第9話(1)
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再びスリーポイントを決めた要に、「ナイッシュー!」と祐介は叫んだ。その声が要の耳に届くと、要は祐介を振り返りニヤリと笑った。あと一点で逆転する。遠く離れ、ガードが居ない要にボールが回ってきた。
「あ!」
祐介は小さく声を上げ、椅子から立ち上がった。
先程まで、誰も要に近寄ろうともしなかった相手チームの数人が要を囲み、ボールを取る振りをしながら、要の身体に触れているのだ。
体育の授業だ。バスケットボールともなれば、要は怒鳴りはしない。生徒の間から、ぐっと歯を食いしばる姿が見え、祐介は相手チームの生徒の表情を見た。
厭らしい笑みを浮かべている姿を見ると、祐介は気づかずに拳を握り締めていた。
要がボールを放しても、一人の生徒が執拗に要の身体を触ってガードをする振りをしている。明らかに反則行為で、要に対しての嫌がらせとも取れる触り方だったが、要からボールが離れている以上、審判役は何も言わない。むしろ、見て見ぬ振りだ。要は乱暴にその手を払うと、相手の胸座を掴んで何かを囁いた。
その瞬間、相手の顔から厭らしい笑みが一瞬で消えた。
要は相手から手を放すと、前半終了の笛の合図と共に体育館から出て行った。何かを言われた相手は、呆然とその場に佇んだまま動かない。よく見ると、小刻みに震えている。
数名の生徒が彼に声をかけていたが、仲間の声が耳には届いていないかのようで、生徒たちがざわめく。
体育館から出て行った要を追って、一人の女子生徒が後を追って出て行った。C組の佐伯歌穂だ。その様子を横目で見ていると、体育教師にコートへ入るように言われた。
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