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【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


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第19話(4)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 堀田とは、一年の頃から少し話す程度で、深く付き合ったことはない。小林達のリンチから自分を救ってくれた後、以前よりは話すようにはなったが、祐介が思っているほど親しくはないし、親しいと思っても見なかった。

 堀田は一見、お調子者のような所があるが、実際は人のことをよく観察し、人を引っ張っていく魅力ある人物だ。気に入らないことがあると、時々とんでもない毒を吐き出すが、どんなことがあっても、決して人を見捨てないところがあった。嫌いな奴にも、良いところがあるはずだ、と、悔しいから良いとこ探しをしてやる、と、変なところに怒りが向く傾向がある男だった。そんな堀田を、要は決して嫌いではなかった。色んな増悪の声を聞いてきたが、堀田ほどおかしな悪態は、今まで聞いたことがない。そんな堀田でも、要に対して苦手意識を持っていたことは、心の声を聞けば分かる。常に、どう接したらいいのかと悩みながら声をかけてきていた。そう言う声しか聞いていなかったからこそ、祐介が言った言葉には、正直、驚いた。自分のどこを、どう取って「良い奴だ」と言ったのか、不思議だった。要は、自分自身を「良い奴だ」と思ったことは一度もない。良い奴なのか、嫌な奴なのか。どちらかを選べと言われたら、自分は嫌な奴の部類になると思っていた。そんな自分を、堀田も祐介も「良い奴だ」と言う。そんなことを言われたのは初めての経験だった。どうしたらいいのか分からず、戸惑った。そして、それはなぜか怒りに変わった。本当の俺を知りもしないくせに、何が良い奴だ、と。


「良い奴って言うのは、お前みたいな奴を言うんだよ」


 要は祐介が持ってきたプリントを見て呟いた。

 丁寧な字で書かれている授業ノートのコピーを一枚捲る。英語の筆記体は、まるでコンピューターで書かれているかのように綺麗で読みやすい。経済学のノートに書かれた円グラフは、フリーハンドとは思えないほど綺麗な円を描き、数学の途中計算は、しっかりと書かれ、時折、要に向けて簡単な解説まで書かれていた。全コピー、重要部分には赤線が引かれている。


 悪いことをしてしまった。


 罪悪感が、頭に重くのしかかる。フローリングの上に寝転がり、天井を見つめた。西日が天井をオレンジ色に染めている。

 歌穂のヴィジョンを見てからというもの、毎晩夢に魘される。熱がそうさせるのか、ヴィジョンのせいなのか分からない。気がつけば一週間近くもうだうだとして、苛ついていた。治そうと思えばすぐに治せるはずの風邪も、歌穂のことを思い出すと苛々として熱が上がる。自分が苛ついたところで、何が変わるわけでもなく、ただ時間が過ぎてゆく。そんなことは、十分、要自身分かっているつもりだった。それでも、身体はいうことを聞かず、今もまた、熱が上がり始めた。要は小さく舌打ちをすると、気怠い身体を起こして寝室へ向かった。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/


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