第47話(1)
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
昨日、投稿した際、一部文章の編集がおかしくなっていたので投稿し直しております。
【注意】この物語はフィクションであり、実際の事件捜査や犯罪についての在り方とは相違があります。あくまでも、この作品中の事であることをご了承ください。
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地元の駅から二時間ほど電車に揺られ、そこから暫く歩くと、不意に要が足を止めた。
住宅街の中にある、小さな公園。その公園に、要は入っていった。祐介は黙ったまま要の後をついて歩く。
公園内にあるベンチに座った要は、背中を丸め前屈みに座ると、片方の肘を腿の上に立て、頬杖をついた。
「ここは……」
祐介は困惑顔で要を見た。
朝、突然、スマホに電話がかかってきた。誰かと思えば、要からで。要は何時に駅に来い、と言っただけで、電話を切ってしまった。駅に行くと、要は祐介の顔を見るなり、何も言わずに切符を一枚手渡し、改札口へ歩き出した。どこへ行くのかと訊ねる祐介に、「記憶の旅」と答えただけで、その後は祐介が何を話しかけようと、一切口を開かなかった。ただ、ただ、車窓に目を向け、黙ったままだった。
あの事件告白の出来事のあと、宗介が宗太郎の手紙を持って警察へ出頭した。
犯人である宗太郎が自死した事、そして宗太郎が矢部に宛てた手紙の内容により、事件は静かに幕を閉じた。
手紙の内容が、どういったものか祐介も要も知らない。ただ、祐介の父親である宗介が、幇助した訳でも教唆した訳でも無かった事と、宗太郎により記憶を消されていた事もあり、罪に問われる事はなかった。
要は立ったままでいる祐介に、座れと言うかのように、自分の隣りに空いているベンチを指さした。祐介は黙ってそれに従い隣りに座る。
ベンチに座り公園を見回すと、夏休みが始まって間もない昼前だというのに、子供一人いない。
滑り台、ブランコ、ジャングルジム、砂場、鉄棒、シーソー。そして、ミニバスケットが出来るほどの大きさのグラウンド。小さいながらも充実した公園だ。最近では、遊具で子供が怪我をしたなどの理由から、危険があるとされ、色々な遊具が公園から消えている。そんな中、この公園は色々揃っていた。それでも、子供が遊んでいないのは、やはりオンラインゲームの時代だからだろうか。
なぜか、とても懐かしい感じがした。
祐介はゆっくりと首を左右に動かし、公園内を見渡す。
「昔、この近所にじいちゃん家があった。夏休みや冬休みにじいちゃん家に来たときは、ここで一人で遊んだ」
突然、要が話しを始めた。独り言のように話し出したので、祐介は一瞬、聞き逃すところだった。
「小学一年の夏、俺はここで一人の男の子にあった。その子は、俺よりも小さくて細くて。だから、年下だと思った。その子供と仲良くなって、少しの時間遊んだんだ」
「少しの時間?」
「うん。一時間ちょっと。いや、一時間も遊んでないかも知れない。次の日も会えるかと思ったけど、会えなかった。それ以来、じいちゃん家に来る度ここへ来て、その子を待ってたけど、来なかった」
「その子も、おじいちゃん家に遊びに来ていた子だったのかな?」
「いや。近所の子供が、その子を知っていた。地元の子供だった」
要は前屈みになっていた身体を起こし、背もたれに身体を預けた。
「その日は、すごく暑くて。水に濡れても、すぐに服も髪も乾いた。俺、水風船持っててさ。その子供と一緒に、水風船で遊んだんだ。俺がジャングルジムを基地にして、その子は滑り台を基地にして、水風船の投げ合いっこ。そいつさ、すっげえ想像力があって。当時、俺の力は異常でさ」
そう言うと、要は自嘲するかのように鼻で短く笑った。
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