第14話(1)
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
【注意】暴力的描写があります。苦手な方は回避をお願いします。
誰かの叫び声が聞こえた。
祐介達は立ち止まり顔を見合わせ、五人は何も言わず頷くと、再び走り出した。
要が小林に背後から羽交い締めにされ、それに対し、要が叫びながら、もがき暴れていた。
「ほら、宮崎。押さえててやっから、お前の鬱憤を晴らせや」
「うっす」
宮崎は腕を交差し、気合いを入れるように武道家風の声を上げると、片足を蹴り上げようとした。
祐介は足下にあった小石を手に取り、無我夢中で投げると、その石は要を今から蹴り上げようとしている宮崎のこめかみに命中した。
険しい顔で振り向いた小林に「一人に対して七人がかりとはな!」と、堀田が怒りの声を上げた。
「そんなんだから、柔道部は弱いんだよ」
そう言うなり、堀田は小林に向かって一直線に駆け寄り、思い切り殴りかかった。
突然現れた援軍に宮崎は驚き、要から離れた。要は苦しそうにその場に膝をつく。祐介が要に走り寄ると、背後から宮崎が祐介に襲いかかろうとした。祐介はそれを見事に交わし、軽々と宮崎を払いのける。宮崎の身体は宙に舞い、地面に背中を思い切り打ち付け倒れた。宮崎自身、何が起きたのか分からないというような顔で起き上がり、再び祐介に殴りかかろうとしたが、祐介は宮崎が伸ばした腕を取ると、軽く捻るようにして突き放し、宮崎は無様に転がった。
「邪魔」
祐介は不機嫌な顔つきで言い放つと、膝をついて苦しんでいる要を助け出そうと、要の腕を掴んだ。すると、要は呻き声を上げて、その場に倒れ込んだ。祐介が要の脇に屈み込むと同時に、堀田が大声を上げ、祐介の頭上を飛び越えていった。祐介が振り向くと、腹を抱え蹲っている宮崎と、肩で息を切らせている堀田が立っていた。
「武器を持っていたからな。こっちも武器を使った」
言い訳でもするかのように、堀田は竹刀を持ち上げてみせた。
蹲った宮崎の側に、壊れたブロックが転がっている。祐介は堀田を見て、「ありがとう」と礼を言い、小さく微笑んだ。
いつの間にか、周りは静かになっていた。見渡せば、がたいの良い柔道部員は、要の援軍達により打ちのめされていた。
「すごいね、みんな」
祐介は心底、感心したように言った。
「鍛え方が違う」
当然とでも言うように、川崎が得意げに言う。
「同じ武道家として、恥ずかしい」
呆れた表情で中村が言うと、田川は「だな」と頷いた。
「大丈夫か?藤森」
堀田は祐介の隣りに膝をつき、要の顔を覗き込んだ。
要は片手で頭を抱え苦しそうに顔を歪めていて、堀田の声は耳に届いていなかった。
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