第6話(3)
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
近所に住む者、学校の友達に、すぐに要だと知れ渡った。両親が案じていたように、要はいじめにあった。「気持ち悪い」「化け物」「エイリアン」。嫌がらせは、学校以外にも、家にまで及んだ。引っ越しを繰り返したが、TVの影響力は、そう簡単に家族を静かに暮らさせてはくれなかった。
増悪の声が、要の精神を狂わせた。要の力を誰よりも理解し、要を心から愛してくれていた両親。彼等もまた、自身の中に渦巻き始めた感情を止めることが出来なくなっていた。要を産んだことへの後悔、自分達のもとへ産まれた事への恨み。心の中に蠢き始めた「憎悪」は、次第に家族の心をバラバラにした。
それでも、父親はなんとか自分の息子を「普通の子供」に出来ないか必死に考えた。息子を色々な病院へ連れて行き、有名な精神科医のカウンセリングを受けさせた。藁にも縋る思いだった。最後に連れて行かれた精神科医だけが、要の言葉を本当に信じ、理解しようとしてくれた。その医師は、催眠療法に長けており、その方面では有名な医師だった。父親はその医師に全てを託した。催眠療法で力を押さえられないかと思ったのだ。少しずつ要の冷え切った心は温まり、強くなり始めたが、力が無くなることも、弱まることもなかった。そんな最中、母親が倒れた。息子を心から愛している、だが、自分の中に渦巻く憎しみを押さえきれなかった。どうやって息子と接したら良いのか分からなくなっていた。このままでは、要を手にかけてしまうかも知れない、そうやって自分を追い込み、要が小学六年に上がる頃、母親はノイローゼになった。弟の竜太は二歳になったばかりだというのに、竜太の世話すら出来なくなっていた。
このまま一緒に暮らすことは出来ない。
両親が大好きだった。口に出す愛の言葉が「心の声」と違っていても、それでも、自分を必死で守ろうとしてくれていた両親が、大好きだった。だが、このまま大好きな人達が壊れ、離れる姿を見たくなかった。弟のことを考えると、自分はここにいてはいけないと思った。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説
『光の或る方へ』更新中!
https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/
「続きが気になる」という方はブックマークや☆など今後の励みになりますので、応援よろしくお願いします。




