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【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


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第22話(3)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 要は背の低い祐介の背中を黙って見つめた。


「さ、入って」


 祐介は何事もなかったかのように、要を部屋に招き入れる。

 祐介の部屋は白とシルバーの家具で統一され、比較的、綺麗に整頓されていた。


「ごめん、ちょっと散らかってて」


 祐介はベッド上や机の上に散乱していたプリントや本を手早く片付けた。


「その辺に座ってて。今朝、掃除機かけたんだけど。座布団持ってくる?客用の使ってないのがあるはず」


「いいよ。こっちこそ、突然来てごめん」


 要の言葉に祐介は「いや」と言い振り向き「来てくれて嬉しいよ」と言うと、再び手を動かした。

 片付けが終わると、祐介はウエットティッシュを引っ張り出し要に渡した。ふたりはマットの上に直接座ると、何から話したらいいのかと、お互い黙り込んだ。最初に沈黙を破ったのは、祐介だった。


「まだ一度も使ってないグラスだから。良かったら飲んで」


 そう言うと、祐介は自分のグラスに手を伸ばし、一口飲んだ。

 要は俯き、弱々しく笑みを浮かべると、はめていた手袋を外し「いただきます」と、グラスに手を伸ばした。氷の入ったグラスの中身は、ウーロン茶だ。


「調子、良さそうだね」


 祐介は両手を後ろに伸ばし、自分の身体を支えるようにして座った。要はお盆の上にグラスを戻すと、「うん」と答えた。

「この間は、ごめんな」要は俯いたまま言うと、祐介は首を傾げて「ん?」と言う。


「ちょっと……。色々あってね。熱もあったせいか、苛ついてた。八つ当たりってやつだ。本当、悪かった」


 息を漏らすように微かに笑い声が聞こえ、目を上げると、祐介が笑っていた。


「病み上がりに、わざわざ、それを言いに?」


 要は胡座をかいた上に置いてある自分の手に視線を降ろした。


「気にしてないよ。僕も、要のこと、よく知りもしないくせに余計なことを言ったし。僕こそ、ごめん」


「いや……」


 なんと返したらいいのか分からなかった。

 祐介は黙り込んだままの要を黙って見つめた。電話越しではあんなに元気だったのに、急に元気がなくなっている。祐介は首を後ろに捻り、窓の外に目を向けた。よく晴れた、気持ちの良い天気だ。


「散歩日和……」


「え?」


 祐介は要に向き直ると、「外に行こうか」と提案した。

 潔癖症の彼にとって、他人の家に来ることは、相当の勇気がいった筈だ、と思った。本来なら、他人の家の床に直接座ることは嫌なはずだ。だから元気がなくなったのだ、と祐介は考えたのだ。


「天気いいし、外の方が気持ちがよさそうだ」


「あ、ああ」


 突然の申し出に、若干驚きつつも要が頷くと、祐介は手早く外出の準備をした。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

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