僕は遊んだ
「さぁ、合格祝いにいっぱい遊ぶよ、お兄ちゃん!」
最寄り駅から数駅離れたところにある、複合型アミューズメント施設。無事バイトに合格した僕と妹は、そのままの足でここに来ていた。
「初めて来たよ、でっかいなぁ」
「私は何回か来たことあるから、任せて!」
「うん。お願いします」
はしゃいだ様子の妹が僕の手を引く。あ! と少し慌てた様子で妹がパッと振り返る。
「ぜ、全部友達とだからね!! 勘違いしないでね!?」
「う、うん? 了解?」
よく分からなかったけど、頷いておく。
その後、妹に案内されるままに受付を済ませた。
「――――お兄ちゃんお兄ちゃん!! 何からしよっか!?」
ふむぅ、と二人で案内図を見ながら首を捻る。
「そうだなぁ。朝走ったから、そんなに動かないやつの方が……」
「――――あ!! バスケは!? 私、久しぶりにお兄ちゃんとバスケしたいな!!」
ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねながら言った妹は、その後こちらを見る。
「あれ、ごめん! 何か言いかけてた!?」
「ううん、何でもないよ。そうだね、バスケしようか」
「いいの!? やったぁ!」
まぁ、多分大丈夫でしょ。
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三十分後。
「…………ぜんぜん、大丈夫じゃ、なかった」
切れた息を整えながら、僕は思わず小声で呟いた。
正直、ちょっと見くびっていたかもしれない。
いくら僕が太っているって言っても、まさか妹にスポーツで負けることはないだろうと。
最初に二人で互にシュートをしていた時から、なんかフォームがすごく様になってるな、とは思った。あと、やたら入るな、とも。
もしかしたら、じゃあ1on1やろうか!! って言って来た時点で気づくべきだったかもしれない。
「よっし! もう一本行くよお兄ちゃん!!」
ばちん、とワンバウンドさせてボールをこっちに渡してきた妹を見る。
普段下ろしている髪を後ろで縛ってポニーテールっぽくした彼女は腰を低くして構えていて、それがやたら堂に入っている。
「バスケ、最近やってるの?」
「うーん、去年の球技大会でやったのが最後かな!」
「ふ、ふぅん」
うっそでしょ。妹の才能が怖い。
でも、兄としてここで負けるわけにはいかない……!!
集中して、本気でやる。
うおおおおおおおお。
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「むむむむむ!! 悔しい!」
「…………はぁ………はぁ………」
なんとか勝ち越すことが出来た。辛うじて兄の威厳も守れたかな。
「でも、流石お兄ちゃん! 私が勝てないなんて……! 経験者の男の子にも負けないのに!」
「…………こひゅぅ…………こひゅぅ……」
それを先に言ってくれぇ。
口に出す気力もなく、僕はその場に突っ伏した。




