第22話(2)
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同級生の家に入ることは始めてだった。今までの記憶の中に、自分の家と実家、そして両親の実家以外に「誰かの家」に行ったことがない要は、遊びに来たものの、どうすればいいのか分からなかった。
玄関に入ったのはいいが、靴を脱いでから先、どうすればいいのか分からない。取り敢えず、祐介の後に続いて歩くと、祐介は居間へ入っていった。居間には男が一人、ソファに座ってTVを観ていて、その男が若干驚いた様子で自分の息子を見て、それから要を見た。
要は居間には入らず、入り口に立ったまま小さく会釈をする。
祐介が「僕の父さん」と要に言うと、父親に向き直り「学校の友達なんだ」と言った。
要は「始めまして、藤森です」と言うと、祐介の父親は「いらっしゃい」と言い、祐介によく似た穏やかな笑顔を要に向けた。要はその笑顔に釣られるように「お邪魔します」穏やかな表情で答えた。すると、父親から穏やかな笑顔からは程遠いほどの、強い歓喜の「心の声」が聞こえてきた。
要は久しぶりに聞く、人の喜びの声に驚くと同時に、不思議に思った。
息子の友達が来たことに、なぜこんなにも喜ぶのだろうか、と。
祐介が台所へ入っていくと、要はその場に立ったまま目だけを動かし、二戸神家の居間を見回した。
窓が多く、外の光りが良く入り、温かさを感じる。そして、キャビネットの上に置かれた写真立ての多さに目を奪われた。自分の実家とは大違いの「家族」の絆の強さのようなものを感じた。
「お待たせ。行こうか」
祐介は飲み物と菓子をのせたお盆を手に、二階へ上がっていった。居間のドアを閉めると、祐介の後に続いた。
「祐介って、おじさん似なんだな」
要は階段を上りながら、先を行く祐介の背中に向かって言った。何気なく感じたことを、そのまま言ったのだが、祐介はワンテンポ遅く「そうかな」と答えた。
「うん。笑い顔の感じが、よく似てた」
「長く一緒にいると、そうなるのかもね」
要は祐介の言葉に違和感を覚え、どういう意味だろうかと思っていると、まるで要の心を読んだかのように、祐介は自室のドアを開けながら「僕は養子なんだよ」と答えた。
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