第30話(2)
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「おはよう、父さん、母さん」
祐介は制服を着て食卓に着いた。養父母は、おはよう、とにこやかに返事をする。養母が焼きたてのパンにマーガリンを塗って、祐介の目の前に皿を差し出し、祐介は礼を言いそれを受け取り、パンに何のジャムを塗ろうかと、テーブルの上に目を向ける。養母が作ったリンゴジャムとイチゴジャム。イチゴジャムの赤を見た途端、夢で見た赤い床を思い出し、吐き気を覚え、すぐに顔を背けた。水を一口飲んでいると。
「祐介」
新聞を読んでいた養父が、不意に話しかけてきた。祐介は無理矢理、笑みを浮かべ「なに?」と養父を見た。養父は新聞に目を向けたまま、「今朝方、何だかバタバタとしていたが、大丈夫か?」と訊ねた。
祐介は養父から目を逸らすと、所在なげに目を泳がせた。
「ああ……。うん。ちょっと、急にお腹が痛くなってね。もう、大丈夫」
「あらやだ。じゃあ、それ食べたらお薬飲んでいきないさいよ?」そう言うと、養母は薬箱から腹痛止めの薬を出してきた。
「うん。ありがとう」
その様子を、養父は新聞ごしに黙って見つめていた。新聞を畳むと、養父は食事を始める。
「学校へ行くまで、少し時間があるだろ?」
養父が訊いてきたため、祐介は居間にある壁時計に目をやり、「うん、少しは」と答えた。
「なんで?」
「うん。ちょっと話しをしたくてね」
養父の言葉に、祐介は笑いながら「何?改まって」と訊ねたが、養父は優しく微笑むだけで何も答えなかった。
祐介はパンに何も付けず齧りついた。
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