第19話(3)
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
「堀田、そんなこと言ってたのか?」
紅茶を啜っていた祐介は、要の質問に首を傾げて「なに?」と聞き返した。
「だから……良い奴とか、なんとか」
要は俯いたままごにょごにょと言い、祐介は顔色一つ変えず「ああ」と、返事をすると、当然の話でもするかのように「うん。言ってたよ」と言った。
「いつ?」
「いつだったかな。でも、知り合ってすぐだったと思う。僕もそう思うって言ったら、思うんじゃなくて、本当に良い奴なんだって言われた。ただ、人との関わり方が下手なだけだって。だから誤解されやすいんだって、言ってた」
祐介は紅茶を一口飲むと、「僕ね、思うんだけど」と、要の顔を覗き込んだ。
「要が思っているほど、周りは君を嫌っていないよ」
静かに囁くような声。その言葉は、諭すようでもあった。要は顔を上げ、鋭い目つきで祐介を見た。
「何も知らないくせに、知ったようなこと言うんじゃねえよ」
擦れた、低い声。始めて祐介に放たれた怒りの声は、今にも泣き出しそうだ。
「要……」
戸惑ったように顔を強張らせた祐介を、要は険しい表情で見つめた。両手に持ったマグカップの暖かさが、要には分からなくなっていて、微かに震える自分の身体をぐっと抑え込み、要は祐介から顔を逸らした。
青白い要の横顔を、祐介は黙って見つめる。
「帰ってくれ」
注意深く耳を傾けていないと、聞き逃すような小さな声が聞こえた。祐介は、黙って帰り支度を始めると「ごめん」と一言残して部屋を出て行った。静かに玄関のドアが閉められた。
要は、両手に持ったマグカップの中をじっと見た。澄んだ紅色の中に、情けなく顔を歪ませた自分の顔が映っている。
あんな事を言うつもりはなかった。むしろ、少し嬉しかった。今まで、誰一人、自分を理解しようとはしてくれていないと思っていたし、理解されなくても良いと思っていた。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説
『光の或る方へ』更新中!
https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/
「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。




