第11話(2)
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昼過ぎまで明るかった空は、いつの間にか今にも雨が降り出しそうな空模様に変わっていた。
空に目をやりながら、祐介はゴミ箱を持って焼却炉へ向かっていた。
「傘持ってくるの忘れたんだよなあ」と、空に向かって呟きながら、校舎と体育館の間にある中庭を突っ切り、近道をしようとした。体育館脇には運動部の部室が並んでいる。北側にあることもあり、年中薄暗く、今日のように薄暗い天気の日には、益々陰気な空気が漂っている。死角になりやすい場所でもあるせいか、授業をさぼっている生徒や、時折、素行の悪い生徒が隠れて煙草を吸っていることもある。
「ホント、あいつムカつきますよ」
「誰が奴にタレこんでんだよ」
「自分ら、誰にも何も言ってないっスよ」
「誰もお前が言ったなんて言ってねえだろ。なにビビってんだよ」
数人の生徒が声を上げて笑った。その声は、どこか陰湿で邪気がある、嫌な笑いだった。
祐介は「嫌な感じだ」と思いながらも、無視してその場を通り過ぎようとした。が、次の瞬間、祐介の足は止まった。聞き捨てならない台詞が、彼等の口から聞こえてきたからだ。身体を物陰に隠すと、彼等の話に聞き耳を立てた。
「藤森、何とかして締め上げたいんですよね」
「力貸すぜ。俺らもあいつには借りがあるし。なあ」
「どうやって締めます?」
「あいつ、潔癖性だろ?使えるネタ、一杯あんじゃん」
そう言うと、気持ち悪い笑い声が漏れた。
祐介は怒りで鳥肌が立った。
「いつにします?」
「どうせなら今日がいいだろ。怒りはすぐに消化しないと、なあ」
チャイムが校内に響き渡った。
「じゃ、放課後」そう言うと、生徒達は祐介がいる方角とは反対の通りへ去っていった。祐介は急いで外へ出ると、生徒達が立ち去った方を見た。角を曲がろうとしている、五人の生徒。その中に一人、見覚えのある生徒がいた。今日の体育の授業で、要の身体をやたらと触っていた男子生徒だ。
「あいつ、何するつもりだ?」
しばらくその場で立っていると、同じクラスの女子生徒が、三階の理科室から顔を出し、祐介を呼んだ。
「二戸神くん、ゴミ箱まだあ?早く帰ろう」
祐介は「あ」と声を上げると、自分の手元にあるゴミ箱を見た。
「ごめん、先に教室帰ってていいよ」そう言うと、祐介はゴミ箱を持って焼却炉へ走った。
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