表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/113

第10話(1)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。




 祐介は焼却炉に辿り着くと、大きく息を吸い込んだ。


「外は空気が良い」


 要はその言葉には同意しなかった。正確には同意できなかった。

 その場は、焼却炉から香る焦げ臭さの方が強く、お世辞にも空気がいいとは言い難かった。離れた別の場所であれば、同意したかもしれない。雲はあるものの、天気はいい。

 要は祐介の背中を見つめたまま、黙って観察をしていた。先ほどすれ違った際には、確かに感じていた「怒り」は、今は全く感じない。要は自分が身構えているのを感じていた。知り合って二ヶ月。祐介の人となりに、好感を持っては居たが、まだ完全には警戒心を解いたわけではなかった。祐介の周りには、常に人が集まる。誰もが、彼の穏やかな性格に惹かれるのだろう。まるで癒しを求めるかのように、何を話すわけでもなく、ただ側に寄ってくる者もいた。そういう時は、当然、要は側に寄らない。遠巻きでそれを眺めるか、大抵は屋上へ行ってしまう。

 祐介は誰隔てなく、同じ態度を取っていた。来る者を拒まず、去る者は追わず。だが、彼から誰かに近寄ることはなかった。接し始めて二週間目で、要はその事に気がついた。そんな彼が、こうして誰かを呼び出し、連れ出すことは、要の知る限り、初めての行為だった。

 祐介はくるりと振り向くと、にっこりと愛嬌のある笑顔を見せた。要はその笑顔には答えず、黙って見返しているだけ。祐介は、要の凝り固まった表情を見て、困ったように微笑んだ。


「僕はね、自分の友達が嫌な思いをしているのを見るのが、本当に嫌なんだ。まあ、普通の人なら、誰でもそうだろうけどね」


 祐介はゆっくりと、話しを始めた。普段から穏やかな話し方をする奴だ、と要は思っていたが、今日の祐介は、やけに噛み締めるように、ゆっくりと話しをしている。


「さっきは、本当に腹が立った。藤森が怒るのは当たり前だ。みんなだって、藤森のこと分かってるくせに、なんであんな態度を取るのか、僕にはさっぱり意味が分からない」


 そう言うと、祐介はブレザーのポケットから先ほどノートから切り取った数枚の紙と、ペンを二本取り出した。

「さ、藤森も一緒に書こう」と言って、要に紙とペンを差し出した。





最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/


「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ