第8話(2)
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祐介と要が出会ったのは、二ヶ月前。高校二年のクラス替えで、前後の席になったことが切っ掛けだ。
祐介は一年の時に、ちらほら要の噂は耳にしていた。だが、藤森要という生徒を知らなかったこともあり、あまり気にも止めていなかった。実際に会い、手袋をはめているのを見て、ああ、この人か、と思った程度だった。まさか自分が彼と友達になるとは、祐介自身思いもしなかったが、彼と接するようになって、噂とは真逆な人物のように感じていた。
話をしていても、噂にあった「ヤクザ」関係の話は微塵も感じない。薬をやっているとかいう、くだらない話もあったが、そんなものは臭いで分かるものだ。
要の体臭は、男にしてはむさ苦しい汗臭さはなく、むしろ石鹸のいい香りがする。スマートで男らしい彼を羨む同級生は少なくない。しかし、要は誰にも従わない。それがかえって癇に障るのかもしれない。
なぜ要が祐介にだけ心を許しているのか、実際のところ祐介にもよく分かってはいない。特別、趣味が合うわけでも何でもなく。ただ、お互いなぜか一緒に行動することが多かった。
祐介の考えとしては、たぶん、要の体質を十分に理解し、かつ彼を尊重して接しているからだと思っていた。
とはいえ、要に訊いたわけではない。本当のところは分からない。
二ヶ月経った今でも、「助言」などと言いながら、何かと噂話を祐介にしてくる生徒たちは少なくない。それでも、祐介は気にもしなかった。自分が話しをしている要と、噂に聞く要の印象が、あまりに違いすぎたからだ。だったら、自分の印象を信じる、と思い、「助言」をくれる生徒にはやんわりと否定をしつつ、どんなことであれ、自分を心配して言ってくれているのだ、と思い、心のこもっていない礼の言葉を口にした。何故、心がこもっていないか。それは、簡単なことだった。どんなに付き合いが短ろうと、自分が「良い」と思った人を否定されるのは、あまりいい気はしない。そういう、不愉快なことはあまり長いこと心に留めておきたくない祐介は、決まって起こす行動があった。それは、養父に子供の頃に教わった、ストレス発散法だった。
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