第50話(2) 最終話
最終話です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
自分が歌穂を好きだという気持ち。
だが、歌穂は自分に振り向かないことを知っている。歌穂には、好きな人が居る。それは自分ではない。要にとっては胸糞が悪くなるような奴ではある。だが、この先も自分はあの男に勝てはしないだろう。歌穂が自分に向くことは一生ないだろう。それでもいい。こうして会えるだけで、自分は満足だ。そう、心で呟くと、要は落ち着きを取り戻した。すると、突然、頭の中にヴィジョンが流れ込んできた。
要は目を見開き、歌穂を見る。
歌穂は、要の手を取って、俯いていた。
暫くして手を放すと、顔を上げ微笑む。
「そう言うことだから。心配させて、ごめんね」
要は何も言えず、その場に立ち尽くし、歌穂は再び、気になる店へ足を向けた。
歌穂が見せたヴィジョン。
それは、不倫相手と別れたヴィジョンだった。なぜ別れたのか、理由までは見ることができなかった。だが、気丈にも、歌穂は泣くことなく、むしろ男の方が未練たらしく歌穂に泣きついていた。しかし、そのヴィジョンは、そう長いこと流れず、それを押しのけるように、要の顔が次々と浮かびだした。一か月前、二人で出歩いたヴィジョンだ。
全く気がつかなかった。
歌穂はしみじみと要を見ていた。要を目で追い続けている。自分が笑った顔を最後に、ヴィジョンは途切れた。歌穂が手を放したからだ。
要は自分の口元に手の甲を押し当て、顔が熱くなっていくのを実感した。耳まで熱くなり、きっと自分は赤面しているに違いない。
歌穂は何か見つけたのか、嬉しそうな顔で振り向き、「カナちゃん」と呼んだ。
我に返ったように歌穂を見ると、歌穂は満面な笑みを浮かべ、手招きした。
要は、そっと微笑み返し、歌穂の元へ歩き出した。
大なり小なり、誰もが持っている心の闇。
そいつを、いつの日か愛おしく思える日が来たら、きっと世界は輝きだす。
自分が持ったこの力を、今は愛おしく思えるように。
いつかきっと、世界を愛おしく思える日が来る。
終り
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
「Memory lane記憶の旅」いかがでしたでしょうか?
始まりは、とにかく残酷な描写が多いため、初めから読む人を選ぶ作品であったと思います。
この物語は、元々ミステリー関係の公募作品として書いた物でした。残念ながら、公募はダメでしたが、せっかく書いた作品なので、少しでも多くの方に読んで頂きたく、この度WEBで公開しました。
WEB向きでは無いと自覚しておりますが、それでも読んでくださっている方が居るのは、PVなどで目に見えて分かったていたので、とても嬉しく励みになっておりました。
本当にありがとうございました。
最後に……
☆、感想、レビューなど今後の励みになります。何か心に残って物がありましたら、言葉を残して頂けると嬉しいです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
星野木 佐ノ




