第27話(2)
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〜前回の終わりから〜
要はベンチから立ち上がりながら、両腕を天に向けて突き上げた。力強く上げていた両腕を、操り人形の糸が切れたように、ばたりと降ろすと、口角をにやりと上げた。
「何度も見るって事は、捜し出したいって気持ちが勝ってるってことなんじゃねえの?」
その言葉に、祐介はゆっくり瞬きをし、小さく顎を引いた。
「そうだね」
「でも、今日俺に話したから忘れちゃうかもな」
「僕は夢の内容を話していないよ。怖い夢だと言っただけだ。きっと忘れない」
「だったら。これは俺の予想だけど」
要は改まった声でベンチに座っている祐介を見下ろした。
「また夢を見る可能性がある。それも、別の夢」
「……どうして、そう思うの?」
「血の海は、言わば始まりなんだよ。それを切っ掛けに、パズルのピースが集まり出すかも知れない」
祐介は自分の顎に指を添えると「なるほど……」と呟いた。その様子を見ていた要は、声色を変えて「覚悟、しておけよ」と真顔で言った。祐介は目だけを上げて「分かってる」と真剣な表情で頷いた。
「あ、そう言えば、もう一つ気になることがある」
要は思い出したように手を叩いた。
「なに?」
「祐介さ、事件以降にも記憶がなくなったこととか、あるの?」
要の質問に、祐介は頭を振り「いや」と答えた。
「なんで?」
「いや……。おかしいんだよ……」
「どういう風に?」
「記憶がさ、飛ぶんだよ。なんて言ったらいいのか……」
良い説明方法がないかを思案するように、要は顎に手を当て、指先でリズムを取った。
「例えばさ、記憶っていうのは、その人の生き小説っていうか……。物語のようになってる訳よ。毎日同じような日々でも、何かしらある訳でさ。映画でもドラマでも、マンガでもそうだけどさ、次回に繋がるように話しが進んでいくだろ?一話完結ならともかく、通常は」
「うん」
「でも、人生って、一話完結じゃないじゃん。なのに、祐介の記憶は不完全なんだ。まるで一話完結みたいなヴィジョンで。しかも、良いところで切れる。撮影中止になった映画みたいに、ぷつりと突然その先の映像が無くなる。かと思ったら、まるでそのシーンはカットしました、と言わんばかりに、記憶が突然別のシーンに飛ぶんだ。時には、消しゴムで消し忘れたような、見えそうで見えない記憶とか。こんなの、俺も始めて見たんだけどさ。記憶喪失経験がある人の、特徴なんだろうか」
「どうなんだろう……僕にも分からない」
そういうと、祐介は遠い目で、どこかをぼんやりと見つめ黙った。
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