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蛇足かもしれない後書きと、登場人物について

登場人物については、本編のネタバレを多分に含みます。


 ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございます。取り敢えず、今の自分が書きたかったものは、全て書き終わりました。ここでひとまずこの少年と少女の物語は、一区切りということになります。

 以下には、この作品を書いている間に自分が考えたことや、この作品の内容についても少し書いています。興味のある方だけ、目を通して頂けたらと思います。


 元々、この話は自分の中で何も考えずに書き始めた、と言うとと余りに雑な印象を与えることになると思いますが、別の話を書く前に軽く書ける話を書いてみよう、どうせ誰も見ないだろうし、と思って書き始めたのが始まりではあります。当時丁度何かで目にした「初日に何本か投稿すると多くの人に目につきやすいらしい」という噂をちょっとした遊び感覚で試したのが、まさかあんなことになるとは全く想像していませんでした。信じられないくらいアクセスが伸びているのを目にし、それから少し真剣にこの話について考えることにしました。


 最初のシーンで主人公を振る女の子(凪)が、実はそれほど意地の悪い女の子ではなく、主人公の側にも問題はあったという展開は、元から想定していたものです。最近は特に、ですがこの話を書き始めた時期も既にいわゆる「もう遅い」系の話は浸透していたので、そこにちょっと捻りを加えるのも面白いなと考えたのです。実際はそれが原因で複数の読んで下さった方を失望させる要因になってしまったようで、大変申し訳ないのですが。


 ところで、はっきり言って自分は、余り「もう遅い」系の展開は好みではありません。とりわけファンタジー世界ならともかく、現実恋愛部門においては。例えば幼馴染故の気安さを勘違いして、結果として主人公を余りにも雑に扱ったりだとか、主人公の気を引こうとして誰かと付き合ったりだとか、そういうことをした女の子を悪役として、新たに別の女の子と仲良くなるような展開をよく目にします。


 確かに、彼女達の行為それ自体は過ちではあるのでしょう。主人公に怒る権利はあると思います。許せない、と一度は激情に支配されることもあるでしょう。ですが、人間関係における過ちというのは誰もが犯しうるのだから、それを許さない世界というのは、余りにも冷たく、寂しいものだと思うのです。


 この話のタイトルを見て、振られたショックで痩せた主人公が超絶イケメンで、その容姿に周りの女の子達がメロメロになる、という展開を予想していた方が多いと思います。実際、そういった展開を考えていた時期もありました。しかし、真剣に話を考えれば考えるほど、その展開に違和感しか覚えなくなったのです。そしてそんなヒロインを自分は書くことが出来ないと思ってしまいました。容姿は重要な要素であったとしても、それだけで向けられる感情が決まってしまうようなものではきっとないのです。そこに自分の願望が込められていないと言えば、それは嘘になりますが。



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 以下、主人公含む各登場人物について。


 主人公である桐山冬二は、何か好きになったものに対する情熱が激しく、その時に人の目を気にしないことが特徴的です。この性格的特徴が、冒頭の告白が引き起こされた要因の大きな一つになっています。ですが、彼の性格は時に多くの人のやる気に火をつけます。それは夏祭りの準備において発揮されました。


 千夏はある一面においては非常に幼いですが、それ以外に関してはかなり成熟した人格を持っています。彼女は作中においてかなり突出した才能を持った人間で、周りからの期待を一身に受けて育ったことが影響しています。


 三国早希は、才能あふれる人間である千夏が真っ直ぐに育つことが出来た大きな要因でもあります。彼女もまた才能を持ち、容姿の優れた人間であったため、二人はお互いにとってかけがえのない存在になりました。千夏は彼女がいなければ孤立していたでしょうが、それは彼女にとっても同様です。千夏に対し皆が近寄りがたいと感じていたのに対し、彼女は人付き合いをそれなりにしていましたが、彼女と真の意味で対等に話をするのは、千夏と、それと主人公である冬二くらいでした。彼女にとっても、桐山兄妹は拠り処でした。彼女は幼少の頃から頭の回転が速かったですが、運動神経は人並みであったこと、また成長期が遅かったことから、中学に入るまではそれほど目立つ存在ではなかったようです。


 三国凪は、早希に出会えなかった一人っ子の千夏、と言える存在かもしれません。凪の方が千夏よりやや性格が幼く、その才能はやや頭脳と容姿に偏ってはいますが。彼女の世界はとても小さく、高校で部活に入るまでは、自分と家族とそれ以外でほとんど完結していました。文芸部はその部員達にとってかなり重要な意味を持つ部活でしたが、彼女は特にそれが顕著でした。外の世界を知った彼女がこれからどのような人と出会い、成長していくのかは皆さんのご想像にお任せします。ちなみに彼女と早希の血縁関係については、彼女達の祖父が兄弟であり一般には、はとこと呼ばれる関係に当たります。


 天道利香は、作中で最も完璧な人物です。誰にでも好かれる振る舞いをし、己のことを正しく理解し、現実を正確に見据えている。主人公に当初アプローチを掛けていた彼女ですが、接するうちに彼の性格を理解し、次第に恋愛感情と言うよりは出来の悪い兄弟の面倒を見るような気持ちに変わっていきました。とはいえ、それは恋愛対象として見れないという訳ではなく、それは最後の花火を彼と見ようとしたことからも明らかです。結局物語終了時点で、主人公と結ばれることはありませんでしたが、しかし彼女のような人間にはきっと、そこに恋愛が絡む絡まないに(かかわ)らず、幸せな未来が待っているはずです。


 沢村竜一は、主人公と対を為す人物です。才気に溢れ、見目も整っているに関わらず、人の目を気にするあまり誤解されるような言動を繰り返し、更に肝心なところが抜けていたりする結果、結局人に馴染めない。彼は余り多くの人に理解されるタイプの人間ではありませんでしたが、夏祭りの一幕を経て、彼の性格にも若干の変化が見られます。語気がやや大人しくなり、演劇部員達に絡まれている彼の姿を見た周りから、徐々に彼には悪意がないということが伝わり、友達も普通に出来るようになったとか。


 御手洗吉彦は、最も人間味の溢れるキャラクターとなりました。およそ一般的な大人しい男の子としての性格を持った彼は、他者の目線を気にする自意識とやりたいことの間に挟まれ、ゲームに関して以外は常にやる気のない素振りを取っていました。しかし、紆余曲折の末に主人公と仲良くなった彼は、ステージに立つという彼の中ではすでに諦めていた青春を手にしました。これで彼の周囲が劇的に変わるということはないかもしれませんが、しかし彼のこれからの日々はきっとこれまで以上に充実したものとなるでしょう。


 相良霞は主人公の幼馴染です。その関係はよほどのことが無い限り切れることはなく、また彼女に掛ける主人公の感情は並々ならぬものがあります。しかしそれは決して恋愛感情ではなく親愛の情に過ぎず、それ故に彼女は振り回されることが度々あります。ところで彼女は早希ほどではないにせよ優れた頭脳の持ち主であり、多少変わった言動はあるものの、心優しい少女です。また整った容姿を持っています。しかも、主人公は彼女を最も近しい友人として見ていることは確かです。いつか成長した彼女が、主人公との関係を変化させようと動き出すことがあれば、それはまた新たな物語となることでしょう。


 こんなものですかね。

 最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] すごく面白かったです。 間違えながらも前に進んでいく、羨ましい青春物語でした。 最後まで読んで良かった。
[良い点] お疲れ様です。 私も当初、痩せた主人公がモテてざまあ系の話かと 思っていました。正直、流行りだったのもあるし、読み終わった今、痩せる必要あったのかな?とか、タイトルと話の内容は合っているの…
感想一覧
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