表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/113

第19話(2)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 さり気なく辺りに目を向ける。

 何もない部屋だった。まるでモデルルームのようだ。必要最低限の物が揃っているだけで、生活臭を感じないリビング。綺麗なカウンターキッチン。家族全員、潔癖性なのだろうか、と祐介は思っていた。目に見えるところに物を置きたがらない、そういう家族なのだろう。自分の家とは大違いだった。決して、自分の家が汚いという事ではない。養母は掃除好きで、いつでも綺麗にしてくれていた。花を飾る事が好きで、玄関やリビングには何かしら季節の花が生けられていた。その脇には、必ず家族写真が置かれている。毎年春になると写真館へ行き、家族写真を撮るのだ。その写真が一年ずつ増え、今ではリビングにあるキャビネットの上には、重なるように写真立てが置かれている。


「悪いね、待たせて」


 要がラグマットの上に胡座をかいて座ると、軽く咳をし、鼻を啜った。


「まだ悪そうだね。薬飲んでるの?」


 祐介は心配そうに顔を曇らせ、手に持っていたプリントの束を差し出した。


「うん。飲んでる。これでも熱下がってよくなってる方なんだ」


 テーブルの下に置いてあるティッシュを取ると、鼻をかんだ。


「この時期に風邪引くって、珍しいよね」


「いやあ、さすがに。髪も乾かさず、ろくに服も着ないで窓開けたまま寝ると、風邪引くね。この時期でも」


「それじゃあ、風邪引くね。昼間は暑くても、夜はまだ風が冷たいし」


 祐介は要が広げてみているプリントを指さして説明を始めた。


「こっちが、各教科で配られたプリントで、こっちが僕のノートのコピー。テストに出るところ、赤線でチェック入れ直してあるから、見ておいて」


 プリントを一枚一枚ゆっくり捲りながら、「わかった」と要は返事をした。祐介のノートのコピーにざっと目を通し終え、顔を上げて「ありがとう」と礼を言うと、祐介はいつもの笑顔を見せ、「どういたしまして」と頭を軽く下げた。

 湯が沸ける音がして、要は台所へ向かった。


「綺麗な部屋だね」


 ソファに座ったまま、祐介が言った。要は黙ったまま紅茶を淹れた。ティーパックを捨て、マグカップを二つ持って、再びラグの上に座る。


「ありがとう」


 祐介はマグカップを受け取ると、少しだけ口を付けた。 


「よく、家が分かったな」


 要はマグカップの絵柄をぼんやりと見つめながら言った。

「佐伯さんに聞いたんだよ。最初、堀田とかに聞いたんだけど、知らないって言われて。ふと、佐伯さんを思い出したんだ。そう言えば、幼なじみって言ってたよなあって」

 歌穂の名前を聞いて、要の心臓はどくりと大きな音を立てた。要は顔を上げずに、ぶっきらぼうな口調で「なんで堀田とか佐伯なんだよ」と訊ねる。


「先生に聞こうとか思わなかったのかよ」


「あ、それ、佐伯さんにも言われた」と言うと、祐介は苦笑した。


「全然思いもしなかったんだよ。なぜか。堀田は一年の時、同じクラスだったんだろ?だから知ってるかなって思ってさ」


「一年で同じクラスだとなんで知ってるって思うんだよ」


「だって、堀田とは普通に話ししてるだろ。堀田も、藤森は良い奴だって、前に言ってたし。要を助けに行くときだって、率先して来てくれたし。仲良いんだなって、ずっと思ってたから」


 要は目だけを上げて祐介を見た。






最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/


「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ