表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/58

僕は遊んだ

「さぁ、合格祝いにいっぱい遊ぶよ、お兄ちゃん!」


 最寄り駅から数駅離れたところにある、複合型アミューズメント施設。無事バイトに合格した僕と妹は、そのままの足でここに来ていた。


「初めて来たよ、でっかいなぁ」


「私は何回か来たことあるから、任せて!」


「うん。お願いします」


 はしゃいだ様子の妹が僕の手を引く。あ! と少し慌てた様子で妹がパッと振り返る。


「ぜ、全部友達とだからね!! 勘違いしないでね!?」


「う、うん? 了解?」


 よく分からなかったけど、頷いておく。



 その後、妹に案内されるままに受付を済ませた。


「――――お兄ちゃんお兄ちゃん!! 何からしよっか!?」


 ふむぅ、と二人で案内図を見ながら首を捻る。


「そうだなぁ。朝走ったから、そんなに動かないやつの方が……」


「――――あ!! バスケは!? 私、久しぶりにお兄ちゃんとバスケしたいな!!」


 ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねながら言った妹は、その後こちらを見る。


「あれ、ごめん! 何か言いかけてた!?」


「ううん、何でもないよ。そうだね、バスケしようか」


「いいの!? やったぁ!」


 まぁ、多分大丈夫でしょ。



---



 三十分後。


「…………ぜんぜん、大丈夫じゃ、なかった」


 切れた息を整えながら、僕は思わず小声で呟いた。


 正直、ちょっと見くびっていたかもしれない。

 いくら僕が太っているって言っても、まさか妹にスポーツで負けることはないだろうと。


 最初に二人で互にシュートをしていた時から、なんかフォームがすごく様になってるな、とは思った。あと、やたら入るな、とも。


 もしかしたら、じゃあ1on1やろうか!! って言って来た時点で気づくべきだったかもしれない。


「よっし! もう一本行くよお兄ちゃん!!」


 ばちん、とワンバウンドさせてボールをこっちに渡してきた妹を見る。

 普段下ろしている髪を後ろで縛ってポニーテールっぽくした彼女は腰を低くして構えていて、それがやたら堂に入っている。


「バスケ、最近やってるの?」


「うーん、去年の球技大会でやったのが最後かな!」


「ふ、ふぅん」


 うっそでしょ。妹の才能が怖い。

 でも、兄としてここで負けるわけにはいかない……!!

 集中して、本気でやる。

 うおおおおおおおお。



---



「むむむむむ!! 悔しい!」


「…………はぁ………はぁ………」


 なんとか勝ち越すことが出来た。辛うじて兄の威厳も守れたかな。


「でも、流石お兄ちゃん! 私が勝てないなんて……! 経験者の男の子にも負けないのに!」


「…………こひゅぅ…………こひゅぅ……」


 それを先に言ってくれぇ。

 口に出す気力もなく、僕はその場に突っ伏した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ