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【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


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第5話(4)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/


こちらも宜しくお願いします!

「よかったらぁ、私の見てもらおっかなぁ」


 若い女性タレントが両手を差し出してきた。

 男優の透視が外れたことで、安心したのか、まったく怯えてもいない。

 要は無言でその手を取った。

 流れてくるヴィジョンに、要はすぐに手を離した。

 その速さに、一同目をあわせ、要を見た。


「どうしたの……?」


 女性タレントは小首をかしげ、不思議そうな何とも言えない笑みを浮かべて要に訊いた。


「今ので、何か見えたのかな?それとも、私の手、嫌だった?ちょっと、汗ばんでるから」


 と、自虐的なことを言いながら笑って見せた。スタジオにも、その言葉で笑いが漏れた。

 要は、ごくりと生唾を飲み込むと顔を上げた。


「男の人をムチで……叩いていました……」


 その言葉に、スタジオはまたもやざわめいた。


「え……」


 女性タレントは笑顔が固まったまま、それ以上声が出なかった。


「なに?ノンちゃん、SM好きだったの?」


 と、笑いながら他の出演者が野次る様に言った。女性タレントは、顔を強張らせながら「ええぇ。ないです、ないですぅ。えぇ、なんでそうなるのぉ?ノン、わかんなぁい」そう言いながら、顔を赤くさせ、微かに涙を浮かべた。


「君ね、見えないのに嘘言っちゃだめだよ」


 ふんぞり返って椅子に座った年配の俳優が言った。


「さっきから見てれば。どうも、胡散臭いんだよねぇ。君には何がどうやって見えてるんだい?詳しく説明して欲しいもんだね」


 すると、その隣にいた煌びやかな衣装を身にまとった女優が「本当ですよねぇ」と頷いた。


「こんな小さな子供相手に言うのは酷かもしれないけれど。嘘はだめよ?その歳で、そんな嘘ついてたら、狼少年になっちゃうわよ?知ってる?狼少年の話」


「この子のお母さんねぇ、だめですよ、こんな嘘つかせちゃぁ」


 男優は、スタジオの端に立っていた要の母親に向かって言った。それに対し、母親が何かを言おうとしたとたん、要は俳優と女優の手を取った。

 二人のヴィジョンが一気に流れ込んでくる。

 手を放すと「おばさん」と、女優に向かってはっきりした口調で言った。

「おばさんって……」彼女は顔を思い切り引き攣らせ、骨ばった額には青筋が立っていた。


「おばさん、人を脅すのはやめた方がいいよ。人をだましてお金取ってるじゃない。それの方が、僕よりよっぽど犯罪じゃないの?それから、こっちのおじいさん」


 おじいさんと呼ばれた男優は、大きな目を剥きだして要を見た。


「いい加減、女のひと追いかけるのやめなよ。嫌がられてるの、分かってないんだね」


 それだけ言うと、要は身を翻し、今度は霊媒師の前に立った。みな一様に手を隠したが要にはそんな事は関係なかった。有無も言わさず相手の肩に触れると、どの霊媒師が偽物かを言った。唯一、一人だけ、本物の霊媒師が居た。

 それが、要を最初に疑った男だった。


「おじさんは、本物だね」


 そう言うと、男は若干驚いた顔をしたが、満更でもなさそうに「当然だ」と一言言っただけだった。

 要は舞台から降りると、母親のもとへ駆け寄った。


「帰ろう。もう僕の出番は終わったから」


 要が母親の手を取ると、彼女から流れ込んできた感情は、悔しさと怒り、そして後悔でいっぱいだった。


「ごめんね、要」


「お母さんのせいじゃないよ。僕が言い出したことだもん」


「要……」


 母親の手を引っ張り、急ぎ足で歩く要を抱きしめると、「ちょっと待ってて」と一言いい、母親は一人、スタジオへ戻って行った。



 スタジオ内は未だに混乱していた。

 出演者、霊媒師は怒りの丈をスタッフにぶつけていた。


「ちょっと、よろしいですか?」


 その声に、一斉に話声が静まった。


「うちの子は嘘を言いませんわ。うちの子が嘘だというのなら、みなさんでお調べなさい。そう言うこと、テレビ局は得意分野でしょう?それから」


 くるりと向きを変えると、最初に挨拶に来た厭らしい笑みの男を一瞥する。


「うちの子のところ、カットしてください。出演料いただけるって話でしたけど、こんな胸糞悪いテレビ局からいただきたいとは思いませんわ。ですから、カットしてくださいませね。では、失礼」 


 母親がスタジオを出ていくと、誰もかれも、彼女が去ったドアをじっと黙って見つめていた。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


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