第13話(2)
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【注意】暴力的不快な描写があります。苦手な方は回避をお願いします。
三年の小林だ。以前、ひょんな事で小林に触れられたことがあり、ヴィジョンを見てしまったことがある。教師や同級生の財布から金を盗み出すヴィジョン。
彼が二年で、要は一年だった。文化祭の準備で、要は大道具を運び出している最中だった。周囲に注意を払いながら、ベニヤ板を持って廊下を歩いていると、前方から来た小林とすれ違う際にぶつかってしまったのだ。たまたま運悪く、その時の小林は嫌と言うほどの増悪を醸し出していた。すぐに謝った要に対し、丁度苛立っていた小林は、「制服が汚れた」と言って立ち去ろうとした要の腕を掴んだ。すぐに振り解いたが、その際、小林の悪事を見てしまったのだ。何が起きたかと、教師が廊下を走ってくると、小林は要を睨み付けただけで、その場を立ち去った。その際、思わず親切心が溢れ出て、すれ違う際、「盗み癖は早く直した方が良い」と助言をしてしまったのだ。その後すぐ、小林は停学処分になった。実際の現場を他の生徒が見ていたらしく、教師に報告した。告げたのは要だと小林は勘違いをし、要を恨んでいた。今、一緒に居る見覚えの無い生徒からも、要への悪態の声が聞こえる。きっと、小林と共に盗みを行っていた生徒なのだろう。あの時、小林以外にも数名、停学処分になった生徒が居た。要は見慣れない三人の上級生を見て、あからさまに溜め息を吐き出した。
「あの時、お前さえ黙っててくれれば俺らは停学にもならなかったし、お前の助言のお陰で、更生できてたかも知れねえ。でも、お前のお陰で俺らの信頼はがた落ち。俺らは更生する道を見失ってしまったわけだ」
「信頼されるだけの器があったとはね。更生するには自分の意志の問題ですよ。更生出来ないことを人の責任にするようでは、やはり、先輩の器はもともと大したことがなかったって事ですね」
「その口を黙らせるには、どうしたらいいんだろう?なぁ?」
宮崎がゆっくりと要に近寄った。
「潔癖性の藤森くん」
そう言うなり、宮崎は片手をあげた途端、要の背後から冷たい水がかけられた。その水は白いYシャツを黒茶色に染め、ヘドロの匂いがする。
要が振り向くと、私服の見知らぬ男が二人、バケツを持って嫌らしい笑みを浮かべていた。
「ドブ川の水を浴びた感想は?」
「潔癖性の君は、発作でも起こして死んじゃうのかなあ?」
要は顔に流れていたドブ水を手袋をはめた手の甲で拭いた。
「これで俺を黙らせるつもり?」
鋭い目線を宮崎に向けると、宮崎は相変わらず嫌な笑みを浮かべている。
「無理しなくて良いんだぜ?潔癖症の藤森には耐え難いだろ?早く服を脱いで泣き叫べ」
男達はじわじわと要に近寄ってきた。要は奥歯をぐっと噛み締め、全神経を集中させた。
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