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僕はショックを受けた

「私、県外の高校に行くことにしたんですよー」


 花火の下、彼女はあっさりと別れを突き付けた。


「…………え、」


「実は前から先生に勧められてたんですよねー……」


 予想外の事実に動揺した僕は、じゃあ、と言った彼女を引き留める言葉をもう思いつかなかった。

 そして彼女の背中が提灯に照らされた通りへ消えていくのを、僕は暗がりの中でただ見ていた。



---



 ポケットに入れていたスマホが震えていることに、立ち尽くしていた僕はしばらく気がつかなかった。呆然と通話の操作をしてスマホを耳に当てると、向こうから焦ったような声が聞こえて来た。


『……! ああ、やっと繋がった! 冬二かい? 早希さんはそこにいる!?』


「…………あの子とは、少し前に別れてたけど……」


 ああやっぱりそうか、と霞は呟いた。

 どうかしたのだろうか。


『さっき会った子供から、ステージに出ていた女の子が、ふらふらと通りを歩いてるのを見たと話を聞いた』


 彼女達は中学で仲良くしていたはずだ、彼女が心配するのも頷ける。

 霞にとっては、早希はお姉さんのような存在だったのかもしれない。


「」

 

『……』


 もう大丈夫なの、と心配する気持ちが声に出ていたのか、千夏はあはは、と笑った。


 


---



 早希ちゃんの行方を追うことにする。

 千夏に一つ気になったことを聞いた後、僕が彼女の居場所について尋ねると、通話相手が再び切り替わった気配がした。


『その件については、俺と相良に任せろ』


「……! 吉彦」


 声の主に驚く。霞たちと合流していたのか。


『今、知り合いに片っ端から連絡付けて探してる。今時の小中学生って皆スマホ持ってんだよな……お陰でそれなりに情報が集まってる。移動先まではまだ絞り込めねぇけど、通ったっぽい場所だけ今送っとく』


「!! ありがとう、助かるよ!」


『へっ、いいってことよ』


「……でも申し訳ないけど、時間があんまりないんだ。可能性の高い場所が分かり次第また送って」


『時間がないって……具体的には?』


「花火が鳴り止むまで」


『……はぁああ!? 無茶だぜ、もう打ち上がり始めてから結構経ってんぞ!?』


「無理言ってごめん」


『……クソ! 上等だよ、やってやろうじゃねぇか!』


 僕が勝手に決めたタイムリミットに、彼はそれでも啖呵を切ってくれた。

 彼の気持ちに応える為にも僕も走り出す。

 通話を切る直前、再び霞に切り替わったらしいスマホから声が聞こえた。


『驚くほど多くの人が協力してくれている。それは、間違いなく君の頼みだからだ。この祭典に最も貢献した君の、ね。』

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでいて自然に涙が出てきた。 感動した。
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