僕は走った
翌日。
昨日は妹に慰められて少し回復したけど結局泣き疲れ、家族でのご飯もそこそこに早めに寝た僕は、妹の元気な声で目が覚めた。
「おはよ!! お兄ちゃん、ちょっとランニングしようよ!」
俺の布団に飛び乗ってそんなことを言う千夏。
「おはよ。ランニング……? まず今何時なの……おお、まだ五時じゃん」
「朝だから走るんだよ!! 涼しい今のうちに!」
朦朧とした頭を抱えつつ、妹にほいほいと手渡されるジャージに着替え、いつの間にか用意されていたランニングシューズを履いて二人で家を出る。
「うああ、眩しい……」
「良い朝だね!! よっし、軽く準備運動して走ろっか!!」
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「ゼハー……ゼハー……も、もう無理……!」
「がんばれお兄ちゃん!!」
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「…………あぁー、疲れた」
「お疲れ!!」
走ってヘロヘロになって家に帰ってきて、今はシャワーを浴びてきたところ。
先に浴びていた妹が両手に持ったコップの片方をへい、と差し出してくる。
シャワー上がりの彼女はほとんど下着同然の薄着だ。
顔も整ってるし、俺に似ず細くてスタイルも良い彼女は学校で大人気らしいけど。
その余りに無防備な姿に何か言った方がいいのかな、と思いながら彼女の差し出したコップを受け取って、中身を見るとそこに入っていたのは冷えた牛乳。
妹が自分の分のコップを腰に手を当ててぐいっとあおる。
「ぷはーーー! おいしい! やっぱりこれだね!」
やたらとおっさんくさい様子ながらそんなことを言う彼女に、俺は内心首を傾げた。
言っても、ただの牛乳でしょ?
そう思いつつも、渡されたので飲んでみる。
と。
「うっっっま!! え、なにこれ!?」
「これは牛乳だよお兄ちゃん!!」
「そんな!? 僕の知ってる牛乳は、もうちょっと微妙な味だったはず!?」
「走った後のシャワーからの牛乳は格別なんだよお兄ちゃん!!」
「そうだったのか!!」
「そうだよ!!」
いや、ほんとに美味しいな!?




