表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/113

第16話(3)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。





 歌穂は炒め物を終えると、大鍋で沸かしていた湯に生麺を解し入れた。


「もう出来るから、お箸とか用意してくれる?」


 歌穂が麺を見ながら言う。

 要は黙って立ち上がり、テーブルを拭き、箸を置くと歌穂の隣に立ち、丼にスープの素を入れ、沸かしてあった湯でのばした。

 歌穂はそれを見て、手際よく麺を湯切りし、丼に取り分け、炒め野菜を豪快に麺の上に乗せた。


「これ、カナちゃんのね」


 野菜は麺を完全に覆い隠し、山となっている。要は礼を言うと、ふたり分の丼をお盆にのせ、テーブルに運んだ。

 ふたりがテーブルに着くと、ラーメンを食べ始める。歌穂特製の野菜たっぷりラーメンは、ラーメン屋で食べるラーメンよりも美味しく感じた。そして、鮭のムニエルを思い出していた。そうだ、あの時、一人で食べるより、誰かと一緒に食事をすることが嬉しかったのだと、思い出した。嬉しくて、心が温かくなった。歌穂の優しさが有り難く、それだけで、何もかもが美味しく感じたのだ。たった今も、そうだ。


「うまいよ」


 要は素直に感想を述べたが、歌穂は小さく咽せ、咳が収まると笑いだした。


「なんか、おいしいって、無理矢理言ってない?さっき、私があんな話ししたから」


 要は食べるのを止め「そんなことないよ」と目を大きくしていった。


「本当、うまいよ」


 歌穂は大きく頷くと「ありがとう」と言い、再びラーメンを食べ進めた。

 食事が終わり、要が食器を洗っていると、歌穂はカウンター越しに「最近さ」と話し始めた。


「カナちゃん、何だか最近毎日楽しそう」


 要は目だけを上げて、歌穂をちらりと見ると「そうか?」と言って、すぐに目を洗い物に向けた。


「そうだよ。二戸神くんと一緒にいるようになってから」


 要は返事をせずに、眉だけ上げて見せた。


「二戸神くん、はじめっからカナちゃんのこと、嫌がってなかったんだよね?」


 要は二年に上がった初日を思い出した。増悪の「心の声」だけは、どんなに力を押さえても聞こえてきてしまう。あの時、教室に入ってきた要を見て、大半の生徒が「面倒臭い奴が同じクラスだ」と心から嫌がっていた。一部の女子からは「気味が悪い」という感想までが聞こえてきた。だが、そのくらいの悪態は、要にとっては大したこと無かった。小学校の頃を思えば、あの頃の方が、もっと地獄だった。特殊能力のお陰で、クラス中から嘘つきだの化け物呼ばわり、気がつけば、全校生徒からエイリアンなどと呼ばれていた。そこへ来ると、現在はクラス中が自分を「単なる潔癖性」と思っていての心の声である。エイリアンと言われるよりも、何倍もましだった。


 そんな中、二戸神祐介だけは違っていた。要が話しかけても、何も「声」が聞こえてこなかった。始めは、要の事を知らないのだと思っていたが、要を知ってからも、面倒臭いだの、気味が悪いだの思うことが、一切無かった。それどころか、普段の心の声が、二戸神祐介という人間からは、一切聞こえてこないのだ。






最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/


「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ