第5話(1)
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テレビ局の空気は嫌いだ。
そこに渦巻くものすべて。
満面な笑みを浮かべながら、平気で嘘を並べる大人。黒い言葉の波が、小さな体に押し寄せる。
「カナちゃん、本当に大丈夫?いいのよ、ママたち、最初からこんなことして欲しくないんだし。おじさんの言葉なんて、無視していいんだから」
「大丈夫。ボクがやるっていいだしたことだから。心配しないで」
「でも、カナちゃん、あまり顔色が良くないわ」
本心から心配している声が聞こえてくる。
これだけ不愉快な空気の中、母親の「心の声」だけが、要にとって救いとなっていた。
一人の男がこちらに近寄って来た。
「いやぁ、どうも。えぇっと、君が要君?心が読めちゃうっていう?」
男はいやらしい笑みを浮かべながら要を小馬鹿にしたように見た。その眼を、隣に立つ母親に向けた。男の眼の色が微かに変わった。舐めるように厭らしい目つきで母親を上から下まで眺める。
「あなたが、お母さん?いやぁ、お若いですねぇ。おいくつですか?」
「あの。いつ始まりますの?出来れば夕方には家に着いていたいんです」
母親は男の質問には答えず、凛とした態度で男に向かって言った。その声は、どこか喧嘩腰だ。
「いやぁ、まいったなぁ。そんなに怖い顔なさらずに。もう間もなく、出演者が揃いますので、準備ができ次第始めますよ。要君の名前ですけど……」
「伏せてください。顔も。それ、以前も申し上げましたでしょ?」
「ええ、そうでした、そうでした。でも、お母さん、名前出すといろいろ違ってくるんですよねぇ」
「そんなこと、こちらの知った事じゃありませんわ。こちらだって、生活がありますの。元々お断りしていたのを、あなた方が無理やり言ってきたことでしょ?出演するというだけでも、かなりの譲歩だと感謝して欲しいくらいですわ」
母親の棘のある口調と声色が、男の顔をひきつらせた。男はひきつった顔で笑いながら
「そうですね。では、準備ができ次第、呼びますんで」
それだけ言うと、男はそそくさとその場を離れた。
『ふざけやがって、たかだか嘘つきなガキだろうが。そいつを出してやるって言ってんだ、感謝はこっちがして欲しいくらいだね』
そう、心の中で言いながら。
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