第21話(2)
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「あ、あった」
目の前に建つ、大きな家を見上げる。
周りの家も大きくて豪華だが、祐介の家も引けを取らないくらい立派な家だった。
「金持ち息子か……」
堀田の言葉を思い出した。
「親友じゃねえの?」
親友だと答えたものの、よくよく考えると、相手の家の事など何も知らない。兄弟が居るのか、親はどんな仕事をしているのか。それでも、親友だと言えるのだろうか。それでも、親友と答えても良いのだろうか。
要は祐介が自分をどう思っているのか、急に気になりだした。今まで、他人にどう見られようと気にしたことはない。なぜなら、大抵が良い印象ではなかったからだ。聞こえてくる大半の心の声は、自分を忌み嫌う言葉ばかり。唯一、何の心の声も聞こえない祐介を、要は本当の意味でも、何も知らないのだと気がついた。
何も話さなくても、自分の周りにいる大抵の人が、どんな人物かを知っている。
誰が誰を嫌い、誰が誰を想い、誰が誰を意識しているのか。それは、表の顔ではなく、裏の顔ばかりだったが、全く分からないという人物は、今まで居なかった。
全く分からないことが当たり前の筈で、自然なこと。しかし、知らないことがこんなにも不安になることを、要は始めて知った。
みんな、この不安の中を、毎日生きているのだ。自分がどう思われ、どう見られているのか。一生、その不安と付き合いながら生きている。だから、心の中では罵倒し、葛藤を続ける。印象の良い自分で居たいから、口に出せない言葉を、心で叫ぶ。
要は手にしたメモを握り締め、小さく苦笑した。みんなと同じような気持ちを、今の自分が抱いていることに、少し笑えた。
ジーンズのポケットからスマホを取り出すと、家で登録をしておいた祐介の自宅の電話番号を選択し、通話ボタンを押した。
プップップップッ、と音がした後、呼び出し音が鳴る。
要は数歩後ろに下がり、二階に見える部屋の窓を見上げた。祐介の部屋がどこか分からないが、何となくそうだろうと思った窓を見つめていると、四回目の呼び出し音で、太い声が聞こえた。
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