしまった祐介の背中をスマホで軽く叩くと、祐介に自分のスマホに届いたメールを見せ、囁くように言った。
「今日の朝四時すぎに、お前から来たメールだ」
祐介は心底驚いた顔でメールを読むと、今度は自分のスマホを取り出し、メールボックスを確認した。
「本当だ……」
「祐介。お前まさか、おじさんに話したんじゃないの?」
祐介はスマホから目を離すと、要を見た。何も覚えていないというような、情けない表情をしていた。
「分からない。そもそも、夢って?なんで、要に夢の話なんかしてるの?なんで父さんが出てくるの?」
要は息を深く吐き出すと、苛立ったように「取りあえず、話しは後だ」と言って、再び机の上に俯せた。
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今時、LI◯Eでのやり取りじゃないの?と思われる方も居ると思いますが、要がLI◯Eに入っていないのですよ。友達居なかったから……。という設定でございます。
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