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僕は相談した

「へぇ、商店街の祭りの手伝いかい?」


「はい」


 お祭りの準備を手伝いながらも、バイトは続けている。今日は開店前の準備が早めに終わったので、僕達は話をしていた。僕と利香がカウンター席に座って主に話をしていて、店長はカウンター奥の棚の整理をしながら話を聞いていた。


「そういうのって、もっと小さい子達が参加する奴じゃないんですかぁ?」


 天道さ……利香はぐだっと机に頬杖をついている。この前苗字で呼んだらしばらく口を聞いてくれなかったので、気をつけないと。それにしても、前はもうちょっと真面目そうな印象だったけど、最近は僕に対しての遠慮が無くなってきた気がする。打ち解けてきたってことかな。


「確かに、高校生は僕ともう一人だけだったね。でも他に知り合いもいたから」


「へ~、どんな子なんですかぁ?」


「えっと、確か写真があったかな……」


 スマホを取り出して、写真を開いた。えっと……あ、あった。画面に表示させた写真を利香に見せる。

 夏休みが入る前、まだ霞が髪を染める前の写真だ。意外なほどに整った霞の横顔が映ったその写真は、確か僕の家で三人で映画を観たときに撮ったんだったかな。まるで霞が普通の女の子のようだと僕と千夏の間で奇跡の一枚と話題になった写真だ。


「うわー、綺麗な子ですね。これもうちょっと大きくなったら絶対化けますよ」


 そんなことを言いながら写真を見ていた利香は、ハッとなにかに気づいたような顔でこちらを見た。


「……っていうか、妹さんもこういう系ですし、もしかしておにぃさんってこういう感じが好きなんですかぁ?」


「うーん、そういうことは考えたことなかったな……」


 というか千夏がクールって感じはあんまりしないけどなぁ。活発だし、感情に素直な印象が強い。でも見た目だけの話なら、確かにそうなのかもしれない。


「むぅ……じゃあ、私みたいなのとどっちが好きですかぁ?」


 言われて隣に座る利香の方を見る。小柄な彼女はよく笑い、表情豊かで身振り手振りも大きい。小動物的な可愛さがあるってお客さんが話しているのをよく聞くし、老若男女誰からも好かれるような振る舞いをする彼女は、尊敬に値すると思う。……やっぱりどっちがいいとかはあんまり分からないな。


「一概には言えないかな……敢えて言うなら、一緒にいる時に自然でいてくれる人がいいかな」


「…………そうですかぁ」


「おっと、桐山君。君にしては珍しく、その発言は女の子への気遣いに欠けているね」


「えっ。僕、不味いことを言いました?」


「…………何の話ですかぁ、私は知りませんけどぉ?」


 結局当たり障りのないことを言ったつもりだったのに、どうしてか僕は利香の機嫌を損ねてしまったみたいだ。謝りたいけど、何を謝ればいいのかも分からないのに謝っても逆効果な気がする。


 僕はやむを得ず彼女のことは一旦置いておいて、店長と話を続けた。カウンターの奥からぽんぽん、と慰めるように利香の肩を叩いていた店長は仕方ないなぁという表情をしながらも、会話に付き合ってくれるみたいだ。


「そういえば、今年のお祭りには服屋さんが参加しないらしいですよ。こういうの、何かちょっと寂しいです」


「へぇ。去年は参加していたと記憶しているけど。……まぁ、少し現実的な話をすると、あの祭りに参加しても、元が取れるかと言えばそうではないことも多いだろうからね。多少は店の宣伝になるとは思うけど、新規のお客さんが確保出来なければ厳しい部分もあるだろうね」


「なるほど……じゃあ逆に、たくさんの人がお祭りに来てくれれば、お店側としても利益になるってことですね。頑張ります」


「うん、特に最近目に見えて利用者が減っている若者層が来てくれると、祭り自体にも活気が出るだろうね。商店街の年齢層も上がってきているから、難しいとは思うけど」


「…………でも、その服屋が参加しないっていうのは、女の子の集客的にはかなりマイナスかもしれませんねぇ。服とかあるだけで全然違いますし。私的にはフリマみたいな感じで古着とか売ってると嬉しいですかねぇ」


「そっか……」 


 しばらくして利香はそう言いつつ、また会話に戻ってきてくれた。しかし言われてみると、確かに服屋さんが参加しないのは僕が思っていたよりずっと深刻なのかもしれない。


「……でも、成功させたいんですよね、お祭り?」


 いつもより元気のない彼女の問いに僕がもちろんと頷くと、利香はそうですかぁ、とだけ呟くと何かを考えるように黙り込んだので、僕は再び店長と会話を続けた。


「そうは言っても、この町の商店街は元気な方ですよね?」


「うん、それは間違いない。ファミレスなんかも人気だけど、この辺は特に地元の店が強いからね。この店も開くときには周りのお店に挨拶に行ったものだよ」


「やっぱり知ってる人のお店って言うのは安心感もありますし、僕は好きです」


「そうだね。利香もお祭りの前に一度行ってみておくと、より楽しめるかもしれないよ」


 話の途中で店長に目配せされる。ここまで言って貰ったら流石に僕でも分かった。


「……ねぇ、利香。あのさ良かったら、今度一緒に商店街に行かない?」


 僕が言うと、隣の彼女はパッと顔を上げて驚いたようにこっちを見た。けどすぐに視線を逸らされる。


「! …………でも、さっきの写真の女の子か、妹さんと行った方が楽しいんじゃないですかぁ?」


「いや、利香と行きたいんだ。そろそろバイト代も出るって聞いたから、奢るよ」


 ちらりと店長の方を見ると、良く出来ましたとばかりにウィンクを返された。


「……はい! じゃあ、約束ですよぉ」


 笑顔が戻ってきた利香と僕が話していると、店長がパンパンと手を叩いた。


「さて、そろそろお客さんが来る時間だ。二人共頼むよ?」


「はい」「任せてくださぁい」


 店長の言葉通り、それからすぐにドアに括り付けられた鈴が鳴ってお客さんが来たことを知らせる。僕はお客さんに対応するために立ち上がって入口の方に歩いた。


「…………店長。商店街の服屋の場所、全部教えてもらっていいですかぁ?」


「ふふっ、もちろん構わないよ」


 後ろで二人が何か話しているのが分かったけど、今はお客さんに集中だ。



---



「こんにちはぁ」


「あ、いらっしゃい」


「…………うわぁ……! 初めて来たんですけどぉ、とっても可愛い服置いてるんですねぇ」


「そ、そうかい? これ、結構古いやつだよ? 意外だなぁ、最近若い人はほとんど来ないから分からなかったよ」


「えぇ、そうなんですかぁ!? 今こういうの、私くらいの子達の中ですっごく流行ってるんですよぉ。ここにこんな素敵なお店があるなんて知らなかったなぁ……。あ、そうだ! 今度のお祭りがあるって聞いたんですけどぉ、参加しないんですかぁ? お店出てたら、絶対友達連れて行きますよぉ」


「そ、そっか。じゃあ、ちょっと考えてみようかな……」


「……」

「…」




「これで良し。えっと、次のお店は……」

誤字脱字を指摘してくれた方、ありがとうございます。



活動報告の方にも書きましたが、今後の連載について、お詫びしなければならないことがあります。


以前に自分は1月20日頃までは二日に一回の頻度で更新すると宣言しましたが、どうにもそれが実行できそうにありません。楽しみにしてくださった方、本当に申し訳ありません。実生活の方が予想以上に忙しく、自分の読みが甘く不確実なことを言ってしまったことをお詫びします。


今後についてはどうしても時間が取れそうになく、本当に心苦しいのですが一月中は更新出来そうにありません。話の内容的にもこれから、というところで自分としても口惜しく感じています。また、先の話になりますが二月からは更新を再開するつもりです。もしまた読んで下さる方が居れば、何卒よろしくお願いします。


結局、毎日更新が出来ていたのは短い間でしたが、読んで下さっていた方には本当に感謝しています。たくさんの方に読んでもらえて、更に多くの感想も頂いて、自分にとっては夢のような期間でした。本当にありがとうございました。(一月十一日)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 更新いくらでも待ちますので、頑張ってください!
[一言] 後輩が出ないと平和だね。 主人公も目の前に現れても大丈夫なようにしっかり立ち直ってほしい。
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