第42話(3)
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「宗介さんの記憶の中では、この音楽をかけながら祐介の夢の記憶を聞き出していた。一、二曲目はともかく、三曲目はリラックスさせるためにかける曲にしては、少し激しい曲ですよね。しかも、有名な一曲目からではなく、なぜ二曲目からなのか。ずっと気になっていました。そして、記憶を遡り見えたもの。その中に、僕も知っている人物が居た。祐介の記憶の中にも出てきていたはずなのに、どういう訳か、祐介の記憶ではぼんやりとしか見えなかった人物です。それが、二戸神先生。あなたでした」
宗介に向けていた瞳を宗太郎へ移す。宗太郎は話しを促すかのように僅かに首を傾げた。
「カミサマ先生。俺があなたの所へ通っていたときに、周りの医師達がそうあなたを呼んでいた。それは、腕が良いことと、二戸神という名前からきたニックネームだ。あなたは、精神科医としても優秀だけど、それ以上に、催眠医療にたけた医師だ。あなたなら、催眠術で記憶を書き換えたり、消したりすることは容易なんではないですか?」
宗太郎は、腹の底から押し上げるかのような低い声で笑った。
「買い被りすぎだよ。私はそんなに凄腕ではないよ」
「そうでしょうか」
要は宗介を振り返った。
「宗介さん。あなたが事件現場に先生を呼び出したのは、共犯にさせる為だけではなかったのでは?」
要の質問に、宗介は目を伏せ、小さく顎を引いた。
「まずは祐介の記憶を消すことが一番、重要だと思った。一時的な記憶喪失であれば、すぐに思い出してしまうかも知れないと思ったからだ。父さんの催眠が必要だった」
「あなたも、催眠術を掛けることが可能なのでは?」
「私は、父さんほどの才能は……」
宗介の言葉を遮るように、突然、宗太郎が「要くんは」と、口を挟んだ。
「それを知ってどうする。君には何の関係もないことだ」
「確かに、俺には関係のないことです。でも、自分の親友が、思い出せない過去に苦しんでいる姿を見ていることは出来ない」
「君らしくない答えだな」
宗太郎はゆっくり足を進め要に近寄る。要は身構えるように、微かに顔を険しくさせた。
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