第23話(1)
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ふたりは家を出ると、当てもなくぶらぶらと歩き出した。なんとなく向かった先は、デパートの屋上だった。
屋上にはペットショップがあり、喫茶店らしきものがあり、ベンチがある。休日の割に人が少なく、他の階に比べると、屋上は静かだった。
祐介はエレベーター脇にある自動販売機でコーラを二本買うと、先にベンチに座っていた要に渡した。
要は「サンキュ」と短く言うと、早速蓋を開けてコーラを飲んだ。仰ぎ見た空は、夏の色をしている。
要は何故かずっと、祐介の義父を思い出していた。養父にしては、祐介と彼はよく似ていた。だが、同時に、養父のあの喜びように合点がいった。友達に自分を紹介したことの喜び以上に、自分を父親だと紹介した祐介に対して、喜んでいたのだ、と。しかし、なにか違和感があった。もっと別の何か。
「あのさ」
「ん?」
「養子だって、学校の連中も知ってるのか?」
「いや。誰も。今日初めて要に言った」
祐介はにっこりと口角をあげた。違和感のない、自然な笑みだ。
「別に、秘密って訳じゃないんだけど。言う必要もないしね」
「じゃあ、なんで俺に言ったの?」
祐介は小首を傾げ、「さあ」と答えた。空を仰ぎ見ながら「なんでだろう」と、自分に問いかけるように呟く。
ふたりは暫く黙ったまま空を仰ぎ見ていた。雲がゆっくりと動き、時々太陽を隠す。太陽が隠れた途端、なぜか寒く感じ、太陽が見えた途端、必要以上に熱く感じた。
「祐介の家、何処にあるか知らなかったから、堀田に電話して聞いたんだ」
不意に話し出した要を、祐介は横目でちらりと見遣る。要は眩しそうに目を細めながら、空を仰いでいる。
「堀田に言われた。この間は祐介が俺の住所聞いてきて、お前らは何なんだって。親友じゃないのか?って」
そう言うと、要は鼻から息を吐き出しながら笑った。
「気がついたら、ああ、親友だよって答えてた」
祐介は要の横顔をちらりと見た。要はそれに気がついていたが、祐介の方を見ようとはしなかった。
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