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【完結】Memory lane 記憶の旅  作者: 星野木 佐ノ


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第5話(3)

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


同時進行でbooks & cafeが舞台の現代恋愛小説

『光の或る方へ』更新中!

https://book1.adouzi.eu.org/n0998hv/


こちらも宜しくお願いします!

 彼等は口々に持論を言った。要を信じるというものもいれば、全くの詐欺師扱いに言うものを居た。そんな中、詐欺師はお前だ、と心の中で悪態をつく母の声が、誰よりも大きく聞こえてきた。その声に、要は小さく微笑んだ。その笑みが、一人の霊媒師の癇に障ったようだ。挑戦的な笑みにでも見えたのだろう。


「折角ですから、読んでいただきましょうよ。私たちの心の声」


 と、左の口角を捻りあげるようにして笑みを作り言うと、要を一瞥した。

 司会者の意見も聞かず、段取りも何も無視をし、一人の霊媒師が恵竜の目の前に立った。屈むこともせず、見下ろすと「じゃあ、あの俳優さんから見てごらん」と、ゲスト席に座った一人の男優を指差した。

 指名された男優は自分を指差して驚いた顔をしてみせた。


「いやぁ、参ったな。別に、ばらされちゃ困ることは無いけどさぁ」

 

 と苦笑いをした。

 要は男優の前に来ると、「手をかしてください」と、聞こえるか聞こえなきかの小さな声で言った。

 男優は「どっちがいいかな?」と言いながら、両方の手をテーブルの上に置いた。要は男優の左手の甲に手をあてた。

 すぐさまヴィジョンが流れ出す。

 彼が言った通り、見えてくるヴィジョンは特別、嫌なことはなかった。


「何が見えるかな?」男優の手は微かに震えている。 


 要は手を放すと、男優の顔をまっすぐに見つめた。


「昨日の夜のごはん。家族で食べているのが見えました。楽しそうでした。女の子が、トマトを嫌い、お父さんにあげると言って、お父さんの皿に置いたら、それを見たお母さんが、なっちゃん、ちゃんと食べないさいと、注意していました」


 スタジオがざわついた。


「家族……?それは、何の話かな?」


 男優は微かにほほを引き攣らせて訊ねた。


「あなたの、家族でしょう?」


 要は不思議そうに男優を見上げた。男優は微かに目を開いた。


「え?でも、独身でいらっしゃいましたよね」と、隣に座る女優が言った。


 その言葉に我に返ったかのように男優は「ええ」と、腹筋を使ったはっきりとした声で返事をした。


「あははは。僕は未婚だよ?家族どころか、子供もいないんだけどなぁ。あははは、何か、見間違えちゃったのかな?まあ、僕もいい年だからね。そう見られちゃってもおかしくないか。あははは」


 男優は空笑いをしてテーブルの上に置いていた手を引っ込めた。彼の笑いに、周りもどこか安心したような声で笑った。


「なんだ、やっぱり子供の嘘か」


 そんな声が、そこら中から聞こえてきた。


「見えたまま言ったんだ。嘘じゃない」


 要は無表情で答えた。


「相手が僕でよかった。他の人だったら、君は大変なことになっていたかもしれないよ?」


 男優からは、動揺が見えなくなった。完璧な演技をする事に徹したかのようだ。その割に、要には触れようとはしなかった。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


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